表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/20

第十五話


女二人は抱えて、男連中は紐で縛って走る。

ひたすらに重たいが、滋養強壮に利く薬をがぶ飲みしてとにかく足を動かした。

もし追い付かれでもしたら、リヒトに合わせる顔が無い。

とにかく今は走れ。北に向かってーーーー。

「なっ、アンタらは……!」

「勇者パーティ!?」

 森の中で出会ったのは、門番をしていた男と街の人々だった。



 いつ以来だろう。

 友人と呼びたくなった男に出会ったのは。

電光石火(スパーキング)!」

「うおっ、速ぇなァ!」

 渾身の高速移動にも魔王四天王を名乗る魔族、ガルバッタは身体を翻して難なく避けてみせた。

 眼が霞む。一体、今日だけで何匹の魔物を斬ったのだろう。

閃光(フラッシュ)!」

「ぐおっ?」

 リヒトは自問自答の中で、今は亡き家族の顔……、では無く。仲間たちの顔を思い出していた。

 彼らとは関わって日も浅く、特にニックなど性根の悪さは折り紙付きだ。パーティを組んだ当初は仲良くなれるとは思っていなかった。実際、今も友人と呼べる関係では無い。

 だが、彼の性根は腐ってはいなかった。

 本当に噂に聞く通りの盗賊ならば、魔物の群れに襲撃された時点で我々は死んでいただろう。

 契約だと言いながら、結局は助けてくれたのが彼の人の好さを物語っている。

「眩しいねえ! ギャハハハハハ!」

 一体彼は何を想い、どう生きて来たのだろう。

 どんな事をして来たのだろう。

 勇者についてどう思っているのだろう。

 聞いてみたい。話してみたい。


 私は彼と友人になってみたい。仲間になりたいーーーーー。


「眩しいねえ眩しいねえ……、眩しいな……、おい。……くそがぁああああああああっ!」


 その時、視界を潰されていたガルバッタが咆哮を上げた。

 ただ叫んだだけ。爆音から発せられる衝撃波がガルバッタを中心に広がり、今に首に斬り掛かろうとしていたリヒトも巻き込まれた。

(死にたく、ないなぁ……)

 リヒトは砂に塗れて倒れていた。

 意識は保っているが、身体の節々が折れ曲がっている。

 どうして自分でも生きているのか分からなかった。

 激しい痛みの中で、それでもリヒトは剣を杖替わりにして立ち上がった。


「僕は、勇者だ。……絶対に死んでたまるか」


 彼の名は今代の勇者 リヒト・アールデルタ。

 聖剣の名はエクスカリバー。その力は「不敗」。

その不屈の魂が折れない限り、敗北はあり得ない。





作者の励みになるので「面白かった」「続きが読みたい」などと思ってくれた方は高評価やブックマーク、感想などを是非よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ