異世界の村人に転生しました。幼馴染が聖女になって勇者パーティに入ったのでフラグを立てないようにひっそりと暮らしたい。
よろしくお願いします。
「……思い出した!」
12才のある朝、頭痛とともに目を覚ました俺は寝ていたベッドから体を起こすと同時にそう口に出した。
自分が、前世ではこことはまったく違う世界、日本と言う場所でサラリーマンをしていたことを思い出したのだった。
とはいえ、なんで転生したのかとか、前世の名前は思いだせないでいた。
これが異世界転生ってやつか……、と前世で読んでいた小説を思い返しながらあたりを見回す。
窓から見えるのは、いつもの畑と森が見える田舎の風景なのに、記憶がよみがえったせいか少し新鮮な感じがした。
……そう言えば、女神様には会わなかったなと、そんなことをふと思うのだった。
◇◇◇
この世界では、12才までにスキルに目覚め、15才で神様からジョブを授かるらしい。
スキルやジョブには聖剣使いや勇者といった物語に出てくるようなものから、鍛冶師や農民といった一般的なものまでいろいろあるという。
ジョブは教会で職業選定の儀で授かるのに対し、スキルは頭痛とともに突然頭の中に浮かび、自分にしか分からないのが特徴だった。
噂では、鑑定という、他人スキルが分かるスキルもあるらしく、国に一人以上はいて、重要な役職に就いているらしい……。
◇◇◇
ここで、この世界において子供のころから何度も聞かされる有名な御伽噺を一つしよう。
遥か昔に大変栄えた国があった。あるとき、その国の高位の貴族の男の子の眼の色が、スキルの目覚めとともに黒から真っ赤に変わった。
両親は貴重な魔眼に目覚めたと、ひどく喜んだそうだが、なんの魔眼か子どもに聞いてもはっきりとは教えてもらえなかった。
月日が経つと共に、それまで気弱だったその子は徐々に横柄な態度に変わっていき、周りには黙々的に付き従う女性達が増えはじめた。
その中には同年代はもちろんのこと、重要な役職に付く大人や彼氏や夫がいたものもいたそうだ。
その範囲は王族にも及び、何時かは、その影響力は国を動かすようにもなっていった。
彼はお金を湯水のように使ってきらびやかな生活をし、付き従わないものや気に入らないものは、盲目的に従う女性達を使って次々に排除していく。
そのうちに、国は貧しくなり寂れていった。
ある時、隣国から遣ってきた鑑定のスキルをもつものが彼を見たとき、魅了の魔眼持ちであることを知り、密かに自国に知らせると、隣国の王はその危険性を認識し即座に討伐隊を編成し攻めいった。
操られたもの達との戦いは苛烈を極め、多くの犠牲を出したが遂には彼を討つことに成功した。
すると、残った女性たちにかかっていた魅了は解け、自分の愛すべき人や両親を自分の手で貶め、あるいは殺めた彼女たちは酷く心を痛め、また、操られていたことを世間には許してもらえず、中にはその痛みや仕打ちに堪えきれずに自殺したものもいた。
そして、その国では失われた人材は戻ることなく、隣国に吸収され滅びていった。
それからというもの、魔眼、とくに眼の色が変化する魔眼は傾国のスキルと注意されるようになったのだとか。
これが、この世界で堕落王の魔眼として語られるスキルに関する教訓であり、
つまり、この世界では魅了といった人の心を惑わす魔眼はひどく嫌われ、見つかると良くて監禁、最悪殺されるかもしれないと言うことなのだ。
そして前世の記憶と共に頭に浮かんだ俺のスキルは
魔眼 : 魅了 暗示 幻惑 千里
……悪名高い人心を惑わす魔眼のオンパレード。唯一話せそうな千里の方が場違いな感じだな。
これはもう詰みだな、何がなんでも隠しとおさないと。
◇◇◇
「兄さんどうしたの?」
先ほどの声が聞こえたのか、金髪の髪を片方に束ねた俺とは似ても似つかない可愛らしい女の子が部屋に入ってくる。
彼女はアミス。二才下のかわいい妹だ。
「えっ? あぁいや。」
マズイと思い、自分の眼の色を見られないようにあわてて横を向く。
「どうしたのよ?」
そう言うと、向いた方に回り込んで顔を覗きこんできた。
眼の色を見られた。
そう思いながら、上擦った声で聞いてみる。
「アミス、へ、変なところはないかな?」
「え? うーん。」
こちらを真剣な顔でじーっと見たあと、にっこりと笑った。
「とくにないわよ。いつもどおりのにいさんよ。……あ、もしかして、とうとうスキルに目覚めたの?」
ベッドに乗り掛かり、体が触れあうぐらいに近づけてくる。
「そ、そうなんだ。」
「へー。良かったね。で、なになに? 教えてよ。」
ぐいぐい来る妹に俺は唯一話しても問題なさそうなスキルを答えようと思い、少し思いとどまる。
たしか魔眼持ちは国にとって貴重な存在で、見つかり次第、捕らえられ隔離し管理されるのだとか。
話せそうな千里でも、その能力は千里を見通すもので、戦ともなれば重用されものの一つである。
そして、そもそも俺は、王都から遠く離れたこの村でのゆったりとした生活が気に入っていた。
「……えーと、鷹の目みたい。」
俺は、少し遠くが見えるスキルを答えた。
これだとスキルを読まれない限りばれないだろう。
「へー。鷹の目かー。たしかにちょっと眼の色が水色っぽいかも。兄さんの狩に役立ちそうだね。 だったら兄さんのジョブは狩人とか弓使いとかかなー。」
スキルにジョブが引っ張られるのか、はたまた逆かは分からないが、スキルとジョブは関係することが多いということが知られていた。
アミスはうんうんと何か納得したように頷いていた。
「ほら、もう分かっただろ。さあ退いた退いた。」
そう言って、ベッドから降りるように促す。
「はーい。それじゃあ、父さんと母さんにも教えくるね。」
アミスはベッドから飛び降りると、返事も聞かずに両親のいる台所の方にかけていった。
さて、両親のもとに向かう前に、これからのことを考える。
通常、人心に影響を及ぼす魔眼は眼の色が変わることが知られている。
知っている限りでは次のようなものだ。
魅了:赤
暗示:青
幻惑:黄
にも関わらず、俺の眼の色は変わっていないように見えるらしい。
うーん、これが転生特典ってやつだろうか。
そう思い、このことについては考えるのを止める。
次に、これからのライフプランだ。
おそらくこのスキルを使いこなせば、冒険者でも、王国の兵士でも成功は約束されたものだろう、もしかすると騎士、王にだってなれるかもしれない。
まぁ、持っているスキルが見つからなければだが……。
ただ、有名になればなるほどバレるリスクも増えるのは必然。
よし! 方針は、スキルは隠してこの村でひっそり暮らすだな。
そう決めた俺は両親と妹の待つ台所に向かうのだった。
◇◇◇
「あら、リト、起きたのね。」
「スキルに目覚めたそうだな。アミスに聞いたが狩に役立ちそうなスキルでよかったな。」
机に座るこの世界の母さんと父さんが話しかけてきた。
「うん、そうだね、良かったよ。」
そう言って椅子に座ると、用意してあった朝ごはんを食べる。
「そうだわ、リト、ミーナちゃんが朝来てたわよ。」
母さんが教えてくれた。
ミーナは俺の幼馴染で、近くに住む同い年で仲の良い女の子だ。
「分かったよ。後で行って見るよ。」
「兄さん、私もいっしょに行っても良い?」
「ああ、良いよ。」
アミスは嬉しそうに、その場で跳び跳ねる。
「もう、アミスはリトの後にいつも着いていって、リトのことが大好きね。」
「ええ、私、兄さんとずーっと一緒にいるの。」
あきれる母さんにアミスはそう返し、こちらの反応を伺うようにちらっと見た。
妹とは言え、前世で言えばアイドル並みに可愛い女の子からこう言われると、ついついにやけてしまう。
◇◇◇
俺はアミスを連れてミーナに会いに、彼女の家に向かう。
ちょうど家の外に出ていたようで、家の前に立っていた。
彼女は茶色の髪をショートボブにした美少女だ。
「ミーナ!」
「あっ、リト。来てくれたの?」
こちらに気がついた彼女は手を大きく振ると元気よく駆け寄ってきた。
「ミーナ姉、私もいるよ。」
そう言ってアピールするアミス。
「あ、アミスも来てくれたの。うれしいわ。」
「それで何か用があったのか?」
「ええっと、ねぇ、今日用事がなかったらいっしょに遊ばない?」
遊びと聞いて、一瞬、何をするのかと思ったけれど、彼女にはよくままごとに付き合わされていたことを思い出す。
どう返そうかと考えていると、
「それより聞いてよ、ミナ姉。兄さん、スキルに目覚めたのよ。」
「え? そうなの? ねぇ、リト、何に目覚めたの?」
すごく期待した目でこちらを見てきた。
「鷹の目よ、鷹の目。これで狩が楽になるね。」
自信満々にアミスが答えた。
「ていうか、なんでお前が先に答えるんだよ。」
そんなアミスをジト目でみると、あははと彼女は笑って目を反らした。
「やったわね、リト。これで結婚してからも安泰ね。」
ミーナはことある毎に結婚と口に出すのだ。
俺たちまだ12才、とはいえ早ければ16才を過ぎた頃には結婚するこの世界では早すぎるということはない。
ふと横を見ると、アミスがムスッとした顔で……。
「ちょっとミナ姉、何いってるのよ。兄さんはずっと結婚しません!」
「ふふーん、おば様たちにはもう認めてもらっているもん。」
いつものようにじゃれあいが始まった。
二人には嫌われてはおらず、どちらかと言えば好かれているんだろう。
前世の記憶が甦り、精神年齢が上がった今ではよく分かる。
まあ、まだ子供の話なので本気というわけではないのだろうけれども。
ただ、前世の記憶がなければ本気にしていたのかもしれない……。
「ずっとこうやっていられたらな……。」
ただ、思わず言葉に出ていた。
「え! ……そうね。」
ミーナは少し顔を赤くして、俯きながら嬉しそうにしていた。
ここでの暮らしには心踊るような冒険はないけれど、ゆったりと過ぎていくこんな生活が続くのも悪くない、そう思うのだった。
……アミス、そのブスッとした顔はやめなさい。
◇◇◇◇◇◇
15才になった俺は、職業選定の儀を行う教会へと向かう。
ようやく俺の順番となり、神父様に授かるジョブを教えてもらう。
さて、何がでるか……。ラノベでよくある勇者とか……。
いやいや大変そうだしなぁ。
暮らしに役立つ狩人とかがいいな。
俺は一歩前へ出ると膝をついて目を瞑ると、言葉をじっと待つ。
「……リト、おまえのジョブは木彫り職人だ。」
「……へ? 」
思わず神父様の方を見る。彼は何を勘違いしたのか、こちらを見てにこりと笑うと、深く頷いた。
「……え、えーー!」
俺は思わずその場で声を上げた。
いやいや、どういうこと、狩人じゃないの?
俺はとぼとぼと、教会から出る。
外にはアミスが待っていた。
「兄さん、何だったの? やっぱり狩人? だって、スキルが鷹の目だもんね。」
期待するように目を輝かせる。
そう思うよね。いや、狩人じゃないんだよ、木彫り職人なんだよね。
そう思い、妹に職業を告げる。
「いや、えーと、木彫り職人?」
「へっ?」
アミスは口を開けたまま、唖然としている。
おそらく、ジョブを告げられた時、おそらく俺もこんな顔をしていたのだろう。
◇◇◇◇◇◇
狩人のジョブを得て安定生活の夢は断たれた。
こうなったら木彫り人形をこの村の特産品にして儲けてやると意気込む。
そうこうしていると教会の方が騒がしくなったので、周りの声に耳を澄ます。
「えっ!ほんと?」
「聖女だって!?」
そんな声が聞こえた。
気になって、騒ぎの方に向かうとそこには戸惑いながら立ち竦んでいるミーナがいた。
彼女を見ていると俺と目が合う。
「あっ、リト……。」
駆け寄ってくるミーナ。
「どうしよう、リト。わたし……、聖女って。ねえ、勇者様のお供になるのかな。魔物と戦ったことなんてないし……。」
いつもの明るい彼女とは違い、怯えた様子で俺を見る。
聖女は一人だけと言うわけではないらしく、習わしでは、年の近いものの中から勇者のお供が選ばれると聞いたことがある。
ミーナに心配しなくてもいいと、聞いた話を伝える。
「そうだよね……。」
さっきよりはマシな顔になった彼女を見て少し安心する。
「おお、ミーナ、そこにいたのか。それにリトにアミスも。」
声のした方に顔を向ける。
「村長。」
後ろには神父様もいた。
「ミーナ、そう心配することはない。確かに聖女は珍しいがそうそう勇者のお供になるもんではない。のう、神父様?」
「そうですよ、ミーナ。あなたはまだ聖女候補なのです。聖女になる可能性のあるものが現れたことは王都に連絡しますが、候補は他にもいますし、そのまま村に残るものもいるのですよ。気にせず王都からの連絡を待ちましょう。」
「さあ、王都に連絡するためにいろいろ手続きがある。こっちに来なさいミーナ。」
「はい……。」
ミーナは二人に連れられて、とぼとぼと歩いていく。
「なんか大変なことになっちゃったね、兄さん。大丈夫かなミナ姉。」
アミスも心配そうにミーナを見ていた。
「神父様も言っていただろ。大丈夫さ。」
俺はアミスにそう返したけれど……。
これってラノベの幼馴染ものでよくある勇者のお供になるパターンじゃねえの、そう思わずには居られなかった。
ミーナは嫌いじゃない。……どちらかといえば好きだけれど、ひっそり暮らしたいし。
……どうすればいいんだか。
◇◇◇◇◇◇
それからどうしたらいいか悩みながら答えを先送りにして、はや一年ほどが過ぎ、何もない日々が続いていた。
ミーナも選定の儀のことは忘れ、元気を取り戻していた。
ブオンブオン。
ミーナは俺が護身用に渡したお手製の棍棒を振り回していた。
硬くなるよう魔眼を使って木に暗示をかけ、振った際に軌跡を捉えられないよう幻惑の魔眼を使って彫り上げた珠玉の一品だ。
木にもこだわった。
家にあった金物でも削れない堅さを持つ入手先不明の木を魅了の魔眼を使って削りあげた一品だ。
魔眼ってこんな使い方するんだろうか。
どうやら素振りは終わったようで。
「ふう。」
日課になった素振を終えると見ていたおれのとなりに座る。
俺とミーナはいつものように二人でお喋りをしていた。
といっても、ミーナの話を聞くことの方が多いが。
「ねえ、リト。」
「どうしたんだ、改まって。」
「私たち、もうすぐ16才じゃない? いい頃合いだと思うのよ。」
いつもと違い、恥ずかしいそうに下を向きもじもじするミーナ。
鈍感系主人公ではない俺はさすがに気がつく。
いよいよ覚悟を決めるときが来たようだ。……まあ、いつも言ってたしね、結婚、結婚って。
「そうだなミーナ、分かったよ。でもその言葉は俺から改めて言わせてくれ。」
気持ちは決まっているが、この場で流されて返事をするのはよくない。
やはり、男の俺からきっちり言わないと。
「え? うん! 待ってるね。」
一瞬戸惑いをみせたミーナだったが、俺の顔を見て悟ったのか、嬉しそうに笑った。
その場は別れて家に帰り、後日会うことにする。
まあ、返事のときには何か持っていった方がいいのか? 指輪……は買うお金がないし。
家に帰り、両者に今日のことを伝える。
祝福してくれる二人を見ると、俺も嬉しくなった。
ただ、アミスは始終俯いていて、ブツブツいっていた。
「……チッ、あの泥棒……、よくも兄さんを……。」
恐くて話しかけれない……。
ただ、その日を境に、ミーナに会うことはなかった。
どうやら急遽、王都から呼び出しがあり、村での別れの挨拶も許されずに連れていかれたのだった……。
◇◇◇◇◇◇
あれから半年が経った。
後から村長に聞いた話だと、どうも王都で勇者が召喚され、そのお供として選ばれたのだとか。
村長は俺とミーナとの関係を知っていたようで、謝られてしまった。
ミーナの詳細な状況は分からない、噂程度に、勇者と聖女の話が伝わってくる。
やれ魔族に襲われていた街を救っただの、やれ凶悪な魔物を討伐しただの。
まぁ、元気にはやっているようだ。
ただ、一度くらい手紙でも送ってくれても、と思わなくはない。
……まあ、さすがに少し堪えたしな。
もし前世の記憶がなく、もっと精神的に未熟だったら追いかけてたりしたのだろうか。
あるいは、忘れられずに待ち続けるとか……。
これが幼馴染連れ去られフラグを回収するやつだろうか……。
あの時、魔眼を使っていればまた違ったのだろうか。
そんなことを思う。
いやいや、と頭を振る。
スキルは使わずこの村で平穏にがモットーだ。
というか、これもフラグ!?
「兄さん、まだ、ミナ姉のこと引きずっているの? 元気出して、ね?」
横に座り覗きこんでくるアミス。
あれから、考え事をしていると、アミスが元気付けようと話しかけてくることが多くなった。
ていうか、すごくアミス近い。
アミスももうすぐ15才。
顔にはまだ幼さは残るものの、所々女性らしさを帯びてきている。
具体的には、腰回りとか、お尻とか。
……胸は残念ながら成長途中のようだ。
視線を感じ、ふと顔を上げると、我が妹がジト目でこちらを見ていた。
「……兄さん、どこ見てるの?」
慌てて否定する。
「……はぁ。 元気がでたのなら別にいいけど。」
ミーナがいなくなって以来、アミスは以前に増して、事ある毎にくっついてくるようになった。
前世の知識から言えば、ブラコンていうやつだ、おそらく重度の。
……なぜ、こんなブラコンになったのか、いや元々か。
その兆候は十分にあった。
「そう言えば、もうすぐ選定の儀だな。 アミスは何になるんだろうな。」
「うーん、村の生活に役に立つものがいいな。 狩人とか? 兄さんのご飯を私が採ってくるの。」
「いやいや、おまえいつまで一緒にいるつもりだよ。」
「決まっているじゃない、そんなのずっとよ!」
当たり前のように言う妹にドン引きした。
いや、ほんと……なんでこんなブラコンになったのか。
◇◇◇◇◇◇
ある日、村長のもとに王都から俺宛に手紙が届いた。
この世界では、元の世界のように軒先にポストがあるわけではない。
村長の家に向かう。何故かアミスも着いてきた。
「チッ、あの泥……猫、いまさら何を…。せっかく兄さんと……。いや、別れの……かも。だったら、……うひひ。」
後ろでぼそぼそとしゃべっているアミス。
いつにも増して怖い……。
こいつって重度のブラコンでさらにヤンデレか?
村長から手紙を受け取り差出人をみると思った通りミーナだった。
まあ、王都に知り合いなどいるわけがない。
他に思い当たることはスキルだが、ばれたのだとすれば悠長に手紙が来るわけがない。
いきなり兵士に囲まれ、よくて連行、最悪その場で切られるだろう。
村長に了解をとり、その場で手紙の封を開ける。
中には数枚の紙に文字が書かれていた。
リトヘ、
そんな始まりで書かれていた手紙には、要約すると次のようなことが書かれていた。
いままで連絡できず、申し訳ないということ。
今は勇者様と仲間たちと各地を巡回し人々を手助けしているということ。
時々、村での生活が恋しくなると言うこと。
最初は怖いことが多かったけれど、勇者様のおかげで最近はそれも薄れてきたということ。
今度、勇者様たち一緒と村に寄る機会があるということ。
その時に俺に伝えたいことがある。
……そんなことが書かれていた。
「良かったな、リト。ミーナは近々、勇者様と一緒にこの村に訪問するそうだ。」
「……そうですね。」
村長には一言だけ返す。
心の中では……。
いや、はっきり言って、これって寝とられてるでしょ。
伝えたいことって別れ話ですね、分かります。
いやいや待てよ、そもそも結婚もしてないし、正確には結婚の約束の直前だったんだから寝とられではないか……。
前世で学生、社会人と過ごす中で彼女もいたことがあれば別れた経験もある俺は、そう思っていた。
ちなみに、隣で一緒に見ていたアミスは俯きながらも、口元には笑みを浮かべていた。
◇◇◇◇◇◇
アミスの選定の儀の日がやってきた。
「兄さん、緊張するね。」
「まあな、でも聞くだけだからな。」
「もう、兄さんは。」
そんなことを言いながら、アミスの番を待つ。
いよいよ順番が回ってきた。
神父様の前に立つアミス。
「アミス、あなたのジョブは……。 な!?」
神父様が一瞬詰まる。
俺はいやな予感がしつつも見守る。
「おほん。 あなたのジョブは剣聖です。」
周りがざわつく。
「へ?」
戸惑い、何が起こったのか理解できていないアミス。
あ、これよくある勇者のお供、妹寝とられフラグだ。
俺はそう思わずにはいられなかった。
◇◇◇◇◇◇
あの後、村長と神父様に連れられていくアミスに付いていき、話を聞き、日が暮れたあと家に帰って来た。
話の内容は予想通り、剣聖が表れた場合、王都に知らせる必要があるということ、勇者のお供になる可能性があるということだった。
その晩、家族会議が開かれた。
机には俺以外の三人が既に座っていて、アミスは俯いていた。
「どうしたんだよ、改まって。アミスのジョブのことか?」
あれはどうしようもないだろ、そう思いながらも親父に問いただす。
「いや違う。 いやまあアミスのことではあるんだが。」
勿体振っていう親父に再度聞く。
「だったら何なんだ?」
「アミスは……、お前とは血が繋がってない。」
「へ? 」
「お前は覚えていないかもしれないが、お前がまだ幼い時に知り合いから預けられた子供だ。」
「なんだそんなことか。」
まあ確かにおかしいとは思っていた。
アミスは俺とも両親にも似ていなかったからな。
「兄さんは何とも思わないの?」
アミスは怯えた風に聞いてくる。
「だってアミスはアミスだろ?」
そう言ってやると、唖然としたあと……。
「あはは、何それ。」
彼女は嬉しそうに笑うのだった。
◇◇◇◇◇◇
その晩、庭に出て一人座り月を眺めていた。
この世界の月も、前世と同じように黄色い丸い月だった。
せっかく異世界なんだから、2つ並んだ月とか色の違う月が見たかったな。
そんなことを思う。
「兄さん…。」
声をかけられ後ろを振り返るとアミスがいた。
彼女は横に座ると……。
「大変なことになっちゃったね。」
今度はジョブのことだろう。
「そうだな。」
「私も勇者様のお供にいくのかな……。」
「どうだろうな。」
「……。」
そのまま無言でいると……。
「ねえ、兄さん。ううん、リト。結婚しよっか。」
「は?」
思わずアミスの方を見ると、彼女の顔は呼吸が聞こえるほどに間近にあった。
「気付いてるよね、私、あなたのことが好きよ、ずっと。」
アミスは俺を真剣な顔で見つめつづける。
「それに私たち血は繋がってないもん。ミナ姉はこんど別れるって言いに来るんでしょ。勇者様のお供になる前に絆を作っておきたいの。」
「いや、ミーナの手紙はまだそうと決まったわけでは……。」
「……そう、まだ諦めてないのね。」
やばげな雰囲気と暗い目になったアミスに慌てる。
「いやいやいやいや、……ほら、そもそもミーナに結婚するって言う前に連れていかれたからなあ。」
「……ふーん、そうなんだ。ちゃんと返事はしてないんだ。」
最後は聞こえないほど小さな声で言い、ジーっと見たあと、パッと明るい顔に変わった。
「兄さん、そろそろ家に入ろ。風邪ひいちゃうわ。」
そう言ってドアに向かった。
それから数日後、アミスを呼ぶと、手に持っていた木剣を渡す。
勇者のお供に行くかもしれないと聞き、彼女のために、護身用にと彫ったものだ。
「ほら、それやるよ。家にあったあの糞硬い木を削って作った剣だ。」
「え? ……うん、大切にするね。」
剣を抱えると嬉しそうに微笑んだ。
◇◇◇◇◇◇
あれから数ヵ月が経った。
アミスは、ぼーっと見ている俺の目の前で以前あげた木剣を使い日課の素振りをしている。
俺に隠れて昔から剣の練習はやっていたらしい。
本当の家に伝わる剣術の型だとかで、親父に教えて貰っていたんだとか。
何気にあの両親も謎な存在だよな……。
一方の俺はというと絶賛悩み中だ。
選定の儀があったあの晩、アミスに告白らしきものをされた後、次の日の朝に顔を合わせた際には、何事もなかったように挨拶をされた。
一瞬、前の晩のことは夢かと思ったぐらいだ。
うーん、かわいい妹に翻弄されている気がする。
前世も併せると精神年齢的には一回り以上は違うはずなんだけどな……。
どう返事したものかね。
噂ではもうすぐ勇者様御一行がやって来るらしい。そう、あの手紙をくれたあいつがやってくるのだ。
どうせ、リト、ごめんなさい、私、勇者様と結婚します!って報告だろうから、もう手紙でも済ませてくれてもいいんだけどな。
前世だと、LENEやメールで別れる話をしてくるやつもいたんだから、別に気にはならない。
「どうしたの? 兄さん。」
いつの間にかアミスの顔が目と鼻の先にあった。
こいつにもちゃんと返事しないとな。
先伸ばしすると前みたいに中途半端になりそうだ。
まあ、結婚してもいいんだけどな、かわいいし。
そんなことを考えていたら、無意識に言葉が出ていた。
「なあ、アミス、結婚するか。」
「へ? え? えー! ちょ、ちょっと待って兄さん。」
ひっひっふーと目の前で呼吸を調えるアミス。
「ひゃ、ひゃい。しましゅ、します。」
噛みまくっていた。
なんかかわいい。
「わ、わたし、母さんたちに報告してくる。」
そう言って慌てて走っていった。
「くひひ、やった。ミナ姉ごめんね、私は兄さんと幸せになります。勇者さまと幸せにね……。」
走る直前に聞こえてきたそんな言葉に俺は苦笑いしながら、ゆっくりとアミスの後に続いて家に向かった。
家に着くと、大喜びの両親に迎えられた。
晩には村長と神父もやってきて、式はすぐには上げないが、結婚を認められることになった。
そして、それから数日後、とうとう勇者様御一行がやってきた。
◇◇◇◇◇◇
「へー、お前がミーナの結婚相手か。ふん冴えないやつ。」
「「へ?」」
ミーナとともに俺のところにやってきた勇者様の突然の言葉に俺とアミスの言葉が重なる。
「ユウヤ様、そんなことないわ。リトは優しくてかっこいいわよ。」
ミーナはニコリと笑顔のままそう言うと、腰に下げていた棍棒を手に持つと下に叩きつける。
ブオンと風を切る音がした後、ドーンという音がひびく。
「「へ?」」
再度、俺とアミスの言葉が重なる。
ふと下を見ると、所々赤黒く染まったどこがで見た覚えのある棍棒が地面を叩き割っていた。
「ひっ!」
顔を上げて勇者を見ると顔がひきつっていた。
たぶん俺の顔も……。
想像と違ったミーナの様子を見て。
いや、俺、殺されるかも……。
ミーナがこちらを見る。
「それで、リト、アミスも久しぶりね。元気だった? それに、リト、ごめんね、長い間待たせて。」
「え? あ、あぁ。」
ちらりと横目でアミスを見ると、下を俯いて目元は見えないけれど口元には笑みを浮かべていた。
アミスさん、恐いです。
「ミナ姉、久しぶり。リトとふたりで会えるのを楽しみにしてました。」
一転、顔を上げて、ニコリと笑う、いや嗤うアミス。
いやー、アミスさんを止めてー!
「リト? 呼び方を変えたの?」
「ええ、そうですよ。だって私たち結婚したんです。」
一瞬、シンとなり、時間が止まったような錯覚を覚える。
……いやこのままずっと止まっていてくれれば。
「ど、どういうこと? あはは、そうか冗談ね、アミス、笑えないわよ。」
「いえ、本当のことですよ。」
再度、時間が止まる。
首を少し横に傾けて笑顔のアミス。
かわいいけど、それ逆効果……。
ミーナは俺を見ると……。
「ねえ、リト、どういうこと? あなた、言ったわよね。あの返事、改めてリトの方から答えるって。いつからなの?いつ結婚したの?」
手に持っていた棍棒がクンっという音とともに振り上げり、ミーナは肩に担ぎ直す。
やばい、たぶんこれ答えを間違うと死ぬやつだ。
周りを見ると、みんな固唾を飲んで見守っていた。
勇者様と目が合うと、さっと逸らされた。
いや、助けてください。
善良な村民がピンチです。
「え、あ、いや、数日前に……。」
なんとか答える。
「数日前……。じゃあ、何時から付き合ってたの? 結婚しようって言ったのはどっちから? 」
まだピンチは続くようだ。
失敗すると、あの棍棒が頭に降ってくる。確実に。
「いや付き合ってはなかった。最初に言い出したのはアミスだけど、でもちゃんと答えたのは俺からだ。」
それを聞いたミーナはアミスを見る。
「ねえ、アミス。リトはあなたのお兄さんよ。結婚はできないわ。」
「リトと私は血が繋がってないの。だから、問題ないわ。」
その言葉を聞いて、絶句するミーナ。
「なっ!くっ。 ……いや、でも、手紙、手紙渡してたよね。あれは読んだよね?」
俺は答える。
「あ、ああ。いや、てっきり、勇者様との結婚の報告と別れ話だと思って……。」
ミーナはキョトンとした後。
「へ? あれは少しゆっくりできそうだからって話よ。……そう、あれを勘違いしたのね。」
ミーナは顎に手を当てて考え込む。
「ねえ、リト。別れ話と思ったってことは、まだ想っていてくれたってことよね。」
「チッ。」
舌打ちが聞こえたので、チラリと横を見ると、アミスがそこに気づいたかと言わんばかりにミーナを睨み付けていた。
「え? いや、それはまあ……。」
「そう。……数日前か、だったらまだ何とかなるかも。」
そう言うと、彼女は村長の家の方へ走っていった。
「ねえ、ニイサン、なんでミナ姉にハッキリ断らなかったの?」
残念ながら、俺のピンチはまだ続くようだ。
◇◇◇◇◇◇
何故かアミスとの結婚は解消された、というか、なかったことにされた。
ミーナとの関係をはっきりさせてから、とのことだ。
ミーナと一緒に家に説明に来た村長と神父様のひきつった顔が印象的だった。
「こういう時に権力って大切ね。勇者パーティーに入っていて良かったわ。」
幼馴染はそんなことを言っていた。
何をしたんだか。
つい数分前までマイ嫁であったアミスはというと、始終ブスッとしていた。
ただ、ミーナがアミスの耳元で何か話した後、アミスは驚いた顔をした後、ニヤリと笑うと。
「はあ、ミナ姉は仕方ないですね。」
そう言って、自分の部屋に帰っていった。
それから、ミーナといろんな話をした。
俺からも色々と話をした。
ミーナが久しぶりに自分の家に帰ったあと、庭で空を見上げる。
当たりはすっかり暗くなり、月明かりだけが辺りを照らす。
「はぁ、今日は疲れた。」
そう言いながら、月を見上げる。
「良い月ですね。」
突然声をかけられ、驚いて振り返る。
「えっと、貴女は?」
そこには白銀の長い髪をした綺麗な女性がそばに立っていた。たしか、勇者一行の一人だったはず。
「私はメリッサ。賢者をやっています。」
賢者。
これまたレア職だ。
「えと、その賢者様が俺に何か用ですか?」
彼女はうっすらと笑みを浮かべと、そのすべてを見通すような目で俺を見てきた。
「用と言うわけではないのですが……。私は勇者様について人材発掘を行っているのですよ。」
「人材発掘……。」
そんなこともやっているのかと、彼女の仄かに茶色の光を帯びた目を見ながら思う。
魔眼? たしか茶色は……。
スキルが発現してから魔眼に関して調べた記憶をたどり、思いだして俺はビクッとする。
茶色は鑑定!?
スキルを見られた?
「うふふ、そんなに脅えなくてもなにもしません。」
「鑑定の魔眼……。」
「魔眼についてよくご存じなんですね。」
「いえ、昔、興味があって……。お伽噺にもでてくるので。」
「うふふ、そうですね。」
そう言って、へたに身動きできない俺の顔に手を沿えると、彼女はその眼を覗き込む。
「遠くからだと黒目だけれど、近くで見ると少し水色がかってるんですね。角度を変えると黄や赤や青にも見える、……きれい眼。」
されるがままの俺。
「うふふ、魅了されそうな綺麗な眼ですね。……うぅ、持ち帰って解剖したい。」
ボソッと出た言葉を聞いた俺は、ばっと手を払うと離れて距離を取る。
「うふふ、冗談ですよ。明日、ミーナさんから提案があると思います、それを受けてもらえれば、ですが、うふふ。」
返事も聞かずに彼女はその場を去って行った。
……いや、ほんとうに疲れた。
◇◇◇◇◇◇
次の日、ミーナに呼ばれ村の広場に行くと、すでにミーナとアミスが待っていた。
「剣聖になったアミスは本格的に王都で修行することになるわ。私も少ししたら王都に戻らないといけない。それでお願いなんだけれど、リトにもいっしょに来てほしいの。」
ミーナは昨日とは真剣な眼差しをしていた。
アミスも心配そうにこちらを見ている。
「あなたにも理由があって、この村から出たくないことも感じているわ。それでもお願いします。私たちといっしょに来てください。」
彼女たちは頭を下げた。
「なんでそれを……、いや、俺は……。」
そう言おうとして、ふと遠くにある木の影のメリッサと目が合う。
彼女はうっすらと笑うと小さく手を振っていた。
……昨日の晩のことを思い出し、ぞっとする。
少し冷静になる。
かわいい二人についてきて欲しいと頭まで下げられるなんて前世ではありえない光景だ。
……せっかく異世界に来たんだから、ちょっとぐらい冒険するのもありかな。
「ふぅ。」
一息、ため息をつく。
「二人とも顔を上げて。」
ビクッとして、恐る恐る顔をあげる二人。
「いっしょに行くよ。いや、俺の方こそ一緒に行かせてください。こんなチャンス滅多にないしな。」
そう言ってニヤリと笑う。
それを聞いた二人は抱き合って喜んでいた。
いや、けっしてメリッサの脅しが効いたわけではない。
それからはトントン拍子で事が進んだ。
両親も若いうちの冒険はしとくもんだと、快く送り出してくれた。
出発の日、村長や神父さん、知り合いに挨拶した後に村の入り口に向かう。
そこには既にミーナとアミスが待っていた。
メリッサも周りに気づかれない程度に小さく手を振っている。
これからみんなといっしょに王都に向かう。
平温にこの村で暮らしていこうと思っていたけれど、どうやらもう少し幼馴染と義妹に振り回されることになりそうだ。
最近小説を読んでいて幼馴染や妹にもっと救いをと思い書いてみましたが、幼馴染・妹ともにキャラクター像があらぬ方向に…。気が付けば勇者くんより強キャラになっていました。
主人公は王都で幼馴染や妹、さらに賢者やほかの聖女たちに振り回されることになるでしょう……(爆発しろ)。
登場人物の紹介
リト 主人公 村人 転生者
ジョブ: 木彫り職人
スキル: 魔眼 魅了 暗示 幻惑 千里
正式名称 神代の魔眼(幻)、人だけでなく空間、物に作用する魔眼
スキルはひた隠しにしている、普段は狩人をしているが弓はそこそこの腕前。
木彫り人形を特産品として売り出し、一儲けして田舎でひっそり暮らしたい。
アミス(アミリニアス) 義理の妹
ジョブ: 剣聖
スキル: 剣神の愛し子
剣の速度増、威力増、切れ味増、あらゆる剣が装備可能、魔剣のバッドステータス無効、聖剣の使用可能などチート
このスキルは亡き王国の王家の血筋のみに現れる。
リトの2才下、2才のときにやってきた。
ミーナを出し抜こうとしている、ヤンデレ、重度のブラコン
折れない木剣をこよなく愛する、兄の愛の力と思っている
ミーナ 幼馴染 勇者パーティの一員
ジョブ: 聖女(癒しの聖女)
スキル: 大いなる癒し(範囲拡大、効果増大、肉体活性化)
結婚を約束事をしたつもりの人。
明るい、活発。長年リトの微弱な魅了の影響を受けて、魅了への抵抗はかなり高い。
実は勇者への贄として王国から選ばれた。勇者は魅了が効かないことにヤキモキしているが実力行使はできない。彼女のほうが力が強いから…。
アミスの兄への思いに気づいており先手を打ったが、王都に連れていかれた。
折れない棍棒をこよなく愛する、リトの愛の力だと思っている。
王都には、ほかの聖女の友達がいる。
ユウヤ 異世界勇者 転移者
ジョブ: 勇者(異世界)
スキル: 聖剣使い
特典: 魔術(魅了)
リトやミーナより2才年上
剣の国の勇者。魅了の魔術使い。魔術のためスキルには現れない。ただパーティーの女性メンバーは何故か魅了できず、いらいらしている。
王国関係者には魅了のスキルに似た何かを持っていることはバレており、利用されている。魅了されても良いメンバとしてミーナをパーティに入れた、が魅了されないことに不思議に思っている。
メンバには聖女のほかに、賢者、魔導士、聖騎士がいる。聖騎士は男。
メリッサ 勇者パーティ、王国のスキル査定者、執行者
ジョブ: 賢者
スキル: 魔眼 鑑定
ミーナが会いに行った際に主人公のスキルを少し見て興味を引く。
人材発掘を任されており、職業柄、抵抗のタリスマンを身に着けている。元S級冒険者。
国に悪影響を及ぼすスキルを見つけた際の執行者でもある。
木製の棍棒
リトが魔眼の権能をいかんなく使い、ミーナのために彫り上げた珠玉の一品。
硬化や幻惑、魅了無効、他者使用禁止といったエンチャウントがかけられている。
へたな武器より軽くて丈夫。
木製の剣
リトが魔眼の権能をいかんなく使い、アミスのために彫り上げた珠玉の一品。
硬化や幻惑、魅了無効、他者使用禁止といったエンチャウントがかけられている。
へたな武器より軽くて丈夫。
なお、柄にはくまの絵が彫り込まれている。