第107話 決着
針葉樹の森は、膨大な銀光に満たされる。
バトルフラッグでは想定しない、センスの衝突。
独創世界を維持する主。アサドの力量を遥かに上回る。
衝突点を中心に亀裂が入り、世界は徐々に崩壊を始めていた。
「「……」」
その現象を作り出したのは、たった二人。
拳は空中で交差し、お互いの頬を捉えている。
――クロスカウンター。
余すことなく互いの全力をぶつけ合った形。
眼前の空間には亀裂が広がり、二つの世界が重なる。
「どうやら時間切れのようですね。この決着はいずれ、また……」
氷雪地帯を背景に、白き神は語る。
マカオや独創世界とは全く異なる空間。
何の由来もない場所に繋がった理由は不明。
ただ、発言内容を考えると、確かなことがある。
「ひとまず、今ので許してやる。これ以上は二度と御免ヨ……」
白き神と蓮麗との個人間に、遺恨はない。
罪は浄化されて、戦いは引き分けに終わった。
「火を奪った以上、接敵は必然。それまでに寿命を残しておくことですね」
白き神は捨て台詞を吐き、亀裂は広がりを見せる。
世界が二分されるのは間近。行き来できるのは今だけ。
それを知ってか知らずか、割り込もうとする人たちがいた。
「ま、待ってください!!」
「ここまで来て、逃がさんけぇな!」
「残念ながら、引かせるわけにはいかないのよねん」
冥戯黙示録に重きを置かない、三人。
ジェノと白き神に執着している因縁ある相手。
「「「「――――」」」」
彼らが横断した瞬間、世界は二分される。
戻る術はなく、取り返しのつかない状態に陥る。
結果、ジェノ、アザミ、広島、バグジーの四名は脱落。
不明の氷雪地帯に消え、ゲーム参加者は、残り十名となった。