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くたばれイケメン、美少女ども~~~陰キャたちの逆襲劇~~~  作者: カラカラ
プロローグ~~~陰キャたちの恨み
2/52

俺たちの時代が来るぜ!!

 私立普津高校。偏差値50と極めて普通の頭脳を持つ生徒たちを集めた極めて普通の高校である。この学校で彼らは輝かしい青春の日々を送っているのだ。その輝きっぷりと言ったら、どの家にも必ず潜んでいる名前を言ってはいけない黒いアイツ並の輝きであった。


 しかし、今日の彼らはどこか様子が違った。いつもなら登下校では愚痴を言い、教室では隅っこで息をひそめていたのだが、今の彼らには目に光があった。


「それでどうやってやるわけ?」


 秀男は心底呆れながら質問した。彼の目には光など存在していなかった。理解していたのである。自分たち陰キャにはそんなパワーが無いことを。もしあるのならそもそもこんな青春の日々を送っていないということを。


 その質問に、目に太陽の光がある畑山はいつものポーズを取りながら答えた。あの人差し指だけを立てるポーズである。


「もちろん、法に触れるようなことをするつもりはない。俺の目標はイケメンと美少女をこの世から抹殺するだけだからね」


 さっぱり理解できないといった様子の秀男と太。じゃあ一体どうやって彼らを抹殺するというのか?ここで太はある疑問を抱いた。


「ていうか、美少女を抹殺する必要ある?イケメンは死ねばいいけどさ」


 至極ごもっともな意見である。男子ならば、大多数の人は美少女と付き合いたいはず。そんな誰もが求める美少女がいなくなってしまっては、陰キャの彼らだって困ってしまう。彼らの敵はイケメンだけなのでは?太の真っ当な考えに対し、これまた人差し指を立てながら答えた。


「ふっ、何を馬鹿なことを言ってるんだ?俺は美少女と仲良くなりたいわけじゃない。むしろその逆さ。あいつらは顔がいいってだけで人生イージーモードなんだぞ。将来は金持ちと結婚して専業主婦として自由気ままな生活を送るに違いないんだ。俺たちだって美少女だったらもっとチヤホヤされてただろうよ。とにかく、俺はあいつらが許せん。人生がどれくらいハードでナイトメアなのかあいつらに思い知らせてやるのさ」


 なるほど、これもまた正論である。たとえ、この世からイケメンが消えたとしても彼女たちは彼らに目を向けるわけではない。金を持つ人間に向かって全力ダッシュするはずである。畑山は美少女にも怒りを覚えているのであった。


 これには太も納得したようで顔を上下にプルンプルン揺らしていた。一方の秀男はまだ納得できていない様子だった。最初の疑問がまだ残っていたからである。


「で、具体的にはどうすんの?」


 秀男の質問に例のポーズを取りながら畑山は答えた。


「まずはあいつらの弱点を探るのさ。そしてその弱点を徹底的に突いてあいつらを堕落させる。これが俺たちのやり方さ」


 これまたふわっとした回答である。具体的にどうするのか全く分からない。しかもさりげなく秀男と太を巻き込んでいる。しかし、両者の反応は異なっていた。太は右こぶしを握り締めながら空へ堂々と腕を突き上げていた。もはや皮肉屋の一面はどこにもない。あるのは思考停止した乗せられやすい豚である。秀男は携帯をいじり始めた。


「とにかく、まずはあいつらのことを知る必要がある。で、誰をターゲットにする?」


 畑山は秀男の携帯を取り上げつつ言った。秀男は昨日の怒りが再燃した。自分の部屋で起きたコンセント抜き事件。あれにはまだ決着がついていないことを思い出したのだ。昨日の恨みもふくめて腹パンでもしてやろうか、そんなふうに考えた秀男だったがまたも思考がシャットアウトされた。


「だったら『イケイケ5』はどう?」


 説明しよう!『イケイケ5』とは文字通りイケてるやつら5人衆のことである。男子2人、女子3人で構成されたスクールカーストトップグループだが、何といってもその特徴は5人全員が顔面偏差値60後半ということである!完璧イケメン、エンジェル、陰のあるイケメン、クール、元気っこといった性格もそれぞれ異なるイケメン、美少女たちはクラスどころか学校内でも注目の的になっている。陰キャたちにとってはまさに天敵とも呼べる存在である。イケイケグループにとってはアリのようなものだが。


「もちろんそいつらが最終目標になる。でも、まだ俺達には経験値が足りない。そこでだ、涼野をターゲットにしようと思う」


 太の提案を却下した畑山は、聞いたにも関わらず自分で答えを出した。涼野風香は『イケイケ5』には及ばないものの、十分に美少女と呼べる女子であった。しかし、彼らと決定的に違う点はイケイケ5ほど明るい性格ではなく、男子とも全然話さないところであった。確かに最初に戦う相手として涼野を選ぶことは極めて自然だと言える。事実、太もそう考えたようでプルンプルンさせていた。秀男は窓の外を眺めた。


 彼らが乗っていた電車が学校の最寄り駅に到着した。そして、畑山は降りる際に陰キャメンバーに呼びかけた。


「さあ、行くぞ!俺たちの時代の開幕だ!」


「おおおおおおおお!」


「早く行けよ」


 次回、ついに彼らの復讐劇が始まる!!涼野を堕落させることが果たして陰キャで何の力も持たないくそみたいなカスたちにできるのか!?乞うご期待!!

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