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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第三章 戦場へ、それぞれの思い
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機動打撃

 戦争とは一つの部隊だけでするものでは無い。当然の事であるが、これが演習となると途端に他の部隊の存在が頭から抜け落ちてしまう者がいる。部隊を運用する士官ともなればそれでは困るのだが、特に経験の浅い若い連中に多い。目に映る範囲でしか物事を捉えられないのだ、想像力の欠如である。想像力とは空想や妄想とは違う、現在の状況から未来を至当に予測したり、現実に現れている兆候や戦術的妥当性から敵の可能行動を推測したりするのに必須の能力だ。その他にも、隣接部隊の判断や上級部隊の企図を適切に読み取る事にも当然必要となる。

 それらを踏まえて考えれば、この演習が我が第21戦車連隊を対象として実施される物であろうが、国防という大きな枠組みの中であらゆる事柄が決定されなければならないのは自明の理である。具体的には我が戦車連隊の上級部隊である第2師団には師団の実施する作戦があり、その一部分を我が連隊が担任していると言う事である。

 つまり、当然の事であるが第2師団には、我が戦車連隊以外にも多数の部隊が所属しており、それぞれの部隊が師団の作戦に基づいて行動していると言う事だ。これから我々が実施しようとしている戦闘は、その一部であると言う事は忘れてはならない。

 連隊長としては、目の前に現れる敵に対して勝利を求める事は当然として、それだけでは無く如何に師団の作戦に寄与出来るかも重要な考慮事項なのである。そして、その為には同じ師団隷下の各部隊との連携もまた重要なのだ。

 この演習において、実際には我が戦車連隊だけが実動しており、共同部隊が紙の上にしか存在しなくても、彼らとの連携や情報共有を怠るのは愚の骨頂と言えるのである。


 さて、先程エア・ランド・バトルを我が国流に改変して実行すると言ったが、要は師団規模の逆襲と考えると少しは理解が容易だろうか。

 軍事的な意味における一般的な〈逆襲〉とは、防御における作戦行動の一つで陣地を奪回する為に防御部隊が行う攻撃行動の事である。

 通常、逆襲を成功させる為の要件とは次の3つとなる。

・ 敵の衝撃力を阻止する陣地。

・ 侵入した敵を十分に火制し、且つ後続部隊を遮断出来る火力。

・ 侵入部隊を撃破するのに十分な機動打撃力。

 である。

 但し、今回師団は防御陣地を準備していない。敵を遅滞し撃破すべき行動地域を示したのみで、じ後は戦況の推移に合わせて隷下の各部隊が戦闘を行うのである。

 陣地を準備していない代わりに、火力を増強された機械化連隊が我が戦闘に有利な地形を戦場に選定しそこへ敵を誘導、もって遅滞行動を行うのだ。

 そして、我々第21戦車連隊の任務こそ侵入した敵を分断・撃破する為の機動打撃を実施する事なのである。

 勿論、遅滞戦闘を行う機械化連隊も、機動打撃に任じる戦車連隊も複数個存在する。それぞれの部隊が有機的に連携する事で初めて作戦が成功するのである。

 更に言えば、固定された陣地を準備しないと言う事は、我々機動打撃部隊にとっての戦闘は自ずと遭遇戦の要素が大きくなるのは理解して貰える事と思う。

 但し、遭遇戦とは言え主導的な戦闘を実施する為には戦場をある程度概定する事は必要である。遭遇戦の要訣は先制にあるのだ、この為情報の獲得は極めて重要である


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