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第八話

「……で、どうして俺は最前列に配置されているんだよ?」


 魔物がいつ出てきてもおかしくない森に入ってから、俺達は陣形を組んだ。


 現在のパーティの陣形は一番後ろに背後からの接敵に対応するために剣士のリヒト、中央には近接戦が苦手な弓師カル、聖女オリヴィア、魔術師マリンが置かれて、前列に敵のヘイトを買うための戦士のガッサムが置かれ、最前列に何故か盗賊の俺が配置されていた。


「普通だろ」

「パーティとしてはな! だが、俺は戦わない契約だったはずだぞ!」


 この陣形だと真っ先に敵と戦う事になるのが俺になってしまう。


「仕方ねえだろ、接敵を教えてくれれば後ろに下がっていいからよ」

「本当かよ……」

「おう。いざとなりゃあ、俺が護ってやる」


 あらやだ、ガッサムったら男前。


「それで? 昼頃に街には着く予定だけど、今日にはダンジョンに行くの?」

「いや、街には寄らずにダンジョンに直接行こうと思う」

「どうしてよ」

「まあ、せっかくこうして山道を歩いているんだし、身体が暖まっている方がダンジョンで連携も確かめやすいと思ったんだ。下手に怪我するよりはこっちの方が良いだろう?」

「なるほどね」


 マリンの疑問にリヒトが答えると納得した様だ。ぶっちゃけ俺は行きたくないけど、ガッサムを肉壁にしよう。


 ん。進行方向に魔物、多分ゴブリンだな。三匹か。わざわざ戦う程じゃねえし、少し道を逸らすか。


「ちょっと、どうして曲がったのよ」

「こっちの方が近道だから」

「ふうん。……ていうか、何でアンタがそんな事知ってるのよ」


 いちいち突っかかって来るな、こいつ。子供かよ。




 魔物との接敵は一度までに抑え、森を突き抜けると巨大なほら穴を見つけた。その前には何人もの衛兵が立っていて、ここが目的のダンジョンだっという事が分かる。


 基本的に発見されたダンジョンは国の管理下に置かれ、こうして衛兵や兵士が監視をする事になっている。それはダンジョンの魔物が氾濫を起こして溢れ出る事があるからだ。そうなれば近隣の街や村は壊滅的な被害が起きるため管理が不可欠となっている。


 俺達も連携の確認とか体のいい事を言われて送り出されたが、ダンジョンの様子を確認させるために寄こされたのだろう。氾濫の前兆を感じても、生きて帰って来られる実力が無いと死んで終わりだからな。


 面倒な事、この上ない。


「国王陛下から派遣された、勇者パーティだ。通して貰っても大丈夫か?」

「勇者パーティ! は、はい! どうぞ!」


 リヒトは勇者と名乗るだけあって、容姿は大変に優れている。普通に話しているだけでもキラキラが周囲に舞っている様だ。衛兵さんも男であるが心臓を射抜かれた様で、目を輝かせてリヒトの対応をしている。


 それからチラリと後ろの俺達を見て、さらに目を輝かせる。リヒトとタイプは違うがガッサムやカルもイケメンし、女性メンバーは誰が見ても美少女ばかり。


 まさに英雄的な容姿が揃っているというのに、中の下、いや下の上の俺がこの面子に並んでいるんだ。


「?」


 ほら、衛兵さんも不思議そうな顔してる。俺もだよ。


 公の場に出る事が多い勇者パーティなんだから、見た目にも気を遣えよ。


 俺みたいな奴をパーティに入れるなよ。


「で、では、健闘をお祈りします!」

「ああ。ありがとう」


 衛兵からの敬礼で見送られ、俺達はダンジョンに足を踏み入れた。





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