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はじまりのはなし その3

 朝のホームルームが始まると、やはり自己紹介をすることになった。

 緊張はする。人前に立つことは苦手だし、かなり怖い。

 いつもなら失敗したら笑われるかもしれない。なんて不安からお腹が痛くなったりするんだけど、優しい人ばかりだということを知ったからか今日は大丈夫そうな気がする。

 

 教卓のところまで出て、一礼をしたら顔を上げる。なんとなく涼花ちゃんの方を見たら、声には出さずに『がんばれ』って応援してくれて勇気が湧いてくる。その勇気を振り絞って声を出す。


 「浜岡麻衣です。楽しい学校生活を送れるといいなと思っています。これこらよろしくお願いします」


 少し声は震えたけど、でも声はちゃんと出て、噛んでもない。私にしてはかなり上出来な自己紹介だった。みんなも拍手してくれてからかわれることもない。小さいことかもしれないけどそれがすごく嬉しかった。


 今日は始業式のあとに簡単なホームルームをしておしまいらしく午前中で学校は終わった。鈴城先生が教室を出ていくと、クラスのみんなが私の周りに集まって来てくれた。

 朝、自己紹介したみんなの他に4人。4人が私に自己紹介をしてくれる。


「は~い、まずはわたしから自己紹介するね。わたしは田中 あずき(たなか あずき)。動物と女の子が好きでーす」


 なかなかに立派なものをお持ちでセクシー系な子だ。日焼けした肌に髪も赤紫っぽく染めているようで、アニメのお色気キャラに出てきそうな雰囲気。というか、いまあずきちゃん好きなもの女の子って言わなかった!? えっと、それはつまり百合的なサムシング?


「あーあ麻衣固まっちゃったじゃんあずき。いきなり女の子が好きとか言わない」


 悩んでいるのが伝わったのか美奈子ちゃんが助け舟を出してくれた。


「え~、だって本当のことだもん。麻衣ちゃん小動物みたいで可愛いし今度遊ぼ~」


「え、あ、え?」


「麻衣に手出すなよあず。お前はいつも通りナンパでもしとけ」

 

 ニコニコ笑顔でお誘いされ、どう反応すれば良いのかわからずにいると琴乃ちゃんが呆れた目をしながらあずきちゃんに注意してくれた。


「え~ことちゃんひどーい、わたしが誰にでも手出すみたいじゃん」


「実際出すだろ……」


「かわいい子だけだもーん」

 

「はいはい。麻衣、あずになんかされそうなときは言ってな。うちはもちろん、みんなももう慣れたやつだから適当に追っ払ってやる」


 みんなもうんうんと頷いていて、あずきちゃんはいつもこんな感じなんだろうなというのが伝わってくる。やっぱりみんなかなり仲良しなんだと思う。じゃないとこういうノリはできないもんね。


「じゃぁ次はうちかな?うちは芝崎 未希(しばさき みき)


 スラっと細身のクール系美女だ。薄茶色の髪にボブよりももう少し長いくらいの髪、なにより細目でつり目というのがクールさを更に上げている気がする。


「まいちゃん、気を付けてね。しばちゃんもあずちゃんみたくよく女の子ナンパして遊んでるから。ほいほいついていったらダメだよ? あぁ見えて肉食系のオオカミさんだし」


 桃音ちゃんが耳元でコッソリ教えてくれた。耳元でかわいい声はキュンとしちゃって心臓に悪い。しかし内容は全くかわいくなかったな。このクール系美少女こと未希ちゃんには注意する必要があるみたいです。別に私かわいい見た目してるわけでもないし問題なさそうな気もするけど、折角忠告してもらったから少し注意はしておこうかな。


「えっと、次いいかな? 私は中尾 美優紀(なかお みゆき)です。よろしくお願いします」


 おぉ、見た感じ完全に文学少女だ。黒髪の三つ編みおさげ、さらに眼鏡までかけている。これを文学少女と言わずになんというのか。あんまりお喋りではないんだろうか、すぐに引っ込んでしまうのが可愛さをプラスしている。癒し系だ。

 そして、自己紹介を受けていないのはあと一人。その子を見るとなぜか少し頬を赤くしていた。


「大丈夫? 少し顔赤いみたいだけど熱とかあるんじゃ」


 気になって、尋ねると女の子の体がぴくっと跳ねた。


「かわ……それにまだ……しらない私……心配をしてくれ……好き……」


 えぇっと、小声でよく聞き取れなかったけど、なんだろう一瞬ゾクッと寒気がしたような。気のせいかな。


「ねぇ、なんか実世の様子いつもと違くない?」


「だよね、あんなに喋ってる姿見たことないしテンションも高い気がする」

 

 陽菜ちゃんと美奈子ちゃんの会話が聞こえてくる。様子がおかしく見えるのは私の見間違えではないようだけどどうしたんだろう。


「みよ、とりあえず麻衣に自己紹介したら」


 美奈子ちゃんが言うと、みよと呼ばれている子が少しだけ前に出てきた。


山川 実世(やまかわ みよ)……」


「実世ちゃん、これからよろしくね」


「名前……! かわいい……好き……」


 可愛い?好き?

 私の目を見て……はない。なぜが目が合うと逸らされてるけど、私に言ったの? えっと……ん?どういうことなのかな。

 意味を聞きたいけど、藪蛇というかやめておいた方がよさそうな気配がしなくもない気がする。


「あー、うん。まぁとりあえず全員自己紹介すんだし今日は帰ろうか。みんなでお昼ごはん食べに行ったりできればいいんだけど急だと持ち合わせがない人もいるだろうし歓迎会的なのは今度やろうか」


「歓迎会いいね! みな流石だわ。カラオケ行こカラオケ」


「はる、お前の歓迎会じゃないんだぞ」


「え~でもこっとん歌うまいし、麻衣も聞いてみたかろ?」


「そうなの?」


「もーね、ばりうまかけん期待しとき。未希もなにげにうまかけんね。てかみんな結構歌えるっさね~絶対楽しかばい」


 そしてこの後みんなで歓迎会の話をしながらそれぞれの帰路についたのでした。この学校で、このクラスでな楽しくやっていけるかもしれない。そんな期待に包まれながら。

はじまりの話(完)

次回からはちゃんと百合させたい。

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