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昼休みの一幕

 とある日の昼休み。

 昼食を食べ終えみんな思い思いに過ごす中、私は美奈ちゃんと恵ちゃんと3人でお喋りをしていた。


 この2人と言えばクラスの中で特にアニメや漫画といった2次元が好きなメンバーであり、話題も自然とそういった話になっていく。


 「今期って言うかさ、最近異世界転生系のアニメ多いよね」


 美奈ちゃんが言い、私と恵ちゃんは頷く。

 確かにここ最近の異世界ブームは凄まじい。1クールに5本位は異世界ものがあったりする。いやもっとか?


 「私異世界もの好きで結構見るけど麻衣と恵も見る方? ちなみに私は主人公が女の子で乙女ゲーみたいな設定のをよく見るんだよね」


 なるほど、美奈ちゃんは乙女ゲームの世界に転生したとか、ヒロインや悪役令嬢に転生するような作品が好きなのか。

 乙女ゲームやってるって前に聞いたことがあるし、わりとイメージ通りかもしれない。


 「私も異世界物見るよ! 」

 

 そして私はどんなのを見てたかなと、今まで見てきた異世界系のアニメを思い浮かべてみる。色々見てはいるけれど共通点は何かあったかなと考えていると1つの共通点が思い浮かんだ。


 「そういうのも見るけど、どちらかといえば恋愛メインよりはバトルとかあるようなのをよく見るかも」

 

 可愛い女の子が武器持って戦う姿とかすごく萌える! 刀とかで華麗に舞う姿もいいし、大きな武器を振り回したりする姿もギャップで好きなんだよなぁ。


 そこからインスピレーションを受けて描いた武器×女の子のイラストが私のスケッチブックやお絵描きアプリの中に何人も眠っている。


 「私も割と雑食で色々みるけど、最近は異世界転生系でも百合が出てきてまぁ、美味しいよね」


 恵ちゃんがニコニコしながら手を合わせた。


 確かに最近は百合も増えている気がする。知らずに見ていて、これ百合だったんだと驚いたことがつい最近もあった。


 「恵はぶれないねぇ、私も異世界百合好きだけどね。でもそう考えると異世界百合はあるけどBLはまだあんまりないな」


 「あー、確かにないかも」


 BL作品自体は増えている気がするけど私は見かけたことがない。


 「まぁアニメ化してないだけで漫画とかなら異世界BLもありはするんだけどね」


 「あ、そうなんだ」


 恵ちゃんが少し驚いたような表情をしていた。

 私も恵ちゃんもそもそもあまりBLを見ないから知らないだけなんだな。

 考えてみれば今は誰でも作品を公開できる時代だし無いってことは早々ないんだろうね。


 「そだ、この話の流れで王道の質問していい?」


 異世界BLの話が一段落したところで、美奈ちゃんが次の話題を展開する。


 「もしも、もしもさ自分が異世界転生するってなったらどんな世界でどんなチート能力が欲しい?」


 「うわー、それ悩むやつ!」

 

 美奈ちゃんの問いに恵ちゃんが凄く楽しそうな顔をしながら返した。


 「でも誰もが一度は考えるやつだ!」


 そして私も超絶楽しい。

 こんなのオタクの妄想力ならいくらでも考えられる最強の話題だよ。


 まず異世界の設定から悩むよね。よくあるのは中世ヨーロッパ風とかだけど、中華風とかもありだし、恋愛シミュレーションゲームや好きな本の世界とかも楽しそうだ。


 もしもの話なのに私含め3人で真剣に考える。


 最初に思いついたのは言い出しっぺでもある美奈ちゃん。


 「私は、王道だけど恋愛ゲームの世界に転生してみたいな~。ヒロインもいいけど悪役令嬢もありだね。断罪ルートから逃れるために奔走するやつ。その過程で攻略キャラに好かれたり、同性の友達からも好意を寄せられたりとかさ、いいよね。それと魔法のある世界で、私は魔力量チートとか全属性使えるみたいなチートが欲しい。戦争とかみたいな命の奪い合いがあるようなのは嫌だけどね」


 確かに、恋愛ゲームなのにすごい本格的な戦闘があるみたいな設定のアニメとか多いよね。見る分にはいいけど、その世界に行くなら平和が良いのはわかる。

 でも多分私がその世界に行ってもコミュ障で周りの人に好かれまくるみたいな展開にはならなさそうな気がする。


 おもしれぇ女枠になればワンチャンあるかもしれないけど、そこまでぶっとんだ性格でもないしなぁ。


 「あーいいね。私も最近悪役令嬢もの好きだから気持ちわかる。私はどうせならゲームのヒロインポジの子から好かれて恋愛したい。悪役令嬢との恋もいいな…」


 「流石百合好き。ブレないね~」


 美奈ちゃんの言う通りだ。ここでもしっかり百合設定を盛り込んでくるあたり流石としか言いようがない。


 しかし、悪役令嬢との恋は楽しそうだな。だって絶対ツンデレじゃん!

 好きなのに素直に伝えられないとか萌えでしかない。

 

 『べ、べつにあなたの事なんて好きじゃありませんわ!』

 

 とか顔を真っ赤にしながら言われるんでしょ?

 可愛い……。


 「じゃぁ次は私が考えた設定ね~」


 私が1人ぐふふしている間に、恵ちゃんが手を挙げた。


 「私も戦争とか魔物との攻防とかそういうのは無くていいかな。命落としたくないしね。田舎でスローライフとかが私はいいかなぁ。で、欲しいものをネットショッピングみたいな感じで買える能力とか欲しいかも。それで日本の野菜とか果物の種を買って育てれば言い値で売れそうじゃない? 現代知識で小料理屋みたいなのをしても楽しそうかも」


 恵ちゃんが、平和な村で農業とかお店やってるの想像したらそれは何というか凄く幸せな風景が思い浮かんだ。絶対に似合う。


 「漫画とかアニメにしたらなんの変哲もなくて切られそうだけどね」


 そういって笑う恵ちゃんだが、最近は異世界でスローライフを送る物語も増えているし個人的にはありな気がする。


 「恵らしくていいじゃん! ちなみにそれは百合設定あるんですか」


 そこまでは考えていなかったのか恵ちゃんは少し考えてから話し始めた。


 「個人的には、男の人もいる世界での百合の方が設定としては好きだから全員が百合してなくてもいいんだけど、女の子同士も普通に認められている世界ならいいなとは思う。可愛い幼馴染とか、都会から引っ越してきた女の子とか、お忍びで旅行に来たお嬢様とかその女執事やメイドさんとか……良いよね。いっそ百合ハーレムもありかな? いやでも一人を一途に愛するのも尊いしっ」

 

 「恵~落ち着け~」


 設定を考えているうちに自分の世界に入り込んでしまいそうな恵ちゃんを美奈ちゃんがぎりぎり引き止めた。現実に戻ってきて恵ちゃんは少し恥ずかしそうだ。


 「つい熱くなってしまった……ほ、ほら次は麻衣さんの番」


 話を逸らそうと私に話題を回してくる恵ちゃん。

 別に恵ちゃんをイジメたい訳ではないので、私も自分が考えた設定を話すことにした。


 「うーん、私も平和な世界がいいけど魔物はちょっといてほしいかも。可愛いスライムとか犬みたいな見た目の子とかと暮らしたいな。それで、魔物とか動物の言葉が分かったら楽しそうだからそういう能力ほしいかも」


 「それもいいね。色んな子に囲まれて、その子たちの能力を借りながらの生活とか楽しそう」


 「あ~楽しそう。麻衣さんはやっぱり可愛い系が似合うね。スライムとか小型の魔物みたいな」


 美奈ちゃんがわかるわかると頷いた。

 私もわかる気がする。大きい魔物とか強いのは逆に舐められそうな気がする……。


 「美奈ちゃんは可愛いのもいいけど、かっこいい系とかも似合うかも。オオカミみたいな魔物とか!」


 「わかるっ! 美奈さんの隣に大きくて綺麗な毛並みのオオカミとかいたらそれだけで絵になるよね」


 想像するだけで美しい。大きな真ん丸の月をバックにした絵が思い浮かび、さっそくペンを取り出し、机の上に置いてあったプリントに下書きをしていく。

 私が思いついたイラストを急に描き始めることに慣れたのか2人は特に反応することもなかった。

 イラストを描いている私を置いといて2人は話を続ける。


 「恵はなんだろうな~」


 「うーん、私もどちらかといえば麻衣さん系かな? 大型の魔物とか想像できない」


 「そうね~、でもスライムとかはちょっと違う気もするんだよなー」


 確かに、大型ではないけど、小型も何か違う気がする。何が似合うんだろう。

 私もイラストを描きながら、恵ちゃんの隣に居そうな魔物を考えていると、美奈ちゃんが、あっと何かひらめいた。


 「恵はさ、人型の魔物とかいいんじゃない? 子どもみたいな子を可愛がってるのもいいし、同じ年くらい子とまったり生活していても違和感ない」

 

 「人型か~、なるほどね。自分でもそれが一番しっくりくる気がする」


 恵ちゃんの面倒見の良さからくるイメージなのかもしれないけど、私もこれには納得だ。

 平和な空間が容易に想像できる。


「できたっ」

 

 と、そうこうしているうちに美奈ちゃんのイラストもザっとだが完成した。美奈ちゃんと恵ちゃんが私のイラストを覗き込む。


 「うわっ、かっこよ……」


 「これこれ、私が想像した美奈さんのイメージピッタリ」


 「よくこんな短時間にここまでの物を…っておい麻衣さんや?」


 目を輝かせて褒めてくれていた美奈ちゃんが急に真顔になって私をみてくる。


 「え、な、何ですかね美奈ちゃん?」


 恐る恐る返事をすると美奈ちゃんから、えいっとチョップを食らった。


 「このプリント明日提出する数学の宿題じゃん! 何やってんの」


 「え?」


 言われて表を向けるとそこには確かに数学の問題が書かれていた。

 シャーペンで描いていればまだ消すこともできたが、ボールペンで描いてしまっているわけで。

 

 ……詰んだ。

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