匍匐飛行
さて、そろそろFCP(Final Check Point:最終統制点)だわ。ずっと洋上飛行だったけど今回の航法では、ディファレンシャル・GPSも利用しているから、より精密な飛行経路を飛行する事が可能になっている。
聞き慣れない言葉かもしれないけど、ディファレンシャル・GPSとはGPSの精度を向上させる手段の一つで、船舶などの移動局や地上に設置された基準局からの電波を受信して位置データを補完・強化する方法なのよ。
今回の仕事は艦上運用だからね、艦艇に搭載されて各種オペレーションを実施する事を前提とした装備を色々と追加してるって訳。
ディファレンシャル・GPSもその一つで、SLAS(Ship Landing Assist System:着艦誘導支援装置)の機能の一部なの。
艦上運用では基本、艦艇から発艦した以上は必ず着艦する必要があるでしょ。SLAS(着艦誘導支援装置)は文字通りそれをアシストしてくれるって訳ね。具体的には自動飛行による母艦へのアプローチ及び着艦を可能にしているわ。
シー・サーペントを名乗ってるのは伊達じゃないのよ。
FCP(最終統制点)で東に経路を取った私達は飛行場に対して西側の海上から接近する事になる。周辺は未だに闇に沈んでいるけれど、レーダーを警戒して可能な限り海面に膚接して飛行する。どの程度の戦力を配置しているかは不明だけど、当然飛行場は敵に押さえられている筈だから、当初の視察点は飛行場の北、やや離れた位置を東西に流れる川を少々遡った場所に設定している。
「河口確認、正面」
NVSのクリアな視界でこれから進入する川の入り口を視認する。ドンピシャ、これまでの航法は問題無しだ。
「河口正面、了解。NOE(匍匐飛行)に移行する」
プリンスも進入点を確認した様ね、じ後は地形に合わせて速度、高度、針路を柔軟に変化させる必要が有る。
ここでおさらいよ。
ヘリコプターの接敵機動には次の3つの飛び方が有るわ。
敵から遠い(安全な)順に
【LLF】(Low Level Flight:超低空水平飛行)
航空機が発見され難い飛行経路を、概ね一定の速度及び高度の直進経路を適宜組み合わせ、努めて低高度で飛行する。
【CF】(Contour Flight:地形追随飛行)
敵レーダーの探知を避け、概ね一定の速度及び方向を維持しながら地形・地物に沿って努めて低い高度を飛行する。
因みにこのCFを次に説明するNOE(匍匐飛行)だと間違った説明してる文献が多く、全く困ったものである。単に地形に沿って飛ぶ事をNOE(匍匐飛行)とは言わないのよ。
【NOE】(Nap Of the Earth:匍匐飛行)
敵の監視・射撃等を避けて行動する場合に使用し、地形に応じて速度を変化させ、樹木その他の障害物の間隙を縫い、又地溝、地隙、河床等を利用し、地表面に膚接して飛行する。
はい! 今日はこれだけ覚えて帰って下さい。
「地形追随飛行」と「匍匐飛行」は違います。大事ですよ~、軍事専門家でも時々混同してる人がいますからね!




