表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賭博師メリッサ  作者: 木山碧人
第七章 マカオ
66/156

第66話 バトルフラッグ⑯

挿絵(By みてみん)




 約3秒の自由落下が終わりを告げた。


 地上には、大量の残骸が降り注いでいく。


 建材、足場、モニター、パイプ、その他諸々。


 辺りは瓦礫で埋め尽くされて、静まり返っていた。


 ――崩落に巻き込まれたのは、四名。


 安否不明の状態が続く中、動きがあった。


 バタンと音を立て、瓦礫の一部が倒れていく。


「…………生きてる、のカ?」


 中から現れたのは、蓮麗だった。


 きょとんとした顔を作り、動揺している。


「収集品以外の攻撃は無効。これも適用されたようね」


 一方、彼女の隣にいたバグジーは冷静だった。


 いち早く状況を理解して、言語化する余裕もある。


 分析力と戦闘経験の違い。それが、如実に表れていた。


「…………もし、適用されていたら?」


 眉をひそめ、蓮麗は仮定の質問をぶつける。


 化け物を見るように、やや引いている様子だった。


「問題なし。この程度でくたばるほど、柔な鍛え方はしてないわ」


 バグジーは力瘤を作り、自信を示す。


 鍛え抜かれた肉体。隆起する上腕二頭筋。


 反論を一切許さない事実が、そこにはあった。


「力が封じられているのに、大した自信ネ」


「センスは、心の力。鍛え抜かれた肉体があって、初めて輝くものなのよ。みずぼらしい身体をしていて、『私は最強!』なんて言い聞かせても、限界があるでしょ。自分に自信を持てるぐらいの肉体がないと、真の力は引き出せないわ」


「……女性差別カ? 肉付きがいい男が有利ヨ」


「何もムキムキになれって言ってるんじゃないわ。自分を納得させる努力をしたかが重要なの。見た目が売りのモデルで、美容やダイエットをサボる人はプロ失格でしょ。才能に頼って、努力を怠るアナタには、耳が痛い話でしょうけどね」


 バグジーは自身の腹部を軽くつまみ、語る。


 視線の先には、黒スーツに隠れた自堕落な肉体。


 接触時に触られており、なんの言い逃れもできない。


「……//////っ!!」


 蓮麗は顔を赤らめ、両腕で腹部を隠した。


 指摘が事実であることを、間接的に認めていた。


「ま、いじるのもこのぐらいにしてましょうか。それより……」


 他愛もない雑談は終わり、バグジーは目を細める。


 その先では、パラパラと音を立て、瓦礫が動いている。


 直接、現場を目視していなくとも、起こった状況は明らか。


「どちらが勝ったのか。場合によっては、アタシたちにも危害が及ぶわよ」


 バグジーは一切の油断もなく、結果を観測しようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ