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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第四章 夜を克服せよ
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降着後の火力協力

『ヘリボン了解、予備LZへの降着を決心する。サーペントは先行可能か』

「ダーク?」

「2分だ」

『ヘリボンへ、サーペント。

 可能、予備LZ到着予定2分後。そちらはホールディング・エリア(待機空域)で少々時間調整を頼む』

『ヘリボン部隊、了解。何分必要か』

「5分くれ、そちらのLZ降着は7分後で頼む」

『ヘリボン了解』

『よし。フォーメーション、聞いてたな。LZは予備に変更だ、行くぞ』


「4(フォー)」(4番機了解)

 はいはい、予備LZね。なかなか計画通りには行かないわ。

「プリンス、マップに予備LZを出すわ。長機から離れ過ぎ無い様に注意して」

「了解」

 2分後、予備LZへ到着した私達は直ぐさま索敵を開始する。幸い今回は敵も居ない様だ。

『ヘリボン、サーペント。LZクリア、降着に問題無し』

『サーペント、ヘリボン。了解、予定通り降着する』

『サーペントは掩護態勢を完了した、何時でもいいぞ』

『統裁部より、サーペントへ状況付与。ヘリコプター部隊は全機無事降着、ヘリボン部隊の卸下を完了、離脱した』

『サーペント・リーダー了解』

『サーペントへ、こちら統裁部。予定通りヘリボン部隊に対する降着後の火力協力を実施せよ』

『サーペント、了解』


『フォーメーション、レーダーに感有り』

「4(フォー)」

 よし、こっちでも捉えたわ。距離はまだ有るけど、早速敵?

『敵の偵察部隊だ、すぐに斥候も現れるぞ。

 いいか、そいつ等はやり過ごす。装甲車程度なら、ヘリボン部隊の対機甲戦力でも対処可能だ。

 俺達は、敵の主力。その戦車を撃破する』

「4」

 移動状態の敵だが、全部隊がひと塊で一緒に居る訳では無いのは分かるだろう。敵と出会う事を予想して進む訳だから、当然主力の前に偵察の為の部隊を先に出している筈だ。

 一概にこうだとは決めつけられないが、大体いつもこんなカンジというのが有る。それが、先頭から順番に

・偵察部隊

・戦闘偵察斥候

・尖兵中隊

・大隊主力

・後衛

 という編成だ。

 それぞれの部隊の間隔なども概ね決まっているから、戦闘計画に必要な時間も計算出来るって訳。まあ、あくまで計画でしか無いけどね。

「聞いた通りよ、プリンス」

「了解だ、優先順は戦車、装甲車。で、AA(Anti Air:対空火器)は見つけ次第。そうだな」

「そ。攻撃はこっちがやるから、見張りよろしく。

 あ、ハーレーから敵の予想接近経路とKZ(Kill Zone:キルゾーン、対機甲撃破地域)が送られて来たわ。

 ハーレーが北のBP(Battle Point:攻撃位置)で私達が南、南北から挟撃するって事ね」

「了解。こちらも確認した、BP(攻撃位置)へ移動する」

「OK、私が誘導するわ。プリンスは敵に見つからない様、地面にしっかりと膚接して飛行する事」

「分かってる、任せておけ」

「ルック・インサイド」

 私はプリンスに外の見張りはせずに、コンソールパネルしか見てない事を告げると正面の大型TFTの見やすい位置に戦術マップを選択、そこにKZ(キルゾーン:対機甲撃破地域)とBP(攻撃位置)を重ねて表示させた。併せてHMDS(ヘルメットマウント・ディスプレイシステム)にも実際の地形に重ねて表示される様にセット、プリンスの操縦で低空をBPへと移動を開始する。

 ここからは、ハーレーと別れての行動となる。

 プリンスに経路の指示を出しつつも、索敵・照準用の光学・IR(赤外線)複合システムを操作して敵を探す、敵に見つかる訳には行かないからね。

「いた!」

 発見したわ、倍率を上げた画面の中を偵察部隊の装甲車が通過しているのを確認。真っ暗闇の中無灯火で走行してる、やっぱり向こうも暗視装置を使ってるのね、IR画像じゃ無かったら見つけられなかったわ。距離は…10km程度は離れてるわね。そのまま敵の車列を横目に見つつ限りなく低く、更に西へと進む。

 ハーレーの予想では、次は戦闘偵察斥候が続行して来る筈ね。そして、その次が先兵中隊だったかしら。

 で、その次こそ本命の敵大隊主力よ。

『フォーメーション。敵主力迄の距離は22NM(ノーチカルマイル:約40km)程度と考えられる、ぶっ飛ばして13分で会敵だ。敵がヘリボン部隊に気付いていれば更に早まる可能性も有る。前方を良く見張れ』

「4」

 私達は更に戦闘偵察斥候と先兵中隊をやり過ごして進み、BP(攻撃位置)へと到着、じ後の戦闘の為KZ(キルゾーン)を確認する。

「4、KZ確認。遮蔽して待機する」

『リーダー了解、こっちも位置に着いた。

 戦闘開始のタイミングはこちらで指示する、初弾同時弾着だ』

「4」

 初弾同時弾着。つまり私達とハーレーの対戦車ミサイルが同じタイミングで敵戦車に命中する様に発射の時期をずらすってコト、奇襲の効果を最大限に発揮させるつもりね。

 ミサイルの飛翔速度は分かってるから、後は目標までの距離に応じてハーレーの決めたタイミングに着弾する様にそれぞれの機体毎に発射するって訳よ。

 まあ模擬交戦装置には、そこまでの再現性は無いからこれは私達なりの拘りかしらね。やるからには本気を出さなくちゃ。

『ジュリエット、再度徹底するぞ。

 KZ(キルゾーン)は敵の予想接近経路を東西に分ける。東がKZ―1、西がKZ―2だ。

 俺達はKZ―1で敵の先頭車両を攻撃する。お前達はKZ―2の最後尾車両を撃て。

 攻撃目標は戦車、BMP(装甲歩兵戦闘車)、優先順。但し対空火器は発見し次第撃破だ。

 KZを分けているからオーバーキルは無いと思うが、戦術マップに情報をアップする。常に最新の情報を確認しとけよ』

「4」

 敵戦車縦隊の頭と尻尾を同時に攻撃する事で、間に挟まれた部隊の退避行動を制限する策である。戦車は路外機動が出来ると言っても、攻撃当初の混乱を最大限に利用しようという腹だ。

 敵が混乱してる時こそ、こっちは冷静にならなけらばならない。オーバーキル、即ち1両の戦車に2機がミサイルを撃ち込むなんて勿体ない事は避けなければならない。

 さて、もう敵がいつ来てもおかしくない時間だ。


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