表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/84

エピローグ 

「……因みに次はどこへ行くの?」

「南に向かおうと思うよ。宿場町もあるし、大きな都市もあるみたいだからさ」


 こちらの言葉にメルは、む、と顎に手を当てた。


「南の大都市というと……交易都市があるけれど、そこに行くの?」

「そうそう。弟子の一人がそこにいるって、手紙で見たからさ。行こうと思ってるんだ」

「……多分、びっくりするわね。私みたいに。まあ、お師匠様が来ることを知って大騒ぎしそうな子だから、前もっての連絡はしない方が良いと思うけれど」

「だよなあ……。落ち着いて受け入れてくれるっていうんなら、それでいいんだけど……」


 デュークみたいに何かしらやってくれている可能性もあるし。

 気持ちは有り難いのだけれども、騒々しくさせるのは本意ではない。


「ええ。お師匠様がお忍びで来てくれるっていうのはビックリしたけれど、有り難かったから。私もオーガに殴られて大分血の気が抜けてたから大騒ぎはしなくて済んだのもあるし。むしろこれからは協力させて貰うわ。今回も、魔法大学のお師匠様の正体を知った子達には『内緒で、お願いね』って言っておいたし」

「おお、有り難うな。でも、あんまり強制はしなくていいぞ? 人の噂はどこからかしてしまうものだしな」

「ええ。そうね。……例えば、あの王(弟弟子)が調べに来たら分かっちゃうと思うし」


 その言葉に、俺は苦笑する。

 

「まあ、別に分かったって構わないんだ。結局、弟子たちの周りを騒がしたくないだけだからさ

「本当にお師匠様は気遣い屋よね……。まあ、その辺りは上手く情報を浸透させていければと思うわ。こっちも、あのバカ騒ぎしそうな王様に、上手い事できないか頑張ってみるから」

「ああ、ありがとうな、メル」


 などと会話していると、

 

「あのアイゼンさん」


 ユリカが声を掛けてきた。

 なんだろう、と思って彼女の方を向くと、


「学長の贈り物と被っちゃうかもですが、これを受け取って下さいませ」


 ユリカがこちらの手に、一枚の封筒を渡してきた。


「これは?」

「昨日の祝勝会で交易都市に行かれると聞いたので。私の知り合いが、そこの街のカンパニー代表を務めているので。紹介状を、と思いまして。交易都市のカンパニー『言霊の扉』に持っていって貰えれば、色々と便宜を図って貰えると思います。この魔法封蝋は私しか使えない印なので、信用して貰えると思いますし」

「良いのか? そんなものを貰って」

「はい! 勿論です! ……あ、因みに、文面には、「とても優秀な、百英雄のお師匠である預言者様であるけれど、騒がないで受け入れてください』的な事が書いてあるのですが、宜しかったでしょうか? この魔法封蝋があればカンパニーの代表以外が見る事もないですし、あの方は物静かで口も堅いので、騒ぐことも無いと思いますが……」

「ああ。そこはな。大騒ぎにならなきゃなんでもいいから。配慮してくれてありがとうな」


 とても優秀とか、そういう褒め言葉までつけてくれるのは、何とも照れくさいけれども。有り難いのは変わりない。そう思って言うと、

 

「いえいえ、これくらい、アイゼン様の気遣いに比べたらなんてことありませんから」

「そうか? でも、礼を言わせてくれ、ユリカ。何から何まで世話になったからさ」

「ふふ。私も助けられてばかりでしたから。これくらいはさせてくださいな」


 そうしてユリカとお互いに微笑み合っていると、


「……リンネちゃん、お師匠のこと、頼んだわよ」

「はい、メルさん! 先生のお世話は、お任せください!」


 向こうではメルとリンネが握手を交わしていた。


 祝勝の宴会で、彼女たちはアレコレと話をしていたみたいだけれども、それ以来、こんな感じで親しくなっていた。

 

 ……リンネは俺に付きっ切りだったし、弟子同士でも仲良くなったのは、なによりだな。


 同門の友達が作れれば、彼女が一人自立する時にも役立つ筈だし。

 そういう意味でも、旅に出た甲斐はあったなあ、とそう思っていると、リンネがこちらへ来た。

 どうやら話が終わったようだ。そう思った俺は、改めてメル達に声を掛ける。


「……うん。じゃあ、そろそろ俺たちは行くよ」

「お世話になりました、皆さん」


 そういうと、二人は微笑みを返してくれた。

  

「ええ。行ってらっしゃい二人とも。」

「また、絶対にお会いしましょうね!」


 そうして二人からの笑みと見送りを受けた俺は、リンネと共に南へと歩を進めていく。


 次の土地では何が楽しめるのか。新しくなった世界と、会うであろう弟子たちの顔を思い浮かべながら――。

これで第一章が終了しました。次からは第二章になります。

ここまで読んで、面白いと思って頂けましたら、下のブクマ、評価など、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●新連載作品のお知らせ
 8月に始めたばかりなこちらの連載も、是非、お読み頂ければ頂けると嬉しいです!
《羊飼い》な少年が伝説の魔獣と共に、開拓をしたり、無双したりして成り上がる話です!
 昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした~隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる~
https://ncode.syosetu.com/n5180ij/

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ