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匍匐飛行 ~ ヘリコプターパイロットの細腕戦記 ~  作者: 梅小路 双月
第三章 ダーク研修会
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漸減邀撃作戦

漸減邀撃ぜんげんようげき、なんか凄く凄そうなワードだわ」

「おいジュリエット、だいぶ頭が悪そうになってるぞ。大丈夫か」

「日本海海戦の夢よもう一度ね」

「漸減邀撃作戦は、前提として敵も艦隊決戦を挑んでくる必要があります」

「そう、つまりアメリカ艦隊が日露戦争のバルチック艦隊の様に太平洋を渡って決戦を挑んでくる事が、まず前提として有る。

 その上で戦艦同士の決戦の前に、いかに多くの敵主力を削って五分と五分まで持って行く事が出来るかが鍵となる」

「潜水艦を前方に配置して戦いを挑み、砲戦距離の外から航空母艦による航空攻撃を行う。決戦前夜に行う駆逐艦による水雷攻撃も、全ては戦艦同士の戦力差を事前に埋める事が目的です。これが、いわば漸減邀撃ですね」

「日本の駆逐艦も潜水艦も、空母と母艦航空隊も、全てその為の能力を発揮できる様に発展・整備されて来たのよ。

 アメリカも日本を見てそれに対抗出来る戦力を整えてきたわ」

「ですが第二次世界大戦で艦隊決戦は起きませんでした」

「えっ、そうなの?」

「おいジュリエット、お前がさっき自分で言ったじゃないか」

「??」

「真珠湾攻撃。

 世界初の航空母艦の集中運用、【空母機動部隊】の発明。

 それと、もう一つ」

「マレー沖海戦ですね」

「その通りよ、カーリィ」

「マレー沖海戦?

 真珠湾攻撃は知ってるけど、そっちは聞いた事ないわ」

「真珠湾攻撃から2日後、マレー半島の東方沖でイギリスの戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスが、仏印(フランス領インドシナ:現ベトナム)の基地から発進した日本の攻撃機によって撃沈されたのよ」

「海戦と言っても、戦闘行動を取っていた戦艦が航空機の攻撃のみで撃沈された最初の戦いになります」

「この真珠湾とマレー沖二つの戦いで、航空機の護衛が付いていない艦隊は、航空攻撃に対して無力に近い事が周知されてしまう訳ね。

 日本がどれだけ意識していたのかは分からないけど、結果としてこれ以降実際に艦隊決戦は起こっていないわ」

「そして、海戦の主役は航空母艦を中心とした任務部隊となり、戦艦はその護衛を任務とする様になります」

「空母同士の戦いは、その後何度か起きるのだけれど、最終的に国力に優るアメリカが損失を上回る勢いで新たな戦力を投入し、短期決戦による早期講和の目論見が潰えた日本は勝ち目の無い持久戦に引き込まれて敗北してしまうのよ」

「まあ、後からなら幾らでも言える事だけど日本は本気でアメリカ相手に短期決戦で勝てるって思ってたのかな。

 だって、国力の差を見ればアメリカは持久戦にさえ持ち込めれば絶対に負けないんだから、当然そうなる事位分かりそうな物だけど」

「ホントに後付けだけれどね。勝てないにしても、もう少しましな負け方が有ったのかも知れないとは思うわよ」

「そうですね~。日本じゃ戦争=悪、軍隊=悪、戦争の事を考える事も勉強する事も悪って考え方がずいぶんと長い間広がってましたから。

 私も、学校で戦争が起こった理由とか詳しく教えてもらった記憶無いですし」

「当時日本は中国大陸に傀儡国家として満州を建国したり、朝鮮半島や台湾を自国の領土に組み入れたりしてたけど、同じ時期にアメリカだってフィリピンを植民地にしてたし、イギリスはインドやマレー、ビルマ(現ミャンマー)、フランスはインドシナ連邦(ベトナム・ラオス・カンボジア・中国広東省湛江市)、オランダは東インド(インドシナ共和国・マレーシア)って具合に東南アジアを好き放題してたからね。

 だからあの戦争も、お互いの利権同士のぶつかり合いで、決して正義と悪との戦いだった訳じゃ無い筈なのよ」

「そうですね、善悪はともかくとして、私の国が国内統一や独立の為の内輪揉めをしてた時に世界を相手に戦っていたなんて素直に凄いって思いますよ」

「ああ、又横道に逸れちゃったわね。

 でもいよいよミサイルが歴史に登場するわよ」


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