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くたばれイケメン、美少女ども~~~陰キャたちの逆襲劇~~~  作者: カラカラ
プロローグ~~~陰キャたちの恨み
3/52

開幕!復讐劇!!

 彼らが大いなる決意をしてから早くも4時間が経過していた。その間、彼らは作戦を練っていた。いったいどうやって涼野風香の弱点を知ることができるか?彼らが出した答えは驚くべきものであった。


「普通に話しかける」


 これは誰にも思いつけない素晴らしい作戦である。他にも、彼女を尾行するとか、盗聴器を仕掛けるとか色々な手段を団員は提案していたが、リーダーはあまりいい作戦ではないと反対していた。


「いや、犯罪は良くないだろ」


 そういうわけで極めて合法的な手段で彼女に接近しようと考えついたわけである。しかし、ここで彼らに新たな問題が発生した。それは陰キャを陰キャたらしめる所以であった。


「どうやって話しかけるんだ?」


 そう、悲しいかな彼らにはその方法が思いつかないのだ。陰キャは陰キャには話しかけることができるが、普通の人間に何の用もなく話しかけることは、1発ギャグで爆笑させることくらい難しい。そういうわけで彼らはまだ何もできずにいた。


 昼休み、彼ら3人はいつも通り教室の隅っこで弁当を食べていた。畑山はサンドウィッチを、太は牛丼を、秀男は卵焼きを頬張っていた。そして、時折誰かが何かをつぶやき、適当に反応しまた食べる。彼らはいつもこんな感じである。下手に目立つとクラスメイトから視線を向けられ、


「うわっキモ」

「なんか喋ってるんだけど(笑)ウケる(笑)」


 などと陰口を叩かれること間違いなしだからである。まあ彼らの被害妄想なのだが。


 そんな感じで彼らの昼休みは過ぎていく。そう、今までの彼らであれば!サンドウィッチを食べ終えた畑山がついに動き出したのである!


「ちょっとトイレ」


 どうやらトイレに行きたかっただけのようだ。生理現象なのだから仕方ないことである。畑山はそのまま立ち上がり、教室を出ていこうとした。しかし、そこに太が待ったをかけた。


「おい待てよ。あれだけ大口叩いておいて何もやらないのか?」


 畑山の計画にノリノリであった太がついにズバリと言った。これにはさすがの畑山も図星を突かれたようで、顔を強張らせた。しかし、すぐに立ち直った畑山は向き直り、例のポーズを取りながら偉そうに答えた。


「もちろんやるさ、トイレが終わったらな」


 そう言って畑山は教室を出た。純粋な太はその言葉を信じ、待つことにした。秀男は次の授業の宿題をやっていた。


 偉そうなことを言ってトイレに向かう畑山だったが、内心どうすればいいのか頭を抱えていた。とはいえ、彼は何もしなかったわけではない。涼野風香を観察し、話しかけるタイミングを窺っていた。しかし、彼女は授業が終わるとすぐに友達らしき人物のところに行き、会話を始めてしまう。ほとんど隙が無いのである。会話の中に入るという手もあるが、それはある程度仲が良くなければ成功しない。はっきり言って手詰まりであった。


「どうしたもんかな......」


 トイレに着いた彼はトイレをしながら熟考した。しかし、彼は平凡な、いや平凡未満の頭脳しかもっていない。当然、妙案など思いつくはずもなかった。だが、トイレをし終え、手洗いうがいをしてトイレから出たときに彼の目にある光景が飛び込んだ。


「あ、これ落としましたよ」


「あ、ありがとうございます」


 親切な人がハンカチを拾って落とした人に声をかけたのである。とても美しい光景である。他者が困っていたら迷わず助けるその精神。人をひがむ彼らにもぜひ見習ってほしい精神である。この光景を目撃した畑山も何か感じることがあったのか、目と口を大きく開けていた。どうやら彼も自分の考えの愚かさに気づいたようである。そのまま、畑山は急いで教室にいる彼らの元に戻った。


「思いついたぞ、作戦を」


 どうやら単なる勘違いだったようだ。今の美しい光景から一体何を考えついたというのか?早速、畑山はその作戦を彼らに話した。太は手を叩いて喜び、秀男は宿題の答えを携帯で調べていた。


 作戦はこうである。涼野の近くに何かを落とし、彼女に拾わせる。そこで彼女に物を落としたことを言い、彼女と会話をする。こうすることで涼野との接点を作り弱点を探るという作戦である。


 しかし、畑山はこの作戦の不確実性を把握していた。まず第1に涼野が拾ってくれるとは限らないということ。気付かない可能性もあるうえに、たとえ気付いたとしても陰キャの所有物に触りたくないと考えてスルーする可能性だってある。涼野と話したことが無い畑山には彼女がどういう風に反応するのか予想できないのだ。


 運良く突破できたとしても、最大にして最恐の第2の問題を乗り越えることは容易ではない。それはどうやって会話を広げるかということである。ただ物を拾ってもらっただけでは、


「あ、何か落とさなかった?」


「これのこと?はいどうぞ}


「ありがとう}


 たったこれだけで会話は終了してしまう。これでは弱点など知ることはできない。陰キャである彼らにとって、それは難しすぎることであった。夏休みの宿題を最終日にまとめてやらずに計画的に終わらせろと言っているようなものである。


 だが、畑山は天才的な閃きによってこの難関を攻略する方法を思いついたのだった。


「じゃ、太、あとは頼んだぞ」


 突然の押し付けにさすがの太も困惑した。その反応を見通していたのか、畑山は人差し指を立てて太に指さした。


「当たり前だろう?俺は作戦を考えたんだぞ。これで俺が作戦を実行したら、俺しか働いてないじゃないか。それは不公平だろ?」


 なるほど、ごもっともである。確かに不平等は良くない。太は若干戸惑いつつも顔を上下にプルンプルンさせた。畑山は邪悪な笑みを浮かべ、秀男は諦めた。


「よし、さっそく行動に移せ、太!終わりの始まりだ!(小声)」


「うおおおおおお!」


「分かんねえ......」


 やっと始まる彼らの復讐劇!作戦は成功するのだろうか!?次回、涼野風香編開始!!



 


 

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