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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第三章 ダーク研修会
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艦載ヘリの活躍

「さて。エグゾセ神話の陰に隠れて目立つ事は無かったけれど、実はこの戦争でイギリスの艦載ヘリによる対艦ミサイル攻撃が行われているの」

「マジすか」

「私としては、エグゾセ攻撃よりもそちらの方が余程重要だと思っているわ」

「フォークランド戦争を題材とした本も何冊か出てますけど、その事に関してはどれもあっさりとした記述の仕方ですね」

「と云うよりも、受け手の問題かもしれないわね。

 やっぱりヘリコプターって素人受はしないから」

「そうか?」

「映画なんかでは、便利なガジェットとして色々登場しますけど、結局はそれ止まりな感じですもんね~」

「そもそも、その攻撃が行われたのもシェフィールド撃沈の前なのよ」

「詳しくお願いしま~す」

「5月2日の真夜中、日付が変わって3日になっていたかもしれない頃。英空母ハーミーズ所属のシーキングがレーダーで小型船を発見したの」

「シーキング?」

「イギリスFAA(Fleet Air Arm:艦隊航空隊)の対潜哨戒ヘリで、アメリカ海軍のシコルスキーSH‐3シーキングをウエストランド・エアクラフト社がライセンス生産した機体です」

「対潜哨戒? やっぱり潜水艦って脅威なんですね」

「あなたの国のヤマト型戦艦の3番艦を設計変更した空母シナノも潜水艦の雷撃で沈んでいるわよ。

 それ以外にもウンリュウ、タイヨウ、ウンヨウ、チュウヨウ……」

「ああ~、もうその辺で。ハイ、センスイカン・コワイです」

「ま、その辺は本筋じゃ無いからいいわ。

話を戻すわよ。

 発見された小型船の方も、イギリス海軍のヘリコプターが接近して来る事に気付き、灯火を消して攻撃を仕掛けるの。

 小型船の正体はアルゼンチン海軍の哨戒艇2隻で、撃墜された航空機の搭乗員捜索が任務だったのよ」

「2対1って事ですか」

「いいえ。攻撃を受けたシーキングは一度距離を取って状況を報告。それを受けた駆逐艦コンベントリーとグラスゴーがリンクスを発艦させるの」

「リンクス?」

「同じくFAA(艦隊航空隊)のMATCHヘリコプターです。

 あ、MATCHですね。

 MATCHとは、Medium range Anti‐submarine Torpedo Carringの略で中距離魚雷投射ヘリコプターの事です。

 所謂対潜ヘリと考えて貰って良いかと思います」

「現場に到着したリンクスはシーキングの誘導でレーダーをロックオン、対艦ミサイル〈シースクア〉を2発連続発射したの」

「シースクアは、イギリスがヘリコプターへの搭載を目的に開発した空対艦ミサイルで、誘導はセミアクティブ・レーダー・ホーミングとなっています。

 部隊配備が機動艦隊の出撃直前に行われた最新型で、実戦投入はフォークランド戦争が初めてでした」

「リンクスから発射されたシースクアは2発共に哨戒艇を直撃し撃沈しているわ。

 残る1隻の方は、もう一方のリンクスによるミサイル攻撃を受けて艦橋の殆どを吹き飛ばされたんだけど、撃沈だけは免れた様ね」

「1隻撃沈、1隻撃破。

 相手は哨戒艇だけど、ヘリによる対艦ミサイルによる単独撃沈ね」

「そう。駆逐艦搭載のヘリコプターによる水上戦闘艦の撃沈が可能であると証明した、新しい戦例となった訳ね」

「あ~、なんかさらっと言いましたけど駆逐艦搭載のヘリって。この当時の駆逐艦って、ヘリも載せる様になってたんですね」

「大型化もする訳だな。もはや駆逐艦の原型ないだろ、これ」

「ぷぷっ、 

 “駆逐艦です” “良し、通れ” みたいな事起こってそう~」

「??」


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