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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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11話 対応は迅速

交易都市には、それから二十分もせずに到着する事が出来た。

 賊に襲われたというのに、むしろ、当初予定していた到着時刻よりも早く着いた。

 

 なんでもロウの話では、馬が気合いを入れて飛ばしてくれた、との事だ。

 

 ……回復ポーションには体力増強、強壮効果もあるので、それが今回の速度に結びついたのだろう、とロウは言っていたが……。


 とはいえ、毒を撃ちこまれた後でも尚、頑張って足を動かしてくれたのは、馬の意思あってのものだ。

 指示があっても嫌がる馬もいるのだから。こちらの事情を考えてくれる辺り、本当に良い馬なんだろうと思う。

 

 そして俺たちはそのまま、ロウの紹介で交易都市の番屋に行き、未だ気絶したままの賊を引き渡した。


 気絶した奴らが賊であったとロウが証言し、また彼の記憶を魔法で軽く見せたことで、罪状も問題なく確定させられた。 

 その際、番屋の方々から礼を言われ、更には

 

「治安維持に協力したという事で、賊を追い払ったり、打ち倒した人には謝礼金が貰える、か。こんな仕組みがあったんだな」


 俺とリンネの手には、紙幣が入った小袋があった。

 先ほど番屋の男から受け取ったものだ。


「交易都市を運営している市長、副市長の施作ですね。街の治安もそうですけれど、街に行くまでに危険があっては、人入りが妨げられますから。少しでも心象を悪くしない為にも、お金で良くなる事があるならばしておく、というのが交易都市の運営方針らしく」

「なるほどなあ。まあ、確かに資金が増えて悪い事はないけれどもな」


 賊に襲われてよかったとは思わないだろうが、追い払ってプラスがあるなら気分もちょっとは変わるだろう。


「そうですね。宿屋に数回泊まれるくらいの金額が入ってますし。番屋の兵士さんも、これで気晴らしをしてくれ、ということも仰ってましたしね」


 リンネは自分の手にした袋の中身を見ながら言う。

 中には俺と同じく、結構な額が入っている。


「かもしれないな。まあ、せっかくの臨時収入ってことで、有難く使わせて貰うか」


 そんな風に、番屋から出てすぐのところで話していると、


「戻ったか、ロウ!!」


 そんな、太めの声が聞こえた。

 声の方を見ると、そこには体格の良い壮年の男性が一人立っていた。


「従業員から知らせを受けて馬車を直す人員を選んでいる所に、番屋から連絡が来て、ビックリしたぞ!」


 男は言いながら、大股で歩き寄って来る。


「既に馬車を直しているばかりか、野盗を捕らえて街に来た、とはな。まさかどうやって、と思ったぞ」

「ああ、デイビット。驚いている所悪いが、それらは全部、僕がやったんじゃないんだ」


 デイビットと呼ばれた男は、ロウの言葉に、うんうん、と頷く。


「そこも番屋から軽く聞いてるぜ、道すがらであった冒険者に、馬車も直して貰って、野盗からも守って貰ったんだとな。……そんな万能で有能な人が実際にいるのかと思って、俺もここに来てみたのだが……こちらのお方々がそうなのか?」


 デイビットは俺たちの方を見ながらそう言った。


「その通りだ。とても、凄い人たちなんだ」


 ロウの言葉になるほど、と再び頷いたデイビットは、こちらに近づいてきて、

 

「礼が遅れて申し訳ない。冒険者アイゼン殿、そしてリンネ殿。事情は番屋から聞いている。――俺の大事な同期を二度も助けてくれた事を、心から感謝をさせてくれ。ありがとう!」


 深々と頭を下げてきた。


「このデイビット、持てる力と全身全霊で、この恩を返させて頂きたく思う。俺の同僚を助けてくれて、本当にありがとう……!」


 デイビットは静かに、噛み締めるように言ってくる。

 どうやらロウと同じギルドの人のようだ。


「まあ、助けたって言っても、成り行きの事だから。そこまでかしこまらなくても良いと思うぞ」

 助けられたのも、大分偶然が味方したようなものだったのだから。

 そういうと、顔を上げたデイビットは首を横に振った。

 

「事実として助かったというものがあるのだから、そこはお礼をさせて貰わねば、こちらの気がすまねえってもんだぜ、アイゼン殿。――現に、ロウの方も、そう思ってるみたいだしな」

「ええ、ここまでして貰ったのですから。何もお返しせずにお別れ、となっては、自分自身が許せませんから。商人としても、人としても。ですから、色々とお礼をさせて頂けると嬉しいです」


 ロウもデイビットと同じような事を言ってくる。

 義理堅いことだ、と思いながら俺は頷きを返す。

 

「そうか。まあ、そういう事なら、礼とかも受け取ろうとは思うよ」

「ありがとうございます。――お二人は交易都市にしばらく滞在されるとも聞きましたから、少なくともその間は、僕たちに色々と支援をさせて頂ければと。宿屋なども、まだ決めていらっしゃらないのでしたよね?」

「ああ、街に来てから決めようと思ってたからな」


「でしたら、そこから、僕達に任せて貰えればと。――デイビット」

「ああ、もう、部屋は抑えてあるぜ」


 デイビットはそう言った後で、街の中央の方を指差した。


「中央通りにある、デカい所だ。支払いも済ませてあるぞ」

「仕事が早くて助かるよ、デイビット。――というわけで、アイゼンさんたちは、お代などは気にせず宿泊して頂ければと思うのですが……宜しいでしょうか?」

「ああ、まあ、宿を取って貰えるというのは、有り難いことだし、折角だから泊まらせて貰おうとは思うよ」

「おお、良かった……」

「やっぱり直ぐに動いて正解だったな!」


 そうして微笑むロウとデイビットだが、なんとも動きが早い。

 馬車の動かし方とかを見て思ったけれど、彼らは中々、やり手のようだ。


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