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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第二章 アフリカで両用戦?
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うみ~

 刀短ければ一歩を踏み込むべし。


       陸軍航空隊 少佐 檜 與平





「うう~、ぎぼぢ悪い~」

「大丈夫かジュリエット、吐くならトイレ行けよ」

「う~プリンス、もっと優しくしてよ」

 はい、ジュリエットこと左沢熊あてらざわ くまで~す。

 今絶賛船酔い中なの~、大きな船だったから油断したわ。

 う~ん、油断? でもないのか。根拠無く自分は船酔いとは無縁だと思ってたけど。くっそ、やられた。

 有るか無しかの微妙なローリングとピッチングがゆっくりしたタイミングを以て足下から忍び寄って来た結果、それと意識する間もなく気が付けばどうしようもなく胃の辺りの違和感を無視できなくなっていた。

 始めは気のせいと、無理矢理にでも思いこもうとしたのだが、こればかりは意志の力では如何ともし難く、抵抗も空しくあっさりと感覚が乱されて、吐き気との勝ち目の無い格闘をする羽目になってしまったのだった。

「プリンス(タック・ネームよ、本名はスヴェトラーナ・ベリク)、あんたは全然平気そうね」

「何を言ってるんだ、まだ出港して半日も経ってないぞ。それに波も穏やかで全く揺れて無いだろうが」

「はぁ? 全く揺れて無いですって? あんたよっぽど鈍感なのね!

 いや、今はそれがかえってうらやましいわ……」

「はい、はい、鈍感で結構だよ」


 あ~、まず色々と説明しなくちゃいけないわよね。

 船酔いの話をしてたから、まあ船に乗っている事は分かると思うけど、どんな船かって言うとね、え~っと「揚陸艦」なの。

 なのって言っても割とガチ目の軍用艦よね、揚陸艦って。

 艦名は《ギール・ジャール》、皆は船の事には詳しいかな? 私は田舎が内陸だったから船には馴染みが無いのよね~。いや~、小学校の修学旅行の行き先が海だったって位には馴染みが無いのよ。

 ちょっと話が逸れちゃったわね、閑話休題。

 まず揚陸艦について簡単に説明するわね。揚陸艦とは、その名の通り大量の兵員や物資を輸送してそれを陸揚げ、戦闘を展開させる為の艦艇なの。

 一言で揚陸艦って言っても実は幾つか種類があって、それぞれに得意分野が有るのよ。

 まず一番キャッチーなのは、「強襲揚陸艦」ね。飛行甲板が全通型で艦橋構造物が片側に寄せられたアイランド型だから、ぱっと見航空母艦みたいな感じなんだけど運用する航空機は空母みたいな戦闘機や攻撃機じゃ無く、ヘリやV/STOL機(ハリアーやF‐35、それにオスプレイの様な垂直に離着陸出来る飛行機ね)で、艦の目的に合わせて主に兵員や装備の輸送を担任するのよ。

 次は「ドック型揚陸艦」ね。船の形としては、前半分が普通の船で後ろ半分が飛行甲板になってて、船体にウェルドックって言う直接注水して揚陸艇や上陸用舟艇を発進させる事が出来る機構を備えているのが大きな特徴よ。今私が乗ってるギール・ジャールはそのドック型揚陸艦ね。

 その他にも、戦車や兵員を輸送する「戦車揚陸艦」って言うのも有るわ。この種類の揚陸艦は、ビーチングって言う方法で船ごと直接砂浜に乗り上げて艦首に有るランプドアから戦車や兵員なんかを揚陸させる事が出来るのよ、直接砂浜に乗り上げちゃうなんて豪快って言うか、ホントにそれ大丈夫なのって思うけど、ねえ。

 揚陸艦を含めて各種艦艇には米軍基準の艦種記号が制定されてて、専門家やマニアの間ではそれが当然の様に使われてるわ。戦車揚陸艦の記号はLST(Landing Ship Tank)よ、だからそっちの方が通りが良い事も多いみたいね。

 でもそれって、そもそも米軍が制定したものだからそれ以外の国が開発・運用してる艦艇の中には合致しないものや、時代的にそぐわないものなんかも有るみたい。

 因みにフランスの強襲揚陸艦は、「指揮・戦力投射艦」って区分だし、デンマークは「フレキシブル支援艦」よ。で、海上自衛隊のおおすみ型は全通式の飛行甲板とウェルドックを備えてるけど区分としては「輸送艦」で、それなのに艦種記号は「LST(戦車揚陸艦)」なのよ、ややこしいわね。ま、その辺は適当にいい感じでやってこうと思うわ。

 いきなり揚陸艦に乗ってるなんてどう云う訳って事なんだけど、今回の仕事はこの揚陸艦をベースに任務を実施する事になってるの。


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