表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賭博師メリッサ  作者: 木山碧人
第七章 マカオ
71/156

第71話 バトルフラッグ㉑

挿絵(By みてみん)




 化学工場一階。電気室。


 並んでいるのは、複数の配電盤。


 中でもレバーが備わるのは、主電源のみ。


 自動切替装置と紐づいて、外部電力の供給が可能。


 独創世界の主により、意図的に用意されたイベントだった。


「……」


 ベクターは、慎重に足を踏み入れる。


 暗視ゴーグルの視界を頼りに進み続けた。


(あれが、配電盤か……)


 見えてくるのは、壁際に配置された箱型の物体。


 様々な配線が繋がり、右側には下がったレバーがある。


 電気系統の知識はなかったが、言われたものだと認識できた。


(何もなければ、いいんだけどな……)


 ただ頭には、一抹の不安がよぎる。


 順調すぎるせいか、一人が心細いのか。


 なんにせよ、嫌な予感がしてならなかった。


「――動くなっす」


 そんな時、聞き覚えのある女の声が響く。


 背中には、銃口が当たっている感触があった。


 暗闇の中でも見える証拠。一瞬の不覚を突かれた。


(ちっ……ソロで、こんな体たらくは……)


 誰かと行動してたなら、まだ言い訳ができる。


 相方の責任にして、自分の失態から目を逸らせる。


 ただ、今回は十八番のソロ。言い訳できる余地はない。


 一番パフォーマンスが発揮できる状態で、背中を取られた。


「くそが……っ」


 その憤りが、ベクターを愚行へと駆り立てる。


 警告を無視して、振り向きざまにナイフを振るった。


「「――――」」


 生じるのは、火花。刃と刃が空中で擦れ合う。


 同時に目が合った。斧付きショットガンを持つ女。


 王位継承戦では、まともに絡む機会がなかった特異体イレギュラー


「メリッサ・ナガオカ……。邪魔するなら、ここで……」


「ご機嫌麗しゅうっす、第三王子。良ければ、うちらと手を組まないっすか」

 

 鬼気迫る状況で出された条件は、共闘。


 良くも悪くも、一考の余地のある提案だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ