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フィッツ•イン•プロミス 〜約束の旅〜  作者: えれべ
第三章『終焉を知らせる黒炎』

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Prologue『終わりの始まりⅠ』


 ーー目覚ましの時計の音が聞こえる。



 つい引きこもり時代の名残が出てしまい、その鳴り響く大きな音を無意識に止め、また眠りにつこうとした。ーー二度寝というやつだ。


「起きなさーい!!」


「ーーっふぇ!?」


 そんな、愚かにも二度寝しようとしたのを、心から尊敬してる女の人の一人である、母さんの大きな声が食い止めた。

 そしてその声に従うようにベットから体を起こし、階段を降りて顔を洗い、そして食卓に座った。


 危なかった。今日は、何があっても絶対に起きなければならなかったのだ。なにせ『約束』したのだから。ほんと、母さんには感謝者の言葉しかない。


 そして食卓に座って「いただきます」と言い箸を持つと、ふとテレビのニュースが耳に入った。


「ーー先日から予定されていた全世界が注目する大イベント、『ラグアイランド』の開催まで、あと三日となりました!」


 最近このニュースをよく耳にする。どうやら、この『ラグアイランド』という、八年に一回、全世界の人が集まるイベントが、今年日本の海ーー東京湾辺りで行われるらしい。


 その島には、約百万人が収容可能なようで、泊まるようのホテルなども常備している。

 だが不便なことに、その島へ行くには船を使うか、一本だけ通ってる地下鉄を使うしかないのだが。


 ーーいずれにせよ、いつか絶対に行きたいと思っている。


「よく食べるのよ? だって今日は、待ちに待った日でしょ?」


「うん! もちろん」


 ーーそして先にも言った通り、今日は自分にとっても、そしてあいつにとっても大切な日だ。一体どれだけこと日を待ち望んだことか。


 食い終わり次第、寝巻きから白いポロシャツと、膝あたりまである黒い半ズボンに着替え、顔を再度洗い、軽く髪をセットし、ラジオ体操をして体を起こした。ーー準備は万全良好だ!


 玄関に出て、それからお気に入りの靴を履いてつま先を数回トントンと叩いた。

 そして、ついにドアノブを握る。引きこもり時代の自分なら、二週間に一度触れるかどうかの頻度だったが。


 そんなふうに過去の自分を自嘲しつつも、ドアノブを握りながら扉を奥に押した。

 それから振り返って、最も尊敬する女性ランキングのうちの一人である母さんの方を見た。


「それじゃあ、行ってきます!」


「行ってらっしゃい! 頑張るのよ」


 母さんからのエールをしっかりと噛み締め、それから元気よく家を飛び出した。荷物も何度も確認した。ーー抜かりはない。


「今日は楽しむぞぉー!」


 街のど真ん中で思いっきりジャンプして、沸き立つ感情を発散した。幸い、人はいなかったので誰にも見られてはいない。見られていたら、羞恥心で死にそうになる。

 最も、羞恥心でも何でも、死ぬわけにはいかないが。



 そうしていた時、ふと機械音のような声が鳴り響いた。それは耳を通さず、直接頭に語りかけてくる者だった。


『ーーやく、ーーが見つかりーーた。ーーうそうを、ーーしします』


「なんだこれ?」


 ふと頭の中に、RPGのチュートリアルを想像したが、そんなことは現実にはあり得ないと結論づけ、聞き間違いだと自分に言い聞かせる形で、それは一旦幕を閉じた。


 その後も普通に歩いていたが、もうそれが聞こえることは一度たりともなかった。


「引きこもり時代、ゲームし過ぎたせいで頭でもやられてんのかな……って、あれはもしや!」


 ついに待ち望んだ美貌が、瞳に映り込んだ。

 ロングの黒い髪の毛、背丈はやや自分よりも低め、そしてその美貌。間違えるはずもない。


(つむぎ)! ごめん、待たせた!」


 その美貌に近づこうと、駆けて駆けて駆けて、そしてついにそれの目の前に着いた。


「ーーっ純也(じゅんや)! 気にしないで。私もさっき来たばっかりだから。それじゃあ、行こ」


「ーーぉ」


 ーーまずいまずいまずいまずい! 可愛過ぎて言葉も出ない。絶対顔赤いって! 心臓の音もうるさい!


純也(じゅんや)。どうしたの? 顔赤いけど、熱でもあるの?」


 ーーほら、言った通りだ。元引きこもり隠キャだった頃の名残りが出てるってー。ーー名残り多いな!


「ーーって、ごめん! つい見惚れちゃって……なんて」


 高校一年生という思春期真っ只中の少年は、頭を掻き、顔をりんごのように赤らめながら、咄嗟の言い訳ーー否、事実を口にした。


「ーーちょっと背中向けるねっ」


 その瞳に映っていた彼女の美貌は、ぷいっと背中を向けて、少年の黒瞳に映らなくなってしまった。


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