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俺はマスクドナイト  作者: yamaki
第四部 始まりの魔法少女
263/384

3-11.


 魔女狩りの襲撃によって、イベント会場である魔法学部の実験場は散々な状態になってしまった。

 しかしこの事態を狙ってイベントを企画したので、今の状況は千春たちの思惑通りと言っていい。

 襲撃者の登場を受けてイベントに来ていた観客たちは避難を始めたようで、千春たちが居る舞台から急いで離れていく。

 事前に言い包めていたスタッフたちが避難誘導をしてくれているので、大きな事故を起こす事なく避難が行われているようだ。

 一部の馬鹿な野次馬たちはカメラを構えて実況を続けるようだが、仮に彼らが戦闘に巻き込まれても自己責任だろう。


「奴ら…、何が目的だ?」

「えっ、私が狙いじゃ無いんですか? お兄さんの力を弱体化させるために…」

「それならもう少しやり方があるだろう。 どちらかと言えばこのやり口は、イベントを壊す事の方が目的に見えるが…」


 千春は未だに無言を貫いている魔女狩りの三人の様子を窺いながら、彼女たちの行動に違和感を覚えていた。

 先の友香への襲撃時のやり取りから見て、彼女たちの第一目的は最大の障害であるNIOHの弱体化である。

 そのためにNIOHを作り出した魔法少女の一人である、このNIOHチャンネル主こと香を狙ってくると考えていた。

 そして千春が一番警戒していたのが、あの姿を隠せる死神による奇襲である。

 奇襲に備えて千春やリューが常に香の傍に居て控えていたので、奇襲が難しかったということはあるかもしれない。

 しかし本当に香が狙いであれば、先ほどのような無差別な妨害工作をする意味は無いだろう。


「…久しぶりだな、死神さん。 さっきの耳障りな音は、そこのちっこい奴の能力か?」

「そう、その通りよ! 魔法少女なんて私の不協和音で苦しめばいいのよ!!」

「シックス!? それ以上は…」


 以前の魔女狩りとのやり取りを鑑みて黒いフード付きローブを纏った二人の内、背の高いリーダー格が例の魔法少女殺しの能力を使う筈だ。

 消去法で先ほどの魔法少女限定の嫌がらせのような能力は、もう一方の背の低い方のフード女であろう。

 以前にも千春たちに対して生意気な口を叩いていた少女は、千春の問い掛けに答えて自慢げに能力を披露する。

 そのまま水を切ったように少女は、死神の咎める声を無視して魔法少女に対する恨み言を吐き出していく。


「何が魔法少女よ、何がマジマジよ! お前たちが居たから、私たちの家が滅茶苦茶になったのよ!!」

「魔法少女がお前の家族に何をしたって言うんだよ?」

「馬鹿な魔法少女が私のパパを使って、芸能界入りしようとしたのよ!! そのせいで馬鹿女だけでなく、私のパパも職を失って…、それが原因で私の家族は崩壊した!!」

「ああ、ゲームマスターのお怒りを買ったパターンか…」


 以前にも触れた通り魔法少女を作り出したゲームマスターと呼ばれている存在は、彼女たちを使った金儲けを決して許さない。

 魔法少女の力を使って商売を始めようとした者たち、当人である魔法少女と彼女の協力者たちは人知れず消えてしまう。

 どうやらあの魔女狩りの父親はメディア関係の人間であり、知ってか知らずか魔法少女の禁忌に触れてしまったらしい。

 少女の口振りから見て魔法少女と手を組んだ彼女の父親は、仕事を失い人生が破滅してしまったのだろう。

 魔法少女の存在によって家族と人生を振り回された少女が、その復讐のために魔女狩りの一員となった訳だ。


「魔法少女なんて化け物が人気者になりたい、ちゃんちゃら可笑しいわ! パパを自爆に巻き込んだ魔法少女も、マジマジで調子に乗っていた奴だった!!

 マジマジなんて場所があるから、そこで馬鹿みたいにはしゃいでいるお前らみたいな奴らが居なければ、私の家は今でも幸せだったんだ!!」

「シックス…」


 シックスと呼ばれている魔女狩りの少女が言う通り、マジマジで活動している魔法少女がある日を境に消えてしまう事は未だにある。

 マジマジと言う箱庭で自己承認欲求を満たせなくなった魔法少女が、リスクを承知で外の世界に出ようと試みるのだ。

 しかし芸能界などの外の世界ではどうしても金銭のやり取りが発生してしまい、ゲームマスターの手によって破滅させられてしまう。

 マジマジは外の世界に出たいと願うような承認欲求が強い魔法少女の溜まり場であり、シックスの家庭を崩壊させた者の同類が集まっている。

 語られた彼女の家庭環境を考えれば、マジマジで活動している今回のイベント出演者たちは決して許せない輩なのだろう。


「私は全部手放したのよ! 生まれ育った家も、大事にしていたバイオリンも!! 私の苦しみをお前らも味わえばいいんだわ!!」

「その楽器がお前の魔法少女としての力か!!」

「あれは彼女の演奏会だったのね…、酷い演奏ねー」

「止めろ、復讐なんて何も生まない…」


 恐らくマジョルの攻撃を避ける際にローブの下に隠していたらしい、クリスタルが埋め込まれたバイオリンを取り出す。

 どうやら先ほどまで千春たちを苛んでいた音の暴力は、あのバイオリンから発せされた復讐のメロディーだったらしい。

 シックスはバイオリンを構えて、手に持った弓で再びあの演奏を始めようとする。

 趣きは違うが共に音楽関係の能力を持つマジョルは顔を顰めて、イクゾーはシックスを止めようと説得を試みる。

 しかし魔法少女の話など聞きたく無いとばかりに、シックスは躊躇うことなくバイオリンによる演奏を始めようとしていた。


「…きゃっ!?」

「ごめんなさい、アンコールはもう勘弁してよね」


 しかし魔法少女やマジマジに対する敵意に燃えるシックスの演奏会第二幕は、一発の弾丸によって早々と終幕してしまう。

 それを成したのは千春たちが会話している間に狙撃の準備をしていた、魔法少女アヤリンであった。

 少女には似つかわしくない巨大なライフルから離れた弾丸は、狙い通りにシックスのバイオリンに命中していた。

 その衝撃でバイオリンを地面に落としてしまったシックスは、足元の踏ん張りが利かなくなって尻餅を付いてしまう。


「いぇぇぇい、アヤリン大活躍!!」

「とりあえず魔女たちを確保だ! ガロロ、分身たちを使って奴らの逃げ道を塞げ!! リューは香を見ていてくれよ!!」

「姿を消したら、また私たちで見付けるわよ!!」

「君たちには同情するけど、これ以上罪を犯させる訳にはいかない」

「お願い、ガロロ!!」


 魔女狩りの動きは不可解であるが、この場に連中が現れたことには変わりない。

 此処で魔女狩りのメンバーを確保できれば、きっと奴ら一味を打倒する糸口となるに違いない。

 千春は他の魔法少女たちに指示を伝えながら、真っ先に舞台上から降りて魔女狩りの元へと向かった。






 マスクドナイトNIOHが企画した合同イベントの模様は、マジマジでリアルタイム配信されていた。

 襲撃の事態は織り込み済みだったこともあり、魔女狩りが現れた後も配信は続けられている。

 そして千春たちと魔女狩りのやり取りは、ネットを通じて喫茶店メモリー内に居る客からも視聴されていた。


「千春さん、大丈夫そうですね…。 良かったわね、シロちゃん」

「○○!!」

「えぇぇ、つまんない。 今回は出番なしか…」

「こっちは外れだったか…」


 喫茶店メモリーのテーブル席に座る高校生くらいの少女と、小学生くらいの二人の少女。

 マスクドナイトNIOHの仲間と言うべき魔法少女NASAこと佐奈と、彼女が面倒を見ている小学生魔法少女コンビである。

 彼女たちは千春の相棒であるシロと共に、魔女狩りたちと戦う千春たちの様子を携帯を通して視聴していた。

 前回の襲撃で魔女狩りたちは、千春を他の場所に誘導した上でウィッチこと友香を狙ってきた。

 今回も千春不在の状況で他を襲う可能性を否定できず、戦力を集めておくことは当然の作戦であろう。

 確かに魔法少女殺しの能力は怖いが、ベテラン魔法少女である彼女ならば能力を封じられても混乱することなく対処してくれる筈だ。

 少なくとも千春から預かっているシロに対して、現場の状況に適した的確な判断をしてくれるに違いない。

 ちなみに千春が声を掛けたのは佐奈だけであり、小学生コンビは勝手に付いて来たおまけであった


「お互い当てが外れたわね、お隣さん。 こんな事なら、私たちもイベント会場に行けば良かったなー」

「…先輩があんな人の多い所に行くはずがありません。 先輩が本当にNIOHたちを狙うなら、こっちの方に来る筈です」


 そして佐奈が居る席の隣には、同じように携帯からNIOHたちの様子を見ていた朋絵の姿があった。

 行方不明となった先輩魔法少女の慧を探している少女は、今回のイベントの話を聞きつけて自主的に此処に来たらしい。

 彼女に取って想像もしたくない予想であるが、仮に慧が魔女狩りの仲間になったならば少なくともあのイベント会場に現れることは無い。

 人の内の声を読み取ってしまう慧にとって、あれだけの人間が集まる場所に居るのは自殺行為と言っていいからだ。

 そのように考えながらも朋絵はイベント会場を映し出している画面上から、敬愛する先輩の姿が何処かに居ないかと探してしまうのだった。



先月からやっているウイニングポストのプレイ時間が180時間を超えました!!

単純計算で1日6時間くらいやっていますよ、自分で言うのも何ですがガッツリ嵌ってますねー。


とりあえずNormalでやっている1週目は現実の2022年を超えてしまい、凱旋門賞を含む主要G1制覇、自生産種牡馬の系統確率など一通りやりたい事はやった感じです。

それで引継ぎ機能でHardモードの二週目に突入したのですが、運よく強い馬が作れて速攻無敗の三冠馬が出来てしまった…。

流石にちょっと飽きてきたんで、そろそろペースは落ちそうですね。


しかし先ほどスイッチ版太閤立志伝を買ってしまったので、まだまだスイッチは手放せなさそうです。これも時間泥棒っぽいからな…


では。

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