美奈子ちゃん
朝、学校につき教室に入ると既に来ていた面々から挨拶が飛んでくる。挨拶をしてくれたのは、美奈ちゃんを中心によく見る組み合わせで、他に、琴ちゃん、桃ちゃん、めぐちゃん、涼ちゃんの5人。
クラスのみんな仲が良いけど、このメンバーが集まっている姿は特に見かける気がする。
そして、ここ数日みんなといて思ったことだけど、美奈ちゃんはこのクラスのリーダー的存在というか中心となる人なんだと思う。クラスメイトが頼りにしているのはもちろん、先輩や後輩とのコミュニケーションも活発でよく声をかけられてるし、先生達も美奈ちゃんをかなり頼りにしている。困ったときの美奈ちゃんなのだ。
コミュニケーション能力が高くて、勉強もできて、運動神経もいい。そんな完璧な子なのに、このクラスでも上位にはいるくらいのオタクで特にBLをこよなく愛しているという一面も持ち合わせている。なんというか、強いよね。うん。強キャラというやつだ。
席に座ってそんなことを考えていると、美奈ちゃん達が私のもとへとやって来た。私が1人でいるとよくこうやって来てくれるんだからみんな優しい。
「麻衣、うちのことずっと見てたよね?」
美奈ちゃんのこと考えてたからずっと見てしまっていたようだ。気持ち悪かったかな……。
「あっごめん! 気持ち悪かったよね」
「違う違う、そうじゃなくて、ただ何考えてたのかなと思ってさ」
気持ち悪がられていたわけではなさそうだ。美奈ちゃんそんな子じゃないもんね。
「んー美奈ちゃんの事考えてた」
「うちの事? え、好きなの?」
「あー違う! そうじゃなくて」
「嫌いなの? 美奈ちゃんかなしー」
およよ……っとあからさまな泣きまねをしながらみなちゃんは隣にいた琴ちゃんに抱き着いた。
「おー、麻衣は酷いなぁ」
抱き着かれた琴ちゃんも普段なら嫌そうな顔をするのに、私をからかっているのが分かっているからなのか、美奈ちゃんの演技に乗っかってきた。
「もー! 美奈ちゃんも琴ちゃんもわかってるくせに」
「ちゃんと言葉にしてくれないとわからないなぁ。麻衣ちゃんは私のこと嫌いなんじゃないの?」
ニヤニヤしながら問いかけてくる美奈ちゃん。
「う……好き、だよ」
言わないとずっといじられそうで、恥ずかしくて小声になりながら伝えると、美奈ちゃんが抱き着いてきた。
「麻衣かわいい! 顔真っ赤じゃん。私も麻衣好きだよ~」
よしよし、と頭を撫でてくる美奈ちゃん。私は恥ずかしさで身動きが取れない。一緒にいたみんなも微笑ましそうに私達を見ていて余計に恥ずかしくなってくる。
しばらくなで続けられていると、美奈ちゃんが口を開いた。
「で、実際何考えてたん?」
今度は語弊なく伝えるため具体的に話すよう気を付ける。
「えっとね、美奈ちゃんって皆から頼られてて凄いなと。クラスのリーダーなのかなって」
「おおう……まさか褒められるとは思わなかった。でも別にリーダーとかじゃ無いよ?」
急に褒められて驚いたのか少し恥ずかしそうに頭を掻きながら言う美奈ちゃん。そんな姿に皆はここぞとばかりに私に加担してきた。
「いや、美奈はリーダーだと思うぞ。なんだかんだ言って良く周りを見てるし」
と琴ちゃん。
「そうだよね、わたしもそう思うよ。美奈ちゃんみんなから慕われてるもんね」
桃ちゃんが加わり、めぐちゃんがうんと相槌をうつ。
「私も美奈ちゃんにはよく助けられてるし、頼りにしてる」
涼ちゃんに至っては凄く真面目な顔で言う。
普段人をイジる方が多い美奈ちゃんだけど、イジられる方には弱いようで顔が赤い。
美奈ちゃんのレアな姿が見られたしこのくらいで終わるのかと思ったとき、めぐちゃんが追撃を始めた。
「それに美奈さん、可愛いところも結構あるよね。しっかりしてるように見えて甘えん坊だし」
「え、そうなの? 詳しく!」
美奈ちゃんが甘えん坊とはこれはかなり良いギャップだと思う。
「ちょっと恵さんや、何を言うつもりなのかな……」
美奈ちゃんの顔の赤みが更に濃くなり始め耳まで赤に染まっている。
「ほら思い出してみて、美奈さんさ、休み時間になる度に絶対誰かのところへ行って膝に座ったり抱き着いたりして人に触れてるんだよ」
言われて思い返してみると確かに美奈ちゃんは常に誰かにくっついている気がする。学校の中ではもちろん、下校の時も誰かしらと手を繋いでいる。
「そうそう。美奈は寂しがりの甘えんたなんだよ。胸とか尻を触ってきたりする変態なところさえなければ可愛いやつなんだけどな」
普段は美奈ちゃんに対して塩対応の琴ちゃんが可愛いなんていうからか、美奈ちゃんは今にも湯気が出るんじゃないかというくらい赤くなっている。
「赤くなってる美奈ちゃんも可愛い~」
「ホントだ、美奈ちゃん可愛い」
更に桃ちゃんと涼ちゃんが可愛い可愛いと頭を撫でながら言うものだからとうとう美奈ちゃんの目がウルウルとし始めた。
普段頼りがいのある美奈ちゃんのそんな弱った姿に思わずキュンとしてしまう。これがギャップか……なんと恐ろしいものなんだ。
「あぁもう! イジメだイジメ! みんなしてうちをイジメてきて……もういいもんね、麻衣のおっぱい揉んでやる」
「は、え! なんで私!」
「いいから揉ませろ」
「理不尽!」
そんなやり取りを皆は微笑ましそうに笑ってみていた。
助けてよっ!




