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数学の時間

 突然だけど、この学校の数学の授業はまず教科書で教えてもらい、教科書の確認問題を解く。そしてすべて正解した人から確認のプリントを解いていくというのが基本の流れになっている。授業中にすべて終わればいいが、終わらなければ残りは宿題となってしまう。

 そして私は数学がかなり苦手である。


 何が言いたいかというと、私は毎回宿題が出てしまうのだ。しかし私のような人もいれば逆に授業中にすべてのプリントを終わらせることができる人もいる。

 毎回すべて終わらせているのが、めぐちゃんと美奈ちゃんの2人。2人はどちらが先に全部終わらせることができるかを競い合うという私からすると異次元すぎる遊びを行っていて、授業時間がまだ余っているにも関わらず全て解き終わってしまう。


 暇な時間ができる2人は余った時間で私のような数学苦手組に勉強を教えてくれる有難い存在だ。

 

 ちなみに、涼ちゃんも2人ほど早いわけではないが授業中に解き終わる組。

 琴ちゃん、桃ちゃん、美優紀ちゃんの3人は自力で授業中に解き終われるかギリギリできないかという普通ペース組。

 そして私を含めた残りのメンバー、はるちゃん、あずちゃん、未希ちゃん、実世ちゃんは毎回宿題が出てしまう数学苦手組。


 今日もまた、早くに解き終えた2人はそれぞれ数学が苦手な子の元へ行き解き方を教えて回る。今日は美奈ちゃんが私の元に来てくれた。


「麻衣どこまで進んだ……って! また落書きしてるじゃん」


 美奈ちゃんに言われてプリントに目を向けると空白のスペースにゲームのキャラクターが数人。

 

「あっ本当だ。考えてたらたら手が勝手に」


 紙と鉛筆があればとりあえず輪郭を描きだしてしまう。ずっと絵を描いてたから癖になっちゃってるんだよね。


「勝手にって、毎回毎回これだけクオリティ高い絵を描いておいて無意識なのヤバいって」


「いやぁ、デフォルメキャラだしそんなに大したものじゃないよ?」


「十分凄いからね? デフォルメって意外とバランス難しいし」


「コツ掴めば結構いけるよ。ほら、ここをこう描いて、でここからこうすれば」


 紙に描きながら描き方を説明すると、美奈ちゃんは興味を持ってくれているのかよく見てくれる。


「おー‼ 凄い。確かにバランスよく描けてる」


「でしょー、じゃぁ次は美奈ちゃんも描いてみる?」


「うん……ってそうじゃなくて、ほら数学するよ」

 

「えー」

 

 美奈ちゃんが思い出してしまったようで、数学に引き戻されてしまった。

 このまま数学せずに済むと思ったのに!


「また宿題になるよ?」


「う……」


 宿題になるのは嫌だけど、やりたくないんだよねぇ。

 今やれば後が楽なのはわかっているんだけどさ、なんかこう、気持ちがね?

 

「あー、何で数学なんてやらないといけないんだろうね。卒業したら使わないのにさ」

 

 私がそう愚痴をこぼすと美奈ちゃんは呆れた顔をしながら私を見つめ言う。

 

「でたでた、数学苦手な人の常套句」


「でも実際専門分野とかに行かない限り使わないじゃん」


 すると、美奈ちゃんが溜息をつく。


「あのねぇ、使う使わないじゃないんだよ? 高校数学くらいも頑張れない人を誰が雇いたいですかって話よ。もちろん成績だけで決めるわけじゃないし、数学ができなくても雇ってくれるところはたくさんあるかもしれないけど、選べる幅は狭くなるよね?」


 それはまぁ、確かに……。


「将来への投資よ投資。後から勉強しようとしても大変なんだから。それにさ今ならできなくても恥ずかしくないんだよ? わからないの前提で教えてくれるんだから」


 正論すぎてぐうの音も出ない。

 

「ちゃんと教えてあげるから頑張ろうね、麻衣ちゃん?」


「はーい……よろしくお願いしまーす、美奈子様~」


 手伝ってもらえる時に終わらせないと1人でするのも大変だし、流石に反論もでないし。それに、そろそろ先生にも怒られそうだし。

 

 結局このあと、美奈ちゃんの協力のおかげでプリントは進んだけどあと数問残ってしまった。私がダラダラ話してなければ終わっていたかもしれないと思うと少しだけ反省です。

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