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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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40話 エピローグ 


 アビスフェンリルを討伐した俺は、その後、現場にいた言霊の扉の面々や、都市運営のから歓声を受けた。

 

 なんでもアビスフェンリルを倒した事で、街を襲っていた黒い狼も消え去って、お陰で危機を脱せたということだった。

 

 また、それと同じくらいのタイミングで、現場に副市長であるウッズと、都市運営の職員がやってきた。猛ダッシュで来たのか、顔にはびっしょりと汗を浮かべていた。

 

 どうやら、市庁舎にある見張り台の方から、アビスフェンリルの脅威は見えていたらしく、急いでやって来たとの事だった。

 

 だから、俺や言霊の扉の面々が事態と顛末の説明をしたところ、感謝の言葉を貰うことになった。また、都市にとっての危機を解決したという事で、表彰と報奨金を貰うことにも。

  それらの受け渡しは、当日のうちに行われた。そして、受け取るものを受け取った後、俺は仲間達と共に、言霊の扉が開いている、依頼達成の祝いと祝勝会を兼ねた宴会に参加した。

 

 そこで聞いた話では、アビスフェンリルが潜んでいた邸宅の残骸を改めて調べたところ、牧場のメタルシープに付けられていた首輪が五本発見されたらしい。

  

 つまり、今回のメタルシープ暴走事件も、アビスフェンリル――もしくはそれと一体化した研究者が起こした事だったようだ。

  そのような報告を聞いたり、飲み食いしたりと、俺たちは宴会をしっかり楽しんだ。その後は買い物をしたり、復興の手伝いをしたりと、交易都市での日々は瞬く間に過ぎていった。 

 

 そして――交易都市を運営しているという弟子が帰ってくるのを前日に控えた日の事だった。

 副市長のウッズが、俺たちの泊まる宿屋にやってきたのは。

 

「申し訳ありません、アイゼン様。この度、市長の予定が崩れてしまいましたことを、ご報告させて貰いに来ました」


 彼は、部屋を訪ねてくるなり、開口一番にそういった。

 

「えと……市長の予定っていうと、明日帰ってくる、っていう奴だよな?」

「はい。少しずれこみそうなのです。本日、市長の共をしていた何人かが帰還してきて、それが判明しまして」

「ああ、そういえば、連絡員として何人かが先んじて帰って来るって言ってたもんな。その人たちからの連絡か」


 言うと、ウッズは頷いた。


「内容としては、近くにある魔法都市のギルドとの会談が連続して入ったので、もう数日だけ留まり、それを済ませてから帰る、というもので。その言伝通りだと、まだお戻りまで時間が掛かるようでして……」


 申し訳ない、とウッズは表情をゆがめる。 


「あ、いやいや、そんな顔しないでくれ。忙しいんだから仕方ないし、謝る事でもないさ。仕事に励んでいるのは、むしろ良い事だしな」

「あ、ありがとうございます」

「お礼も大丈夫だって。というか、予定がずれるとなると、俺よりもウッズさんの方が大変だろう?」

「え、ええ、まあ。こちらとしても、街に邪神の息が掛かった魔獣が来た、という連絡だけはしておきたかったのですが……。噂で伝わっているかもしれませんが、正確な情報は必要でしょうから……」

 

 確かに、自分が市長を務めている街に魔獣が入り込んだという噂が聞こえて、心中穏やかでなくなるだろうし。仮に聞こえなかったとしても、知らない事は問題になるかもしれない。

 出来るだけ早い内に正確な情報を渡したい、というのは当然だろう。

 

 ……だとすると。

 

 俺はふと思ついた事を口にする。 

 

「んー、それなら、俺が魔法都市まで行って伝えておこうか?」

 

 言うと、ウッズは一瞬、動きを止めた。

 そしてこちらの言葉を咀嚼しているのか、ええと、とつぶやきながら、口を動かし、

 

「アイゼン様に、魔法都市に行って貰えるのですか?」 

「そうだな。この街でも充分楽しませて貰ったし。見るところも見たからさ。そろそろこの街を出ても良い頃だと思っていたんだ。それに、魔法都市も行く予定だった場所の一つだし、丁度いいかな、と思って。行く途中ですれ違ってしまったら、申し訳ないけど。とりあえず、連絡の手紙を渡しにいく位なら出来るぞ」


 そう伝えると、ウッズは数秒、目を伏せて悩んだあとで、 


「あの、こちらとして街の復興で人材が不足している状態なので、信用できるアイゼン様に依頼という形でお願い出来るのは嬉しいのですが……いいのですか? 預言者様にそんな事をして貰っても……」

「構わないさ。元々予定の場所に行くついでなんだしさ」

「それでは…………依頼させて頂きますね、アイゼン様」

「あいよ」


 そんな流れで、俺は交易都市を旅立つことにしたのだった。

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