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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第二章

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10話 再出立

「これで、終わりだな。運ぶのに、このロープを使ってもいいか?」


 野盗の処理を完了した俺は、荷台にあったロープを指しながら、ロウに聞いた。

 馬の毒針を抜いて、ポーションを掛けていた彼はこくりと頷いた。

 

「あ、は、はい。大丈夫です。備品ですので、ご自由にお使いいただければと」

「おお、ありがとう。これだけ長さがあれば、全員固められるな。あとは……こいつらを荷台に入れてしまってもいいか?」

「え、ええ。それも、問題ありません」


 喋りながら丁寧に、しっかりとロープで固定していく。

 攻撃した際の手ごたえの感じで言えば、一日は目覚めないと思うし、これだけ頑丈に縛れば問題ないだろう。

 まあ、念には念を入れて、

 

【強固に 結んでおいてくれ】


 と、ロープに言葉を預けておく。

 これでちょっとやそっとじゃ切れない具合に硬くはなっただろう。

 あとは、この野盗たちを荷台に入れて連れていく際は、見張ってはいようと思うが。


「あ、あの、貴方たちはいったい……冒険者と言ってましたが……」

「ああ、そうそう。身分的には、冒険者なんだよ」


 そういえばまだ、自分達の職については何も言っていなかった。そう思って言うと、ロウは「ははあ」と得心したように頷いた。


「そうだったの、ですか。医者でもなく、技術者でもない《言霊使い》が何をやられてるのかと疑問に思っていましたが、まさか冒険者とは。リンネさんも、ですよね?」

「はい。私も先生と同じです。職業的には魔術士ですけれどね」

「いやはやなるほど。……今どきは勇気と実力あるものしかなりませんが……いや、お二人とも、お強い方だったのですね……。この数を生け捕りにするだなんて、相当の力がありませんと出来ませんし」


 荷台の一角にくくり付けた野盗を見ながらロウは言う。

 改めて見ると、それなりに広い荷台が半ば埋まる程度には野盗の数がいた。

 徒党としては、そこまで多いって訳ではないけれど、

 

「この辺って、こういう危ない輩がよく出てくるのか?」


 聞くと、ロウは、ううむ、としばし口をもごつかせてから、


「ここまでの数で集まった賊が出てくる事は、そうそうないのですが……。交易都市が豊かになった直近十年あたりから、賊そのものは増えていますね」

「かなり最近なんだな」

「ええ。今、栄えている交易都市に向かう馬車は、良い物が載せている事が多いので。それで、ですね。明るい内でしたらまだ散歩が出来る程度には治安は良いのですが……」

「……少し暗くなると、怪しいか。マーキングとか言ってたし、この賊共は結構やり手みたいだったしな」


 馬車の中で幾らか話を聞いていたけれど。

 どうにも、ロウの馬車に細工して、足止めしていたのもこいつらだったようだし。


「ですね。野盗の間では多様な毒を用いるというのが、ここ最近の流行りな手段だと聞いた覚えはありますが、まさか私が出くわすとは思いませんでした。……幸いなことに、アイゼンさん達のお陰で、助かりましたが。ありがとうございます」

「まあ、あのままだと俺たちも被害にあってたから、気にしないでくれ。――ともあれ、こいつらを街の警備隊がいる番屋に叩きださないといけないが、行くとしたら交易都市のほうが近いか?」

 宿場町からは大分離れているし。そう思って尋ねると、ロウはこくりと頷いた。


「そうですね。ここまで来たら戻るより、交易都市の番屋に行ってしまう方が早いですね。……馬も、もう大丈夫そうですし」


 見れば、毒針を抜かれ、ポーションを掛けられた馬は、既に立ち上がっていた。

 そして、いつでも走れると言わんばかりに足を動かしている。

 

「おお、良かった。それじゃあ、進路はこのままで行けるか」

「そうですね。怯えも見えませんし、街まで走ってくれそうです」

「なら、その間、目覚めない程度にはちゃんと撃ちこんだし、しっかり縛ったけど……まあ、俺たちが後ろでしっかり見ておくからさ」

「ええ。もしもの時は、私の魔法で念入りにビリビリさせておきますし」


 俺とリンネが言うと、ロウはホッとした様な笑みを見せてきた。


「アイゼンさんたちが見ていてくれるというのなら、もう安心できます。――都市に行ったら、改めて、無事でいさせてくれた、お礼をさせてください」

「ああ、了解だ。薄暗くなってきているし、運転には気を付けてな」

「はい! 野盗と出くわしてから語るというのもなんですが、安全第一で行きますね」

 

 そんな風に苦笑して言うロウと共に、俺たちは再び交易都市までの道を進むのだった。

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