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桃音ちゃん

 山北 桃音ちゃん。

 彼女は、可愛い子が多いこのクラスの中でもひときわ目立つ。


 小柄で透明感のある白い肌。明るい茶髪を普段はツインテールにしているのだがこれがまた似合う。ツインテールって可愛いけど、ある程度歳を重ねていくと人を選ぶ髪型でもあると個人的には思っている。

 基本可愛い系のお顔立ちをした子しか似合わない。私のような者がツインテールをした日にはきっと、「うわキツ」って言われてしまうと思う。


 おっと、話が逸れた。普段ツインテールの彼女だけど体育の後や休み時間に髪を下すことが良くある。その髪を下した姿がまた可愛いのだ。ツインテールの癖がついているのと桃ちゃん自身が癖っ毛なのか、髪の毛で猫耳を作ったような形になっている。

 

 可愛い子の猫耳姿。


 こんなの優勝するしかないじゃん?

 何にかは知らないけど。


 可愛いのは姿だけではない。

 仕草や行動もいちいち可愛いのだ。


 まず桃ちゃん自身の身長が低いのもあって基本上目遣い。

 同じ女なんだけど思わずキュンとしてしまうし、なんというか保護欲を掻き立てられる。

 

 あと、目線の動きが完璧。桃ちゃんが意識しているのかどうかはわからないけど、私を見ているのかなと思えばスッと視線を外し、次に目が合うとニコッと微笑んでくれる。思わず動きを目で追いたくなり、意識しないと目線を桃ちゃんに奪われがちになってしまうくらいだ。


 そしてもう1つ、適度なボディータッチとその触れ方だ。

 美奈ちゃんのようにずっとくっついているわけではない。でも気が付くと隣にいて手が触れたり、服のすそをキュッと握ってきたり。かと思えば、時に大胆に腕を組んできたりとタイミングと緩急が絶妙なのだ。


 

 とまぁ、挙げだすときりがないような彼女の可愛さなのだが、本当の可愛さはこんなものではない。

 彼女が1番可愛い瞬間は、幼馴染の恵ちゃんといる時だ。


 ずっと一緒に居たからなのか気を許した笑顔で凄く楽しそうに見える。

 私達といる時が楽しそうじゃないわけではないんだけど、あそこまでの笑顔はそう見られない。


 あの笑顔が幼馴染で気を許した相手だからなのか、それとも恋する女の子の顔なのか。私に判別はつかないが、もし後者だったとしたらそれはそれでなんというか、その、良いよね。

 めぐちゃんみたいに百合が好きとかではないと思うんだけど、最近興味が湧いてきてたりする。布教されたからなのか、はたまたこの学校にいるからなのかは定かではないけど。


 

「まいちゃ~ん」


 噂をすれば(考えてただけだけど)桃ちゃんが私の机の前に来た。

 凄いニコニコしているけど何かいいことでもあったのだろうか。


「まいちゃん、これプレゼント」


 そういって手渡されたのは一本のペン。持ちてがやや太めで、勝手な印象だけど桃ちゃんが選びそうにないタイプだ。

 それにしてもなんで急にプレゼントなんて渡されたのか見当がつかない。


「えっと、私べつに誕生日とかじゃないよ?」


 特に教えたこともないし勘違いとかではないと思いつつも他にプレゼントを渡される理由が思い浮かばない。


「あっ! そういえばまいちゃんの誕生日知らないね。いつがお誕生日なの?」


「9月23日だよ。ちなみに桃ちゃんは?」


「ありがとう、覚えておくね。わたしはねぇ、8月16日だよ」


 8月16日。

 忘れっぽいためその場ですぐにスケジュール帳を取り出しメモをする。

 記入を終えてスケジュール帳を閉じると再び桃ちゃんがペンを差し出してきた。


「これは誕生日とかじゃなくて、ただのプレゼント……んーそれじゃ味気ないかな? じゃぁお友達になれた記念にプレゼントってことで、はい」


 こういわれては受け取らないのも違うなと思い有難く頂戴することにした。

 

「ありがとう!」


「えへへ~受け取ってもらえてよかった」


 可愛い!笑顔が可愛すぎる!

 右手を手を頭の後ろにおいてはにかむなんて漫画でしか見ないようなあざとい仕草のはずなの可愛いよこの子!


「それね、書きやすいって人気の商品みたいだったから早速使ってみて」


 上目遣いの桃ちゃんに頼まれたら断れるわけがない。

 机の上に置いていたプリントを裏返し、ノック部を押す――。


 ビリッ


「いっ⁉ えっ、はっ、えっ⁉」


 何が起こったのか瞬時に理解はできず、思わずペンを投げるように離してしまう。

 

 ノック部を押した瞬間、電気が流れた?ビリッてしたよね今。

 訳が分からず目の間にいた桃ちゃんを見ると桃ちゃんは、すっごくいい笑顔で笑っていた。

 

 「まいちゃん、引っ掛かった〜」

 

 「え……これは一体」


  驚き過ぎて未だに状況が掴めないでいると、後ろからそっと肩を叩かれた。振り返えるとそこには、はるちゃんが同情するような表情で立っていた。


 「まいも引っ掛かったごたんね。私もしょっちゅう桃のひじきにされるっちゃんね」


 ひじき?


 「はる、ひじきじゃなくて餌食ね。なんで海藻出てきたの…」

 

 頭にハテナを浮かべていると、涼ちゃんがツッコミを入れた。なるほど、餌食ね。

 って餌食!? なんの!?


 「桃さー、こがん可愛か顔してイタズラばよくしてくるっさね。急にくすぐってきたりとか、よーするけん気をつけた方がよかばい」


 「このクラスのほぼ全員何かしらのイタズラされたことあるけど、陽はその中でも特にイタズラされてる」


 はるちゃんと、涼ちゃん。2人が言うのだから本当なのだろう。確かに私が驚いた顔してた時の反応が常習犯の反応だったような気もする。

 でも、あんなに天使な見た目の桃ちゃんが? イタズラ大好き?

 まだ信じられず、幼なじみだという恵ちゃんに目線を送ると、恵ちゃんは手を合わせて頭を下げた。


 え、なに、どういうこと!

 なんか怖い!

 そう思っていると目の前の桃ちゃんがポツリと言葉をこぼした。


 「麻衣ちゃん、反応良くて楽しいかも。また、よろしくね!」


 あぁ、なるほど。恵ちゃんは私が桃ちゃんの玩具になる未来を確信したんだ。ご愁傷さまと…

 桃ちゃんのニコニコとした笑顔が初めて恐ろしく見えた。

 桃ちゃんは天使なんかじゃない!

 堕天使だったんだ……

凄く久しぶりの投稿になってしまいました。

生きてます。

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