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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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17話 懐かしい出会い

ロウは目の前で繰り広げられている光景に、混乱していた。というのも、

 

「いやあん、本当に会いたかった、マイマスタ――!」


 この店で演奏していた百英雄の一人――フィーラ・デュロムが、アイゼンの前に来るなり、抱き着き始めたからだ。


 ……英雄がいる店に連れてきてしまって、どうしようかと悩む前に本人が来るとは……! 

 

 まさかの展開だ。

 発している声は大きくないし、場所も半個室という事で、周りからはあまり見えない状態でもある。騒ぎにはなっていない。

 

 ……それは不幸中の幸いです……。

 

 手紙に書かれていた、大騒ぎになる事は避ける、というのはまだ成立している。ただ、目の前の光景は色々とおかしかった。それ故、ロウの頭は若干フリーズしていた。

 

 なにせ、今まで見ていたフィーラ・デュロムという英雄の性格からすると、

 

 ……これは全く予想できない行動ですよ。

 

 彼女は、この店にしばらく前からいたので、その落ち着いた立ち振る舞いとか、静かに楽器を演奏する様はよく見ていた。

 また、ジャグリングなどの軽業を見せてくれる時は、多少陽気なこともあったが、それでもたいして表情も崩さない、物静かで大人な女性という感じに見えていたのだが、


「ああ! もう、このマスターの心音……! もう何年振りかしら。頭に響いてくるだけで、懐かしくて落ち着いて――幸せだわ!」


 やけにテンションが高い。

 金髪の髪を振りまわしながら、アイゼンの胸元にぐりぐりと耳を当てている彼女は、非常に嬉しそうにしている。

 それはもう、今まで見たことがない位の喜びようだ。

 

「……楽聖の英雄デュロムさんは、このような、派手な性格のお人でしたっけ?」

「いや、前に見た時は、歌姫をやってたけど、ここまでテンションが高くないというか、もっとおしとやかだった気するが……」


 デイビットに聞くも、彼もどうやら自分と同じ意見だったようで、困惑していた。

 色々とどうなっているんだろう。

 そう思っていると、頭をグリグリしている彼女の目がこちらを向いた。


「あ、御免なさいね、お客さんのいる前でこんな風になっちゃって。でも、マスターの前ではこっちになるのは必然なのだから! ええ、いない時ほどダウナーに振る舞えないわ!」

「は、はあ、なるほど」


 いきなりこちらに振られた解答に頷いていると、アイゼンが苦笑と共に声をかけてくる。


「驚かせて悪いな、二人とも。この子は、結構感情豊かでな。こうなる事がよくあるんだ」

「あー、いや、大丈夫ですよ。ちょっと面食らっただけですので」

「ああ、それは良かった」


 と、こちらが受け答えしていると、アイゼンの胸元でフィーラが何やら感激したように目を見開いていて、


「――マスター! さっきも、私のことフィーラって名前を呼んだけど、ちゃんと覚えててくれたのね!?」

「うん? そりゃあ、忘れる訳がないだろう。大事な教え子なんだから」


 アイゼンの言葉に、フィーラは、満面の笑みを浮かべた。


「えへへ、幸せ……! これまでの幸せランキングの中で五指に入るくらい最高ね……!! マスターに褒められたものは全部同列一位だけど、今回もその一つに入るわ……!!」


 フィーラは全身を使って嬉しさを示すように、ぐぐっと体を震わせた。

 そんな彼女を見て、先ほどまで口を丸くして呆然としていたリンネが声を上げる。

 

「せ、先生、あの、凄いテンションの方のこちらはもしや――」

「ああ、フィーラ・デュロム。人に笑って貰う事が好きな俺の弟子だよ」


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