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俺はマスクドナイト  作者: yamaki
第二部 VS魔法少女
55/384

3-3.


 何事も予習は必要だろうと言うことで、千春は一足先にファミリアショーへ出演を果たした戦友の動画を見ていた。

 リュー、魔法少女である星川 千穂が生み出したリアルドラゴンである。

 かつて千春とシロとは共に渡りのモルドンと戦かった仲間であり、その戦闘力は保障できる。

 普段はシロと対して代わりの無いミニチュアドラゴンであるリューだが、一度モルドンの前に立てばその姿は一変する。

 全長数メートルの立派なドラゴンとなる戦闘形態のリューは中々の迫力があり、気が弱い人間であれば正面に立つことすら難しいだろう。


「"よーし、よしよしよしよしよし!!"」

「"□□□っ!?"」


 しかし流石はマジマジの名物コーナーである、ファミリアショーである。

 動画内でファミリアショーの主である"マジゴロウ"は、ド迫力なドラゴンの巨体に抱き着きいて見せたのだ。

 日常時の手乗りドラゴンサイズの時ではなく、あの戦闘形態の姿となったリューに対してである。

 その上で狂気染みた笑みを浮かべながら、リューの硬いウロコで覆われた肌を撫でまわす光景には一種の迫力があった。


「…噂には聞いていたけど、凄いな。 シロ…、お前も多分こうなるんだぞ?」

「○○○…」


 ファミリアショーで弄ばれているリューの姿を見ていた千春は、膝の上で同じものを見ていたシロに話しかける。

 顔見知りであるリューが弄ばれている姿は衝撃的だったのか、シロは明らかに困ったような感じで動画と千春の姿を交互に見ていた。

 シロとしてはこんな扱いを自分が受ける事はお断りだろうが、残念ながら既にファミリアショーへのオファーは天羽がノリノリで受けた後だ。

 シロに対する言葉が見つからない千春は、慰めるようにその頭を乱暴に撫でる事しか出来なかった。











 基本的にファミリアショーにおける主役は使い魔なので、その使い魔を生み出した魔法少女はあくまでおまけでしか無い。

 魔法少女当人が顔出しNGの場合もあり、その場合は使い魔だけがファミリアショーへ登場する場合もある。

 実際にリューの回では星川は出演を辞退したようで、動画には終始リューしか登場していなかった。

 今回のNIOHチャンネルへのオファーもあくまでシロに対しての物であり、そのおまけとして飼い主枠が一名分だけ確保されている。

 そして現状のシロの飼い主と言われれば、それは残念ながらNIOHチャンネルの主である少女ではなく主演俳優のヒーローになるだろう。


「お、此処だな。 へー、此処で撮影するのか…。 結構広い牧場だな…」

「…こっちです。 バイクはそこに停めて貰えますか」


 天羽経由で事前に指示された撮影場所に、今日のゲストであるシロとその飼い主の千春の姿があった。

 郊外のとある牧場の一区画を撮影スペースとして使っており、恐らく此処で毎回ファミリアショーの撮影が行われているのだろう。

 千春たちを出迎えたファミリアショーの主である"マジゴロウ"は、その名前に似つかわしくない女性である。

 そもそも魔法少女が男である筈も無く、マジゴロウを名乗る彼女は年齢的にも精々高校生くらいだろう。

 オーバーオールを身に纏い、髪もショートカットにしているマジゴロウの姿はこの牧場によく似合っていた


「初めまして、NIOHさん…、でいいのかな? 私のファミリアショーへようこそいらっしゃいました」

「ああ、それでいいよ。 マスクドナイトNIOH、矢城 千春だ。 今日はよろしく頼むよ」


 爽やかな笑みと共に挨拶するマジゴロウの姿は、服装と相まって純朴な田舎少女と言った感じだ。

 その雰囲気に気を良くした千春は、同じように笑みを浮かべながらマジゴロウと言葉を交わす。

 先のリューの動画もあって若干の偏見を持っていた千春であれば、初対面の少女からは動画であったような異常さは見られない。

 あれは演出の一環だったのかと納得しかけた千春であるが、シロの姿を見て豹変した彼女の姿子からそれは間違いであると知らされてしまう。


「それでこいつは…」」

「あぁぁぁ! き、君がシロちゃんかーー!! 可愛いなぁぁぁぁ、よーし、よしよしよしよし…」

「〇〇〇〇っ、〇〇〇!?」

「うわっ、早速やられているよ。 もうお約束だよな…、マジゴロウの熱烈な抱擁は…」


 マジゴロウと言う名前は、公式的にはハゼ科の魚であるムツゴロウから取ったと紹介されていた。

 しかしどう考えても此処で言うムツゴロウは、一昔前に動物好きの強烈なキャラクターで一世を風靡したあの人物から来ていることは明白である。

 マジゴロウを名乗る少女はシロの姿を見た途端に千春へ詰め寄り、有無を言わさずにそれを奪い取ってしまう。

 シロを腕に抱きかかえて一心不乱に可愛がるムツゴロウの瞳には、もう千春の姿は入っていないのだろう。

 過剰なスキンシップに驚いたシロは逃げようとするが、マジゴロウによってがっしり掴まれた腕はびくともしない。

 このまま邪魔が入らなければ、マジゴロウは何時までもシロを可愛がり続けることは明白であった。


「…☆☆☆!!」

「あ、ごめん、ガロロ。 また夢中になっちゃったみたいね…」

「へー、これがあのガロロか。 家のと違って、見た目は完全に犬だな…」


 流石にそろそろシロが可哀そうだと思い、マジゴロウを止めるために千春が声を掛けようとする。

 しかし千春に先んじて、マジゴロウの足元から跳躍した影が彼女の顔面に体当たりをしたのだ。

 痛みは殆ど無かったようだが衝撃で正気を取り戻したらしいマジゴロウは、ようやくシロを解放してあげた。

 そして自分を止めた先ほどの影、シロより一回り大きいくらいの小型犬サイズのそれに対して謝罪を口にする。

 ガロロ、魔法少女であるマジゴロウの作り出した使い魔は、何となく白い目で主である少女の姿を見ていた。


「おーい、大丈夫か、シロ」

「○……、〇…」


 主の暴走を体を張って止めてくれたガロロの活躍で、シロはマジゴロウの魔の手から解放された。

 しかし動画でのリューのように、早速マジゴロウの洗礼を受けたシロは既にグロッキーの状態です。

 これで本番のファミリアショーが出来るのかと、千春は始まる前から若干不安を覚えてしまう。











 魔法少女の使い魔と一まとめにしても、その種類は千差万別だ。

 例えばシロは顔に当たる部分がクリスタルになっており、ぬいぐるみに近いその姿は明らかな人造の作品であることを示している。

 それに対してマジゴロウの使い魔であるガロロは、見た目だけであればほぼ完全な小型犬の姿をしていた。

 実際の犬と変わらない茶色掛かった毛皮に覆われて、シロと違って目鼻もしっかりとある。

 クリスタルも体に埋め込まれているのではなく、犬用の首輪に見える首元のパーツに嵌め込まれていた。

 リードでも付けて街を歩かせてみたら、ガロロを魔法少女の使い魔だと思う者は誰も居ないだろう。


「ファミリアショーの時間だよー。 ガロロ、みんなに挨拶してーー」

「☆☆☆、☆☆☆!!」


 千春とマジゴロウとの軽い打ち合わせを終えて、早速今日のファミリアショーの撮影が始まった。

 事前に天羽を通して段取りは聞いているし、そもそも素人番組であるファミリアショーで事細かな台本は存在しない。

 カメラの前でマジゴロウとガロロのコンビが、慣れた様子でオープニングの挨拶を行う。

 そしてマジゴロウの軽い雑談が挟まれた後、いよいよ今日のゲストである千春とシロの出番である


「はい! それじゃあ、今日のゲストの登場でーす。 今話題沸騰のシロちゃんと、その相棒のマスクドナイトNIOHさんでーす!!」

「どーも!!」

「□□□!!」


 マジゴロウの呼びかけに応えて、シロを腕に抱えた千春がカメラの前に姿を見せる。

 これでもNIOHチャンネルで何度も撮影をしており、テレビ出演まで果たしてしまった今の千春に緊張などある筈もない。

 普段通りの態度で千春はシロと共に、これからこの動画を見るであろうファミリアショーのファンたちに挨拶をした。

 ゲストにシロとその飼い主である千春を招いた本日のファミリアショーは、いよいよ此処からが本番である。



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