第二話
学園の門を通り抜けると何処を見ても人人人。入学生とその保護者、更に入学生を何か勧誘している人。
五月蝿い…。
人混みが嫌いな俺は辟易する。
事前にもらっている入学式の案内を見る。入学式はホールで行われるようだ。人を避けながらホールへと足早に向かう。
受付でブレスレットを貰い、左手に付ける。その後来た順に座るよう指示を受け、前の人に続いて進む。来たのが遅かったようで、だいぶ後ろの方の席だった。まあここなら居眠りしてもバレないだろう。
全員揃ったようで、司会進行役の人が話し出す。
「ーー次は学園長の祝辞です。」
舞台に上がる学園長はほんわかしたお婆さんだった。
「皆さん、入学おめでとうございます。此処には大勢の人が居ます。身分で言えば、平民から王族まで、多種多様な人が居ます。でも此処に居る間、その身分は無くなります。皆さん一律同じ学園生となります。衝突することも多いでしょう。でも余程の事が無い限り、教師は間に入りません。相談はいつでも受けます。でも自分達で切り抜けてください。どれだけ遠回りになろうとも、それも今を生きる皆さんの力となります。これから頑張ってください。」
学園長が去り、司会進行役の人が次へ進める。
「では次はブレスレット並びに実技試験についての説明です。」
きっちりと後ろで一つに結ばれた髪、細長く鋭い目付き、かなり神経質そうな女性が舞台に上がってきた。
「先ず先程受付で受け取ったブレスレットについて説明します。このブレスレットは貴方方の正体信号を受信するようになっています。我々はこのブレスレットで貴方方の生存を確認していします。また位置情報の発信もしており、生徒に何かあればその信号を頼りに教師が向かいます。また、魔物の討伐情報、成績情報なども自動で登録されるようになっています。ですので在籍している間はブレスレットを決して外さないようにしてください。最後に、ブレスレットには個人個人の情報が登録されており、生徒間での交換は不可能となっています。」
ふむ、ブレスレットは生命線なのだな。
生徒の中には腕を持ち上げてブレスレットを翳している人もいる。皆んな考えている事は同じ様だ。
「次に実技試験の説明をします。これから一時間、皆さんにはバトルロワイヤルをしていただきます。」
一斉に騒つく。
「静かに!説明を聴かない者は出て行きなさい!」
一斉に静かになる。
「有効打を入れる毎にブレスレットが反応し、カウントされていきます。どんな攻撃を受けようとブレスレットが最小限に防いでくれます。ですので貴方方は相手を気にせず全力で攻撃して構いません。だからと言って防御を疎かにすることはなりません。有効打を受けた回数も同様にカウントされます。如何に攻撃を躱し攻撃を決めるかがポイントとなります。最後に、ブレスレットを外した時点でその者は失格となります。」
教師は周りを見回す。うずうずしている生徒と怯えている生徒がいる。今年も生徒は二つに分かれるのだろう。どう立ち回るのかは生徒次第。
「では一次試験始め!」