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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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30話 会話の仕方


 交易都市の外れ。

 出来たばかりの住宅地がある。

 今はまだ、あまり人が住んでいないため、人通りも少ないその通りの一角。

 そこにある大きな邸宅の前に、ロウは立っていた。


 そんな彼の背後には、木箱や革袋が載せられた荷車があり、その周囲には何人もの男たちが随伴していた。

 服装はバラバラだが、足取りは規則正しく、見る人が見れば鍛え込まれていると分かる男たちだ。そんな彼らに、ロウは声をかける。


「さて皆さん、目的の邸宅の前まで来ましたが、準備はオーケーですか」

「勿論です。ロウさん」

「荷物はいつでも運べます」


 返ってくる声は自然体で、何ら緊張している様子もない。

  

 ……流石は副市長が選別した兵士たちですね。


 商人である自分の部下のように振る舞えている。 

 ウッズが自信を持ってこちらに預けてきただけの事はある順応度だ。

 

 ……後は自分がボロを出さないように振る舞えばいいだけですね。

 

 そう思いながら、ロウは邸宅の門にあるドアノッカーを叩いた。


「こんにちわー。カンパニー【食事問屋】のものです。食料を運びに参りましたー」


 元々この家に来ていた商人が言っていた通り、四回たたいた後、三回たたく。

 それが、商人と研究者の間で決めた合図だという。

 

 だからその通りにやると、

 

 ――ぎ

 

 と、重い音と共に扉が開いた。

 そして、扉の隙間から、白衣を着た壮年の男がこちらを除いていた。

 ウッズや商人から聞いていた、この邸宅の主である研究者の様相そのままだ。だが、自分はここに始めてきた、商人の一人であり、研究者の事は知らないという設定である。故に、

 

「この邸宅の主様でいらっしゃるでしょうか?」

 

 初対面である事を示すように、問いかけた。

 すると、目の周りに不健康そうなクマを作ったその男は、舐めるようにこちらを見たあと、

 

「そうだが……貴様はいつも見る顔ではないな。あの商人はどうした?」


 そんな疑問を出してきた。

 とはいえ、予想していた問いかけだ。

 だから、ロウは、予定していた通りの言葉を出していく。


「ええ。彼はちょっと体調を崩して病欠でして。ただ、どうしても今日の予定は外せないと言っていたので、同じカンパニーに所属しており、彼の友人である私が代行を務めさせて貰っているのです。後ろにいるのは荷物持ちの人員ですね。――あ、彼から謝罪の文と、代行書も預かっていますから、宜しければそちらを読んで貰えればと」


 感情をこめて、しっかりと言いながら、謝罪の文と代行書を研究者に見せる。

 彼はじろりとこちらと、背後にいる男たちを眺めたあと、手紙類を読み始める。

 

「ふむ……確かに、奴の字に、カンパニーの代行書もあるな。……食料は尽きていた所で、必要なのも確かだ。……分かった、入るといい」

「ありがとうございます。それでは少しだけお邪魔しますね」

「構わん。置くものを置いていってくれればな」


 そう言って、研究者は踵を返した。

 演技が上手く行っているのか、どうやら、邸宅の中には入る事が出来そうだ。


 ……まあ、本番はここからなのですが……。

 

 研究者に気取られず、慎重に調査して、白黒を少しでもはっきりさせる。それが自分のやるべき事だ。

 ややこしい事だ、とそう思いながらも、ロウは背後の兵士たちに指示を出す。

 

「……さ、皆さん、運んでくださいな。慎重にお願いしますよ」

「ういす」


 そして、数人の兵士と共に邸宅へと入っていく。

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