37話 合流
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狼の一撃から守られたロウは、深く息を吐きながら、アイゼンに礼を言っていた。
「あ、ありがとうございます、アイゼンさん……」
「気にするな。ここに来る前から、君を助けて欲しいと、ずっと言われていたのだから」
「助けて欲しいって、誰から……」
「誰からも何も、今そこにいる男からだよ」
言われ、アイゼンがちらりと見た先に目を送ろうとした矢先
「――間に合ったか、ロウ……!」
こちらの動きにかぶさるように声が聞こえた。
それだけではなく、肩をガッと掴んでくる衝撃まで来た。
デイビットだ。
「デイビット、君まで。ここに、来てくれたのか……。しかし、どうして」
アイゼンが来てくれたこともそうだが、デイビットがここにいるのも、どちらも驚くべき事だ。自分達が戦っている場所は、教えることは出来ていなかったのだから。そう思って問うと、
「メタルシープの一件に関わる輩が街にいる事が分かってな。だから街に戻ろうかってときに大きな音が聞こえて来てさ、そこで、アイゼンさんが戦闘をしているロウの声を聞きつけたんだ。だから、先に行って、もしもヤバかったら助けてくれ、と頼んだんだよ」
「そ、そうだったのですか……。いえ、助かりましたが……」
「――ああ、大変な事になってるな、こりゃあ」
デイビットは街を襲っている狼達に見て、冷や汗を浮かべた笑いと共に言った。
ここまで交易都市の中に魔獣が入り込んだ事がないのだから、当然だ。しかし、
「ロウ、話せそうか? 状況を聞かせてほしいんだ」
それと対照的に、とても落ち着いた様子のアイゼンは、狼たちを見たあと、こちらに視線を向けてきた。
「は、はい。口は動きます」
「なら、聞いておきたいんだが、あの三つ首の狼――種別としてはアビスフェンリルってところだけど。黒煙を纏っているな。邪神の肉を食らった個体か?」
アイゼンの問いかけに、ロウは一瞬で思考をめぐらす。
そして、先ほどデイビットから受けた話と、自分が見ていた情報を組み合わせて、
「そうです……! 街中の研究者が、牧場のメタルシープや、誘い込んだ人間を餌に、邪神の肉を食った魔獣を育てていて――そして自ら一体化したのです」
一息に説明した。
すると、デイビットとアイゼンは顔を見合わせて、互いに頷いた。
「どうやら、メタルシープの一件の犯人も、ここにいたようだな」
「み、みてえだな。予想以上に、ヤバそうな奴だが……」
デイビットはアビスフェンリル達に視線を送る。
新たな人員がやって来て警戒しているのか、アビスフェンリルはこちらを見たまま、詰めてきたり、攻撃を仕掛けてこようとはしない。とはいえ、
……シャドウウルフを定期的に生み出しているのは、止まりませんし。危険な状態なのは事実ですね……。
そう思っていると、自分の隣にいたアイゼンが、よし、と声を上げた。
「状況は分かった。それじゃあ、予定通りだ。フィーラ、リンネ、デイビット達は、戦えなくなった人を連れて下がってくれ。俺が、アイツを相手にする」
「りょーかいー。まっかせてマスター!」
「はい。護衛をしながら、下がります」
そんなリンネやフィーラの言葉に、アイゼンは頷きを返す。
「さあ、それじゃあ、始めるか。大捕り物になるか、討伐になるか分からないが。街を守るための戦いを」
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