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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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34話 出てくる新情報 その2


 俺は羊たちの言葉を耳にしながら、デイビット達の言葉も聞いていた。


「それは、どういうことだ、アイゼン殿……。食われるとかって……。メタルシープが言っているのか?」


 デイビットの言葉に俺は頷く。

 そして先ほどから、羊たちから繰り返されている言葉を、若干整理しながら俺の口から喋っていく。

 

「なんでも『あの場所にいたら食われていた。それが怖い。餌をくれる人達が作った物を壊すのは忍びなかった。作ってくれた居場所を壊すのは申し訳なかったが、柵内にいたら攫われていた。あの、化物のような男にやられていた。仲間もやられた。街からヤバい雰囲気も感じる。それが怖くて怖くてどうしようもなかった』だそうだ」


 その言葉を聞いて、デイビットと職員が息を飲んだ。

 そこから、まず、第一に口を開いたのは職員で、


「すみません、アイゼンさん。色々と気になるのですが……羊たちは皆、私たちに、危害を加えようという思いはなかったと、そう言ってくれているのですか」

「ああ、そこは間違いないな。むしろ世話をしてくれることに関しては感謝しているみたいだぞ」

 思考や言葉は恐怖にまみれていて安定はしていないが、それでも、感謝の気持ちを言っている個体はいる。

 それを告げると、職員は、口元を少しだけ緩めた。


「……こんな時になんですが、少し嬉しい事ではあります。その位の仲は築けていたのだと」


 職員はそう言った後で、しかし緩めていた口元を引き締めた。


「ですが、それだけに……このメタルシープたちをさらった者がいると思うと、腹立たしくもありますね」

「ああ。それに、街からヤバい雰囲気が出ているってのも、見過ごせない言葉だな。一個一個聞いていけそうか、アイゼン殿」

「一応、とりあえず、『街のヤバい奴』に関しては、聞いていてな。メタルシープたちは皆、獣の勘で感じ取っているらしくて、『逃げたい……その殺気が強い奴が来る前に逃げたい』ってのを連呼してるな。というか、それが暴走していた理由の一つっぽいぞ」

「さっきの強い奴って、一体なんだ……?」

「この辺りに新しく魔獣が発生した、とかなんですかねえ? そんな報告は聞いていませんが」


 デイビットと職員が首を傾げながら言う。ただ、現時点ではどうとも判断できない為、 


「――一応『そいつがいなくなるまで、ちょっと我慢できるかい?』って聞いたら、『そう長くは待てないが、やれるだけやる』って答えが来てな。だから今大人しくしているみたいだ」

「なるほど。通りで、さっきよりも落ち着いていると思ったぜ……」


 デイビットは、羊たちを見ながら頷いた。その後で、


「とりあえず、街のヤバい奴の件は置いておいて――『男』が攫ったって言っていたよな。このメタルシープは一匹だけでも相当な重さだぜ?」

「そうですね。職員でも、彼らを持とうと思ったら、力自慢の職業者が頑張って数人掛かりでやる必要がありますし。……一人で運べるとか、確かに化物みたいな輩なりそうです。……それ以外に特徴とかはないんでしょうか……」

「それは今から聞いてみるところだな」


 そう言って俺は一息を吸い、


『君たちの仲間をさらった奴について、何か他に知っているやつは?』


 メタルシープに向けて、言葉を放った。

 警戒を抱かせないために、静かな喋りで、だ。すると、彼らは少しだけざわついたあと、


『さらっていくトコロを見た。見た』

『邪神の肉を食った存在の糧になるのだから有り難く思えと、言っていた』

「何か言ってた。ワシの育成方法に間違いはないのだとか、言ってた』


 そんな言葉が、複数の個体から一気に聞こえてきた。

 更には、群れのボスらしい、一番体の大きな個体が、

 

『その男が仲間を食らった。食らいついて攫っていった。白い服の男だった」


 と、重ねるように言ってきた。

 

 だから、俺は、デイビット達にそれをそのまま、伝えた。

 すると、こちらの言葉を聞いたデイビット達は言葉を失ったように口をパクパクさせた。そして、


「それは、本当か、アイゼン殿……」


 絞り出すように、デイビットがそう言った。


「少なくとも、彼らはそう言っているな」

「ま、マジかよ……。ってことは、何か? 邪神の肉を食わせた魔獣を育てているヤバい奴が、街中にいるってことかよ……!?」


 デイビットの言葉に、言霊の扉の面々もざわめき始める。


「というかそもそも、街中に邪神の肉を食らった魔獣自体がやべえ。そんな危険な存在が街中にいるのだとしたら、ただ事では済まない――」


 ぞ、デイビットが言い終えようとした。

 そんな時だ。

 

 ――ドオン!

 

 と、交易都市の方角から、大きな爆発の音が響いたのは。

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