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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第一章

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第33話 言葉の力

『最強預言者』ですが、お陰様で書籍化、そして早くもコミカライズが決定しました! どうもありがとうございます! 


 オーガの腕を落とした俺は、しかし、警戒は解かなかった。何故なら、

 

「グオオオオオオ! ――【イビル・アイスブラスト】!」


 片腕を断たれてなおオーガの戦意は失われておらず、腕を再生しながら、もう一方の手を突き出して、氷弾の雨を打ち出してきたからだ。


 けれど、腕の一本位でオーガが怯まないのは分かっていた。ゆえに、


「【我が身体よ 素早く 高速で 斬り刻め】――【疾風斬】」


 俺は即座に預言魔法を行使した。

 言葉の魔力によって強化補助を得た俺の身体は、その通りに動いた。


 刀身すらぶれさせる速度で剣を動かし、氷弾を切り落とす。

 更には、そこで止まることなく、オーガの方へ踏み込んだ。そして、


「……!?」


 氷弾を撃ち込む際に突きだしていた腕を切り裂いた。


「グオオオ……!」


 深々と切りつけた腕からは血が噴き出た。 

 オーガは驚愕の表情を浮かべるが、負傷部位は直ぐに煙をあげて、修復に入ろうとする。が、


「まだだ。――【身体よ 更に加速せよ】」


 俺の身体は、言葉通りに、全身の動きを加速させた。

 その勢いのまま連撃する。

 

 再び放たれた二度三度の斬撃が、オーガの上半身を深々と切り刻んだ。


「グゥゥオッ!?」


 腕から胸にかけて斬撃を受けたオーガは、声を上げながら飛び退いた。 

 己の弱点である核がある心臓部を攻撃された事による、本能的な危機回避の動きだろう。

 

 それなりに攻撃が効いているようだ。治りきっていない裂傷からもそれは分かった。

  

「治しきる前にある程度のダメージを重ねて与えれば、再生しきれないみたいだな」


 幾ら瘴気で再生能力が上がっていても限界はある。


 そして久々に自分の身体に言葉を預けたが、動作の方も問題ない。 

 言葉通りに機能している。預言魔法で強化した事による損傷も無い。


 無理なく、攻撃が出来る。


 とはいえ分厚い筋肉だ。先ほどの攻撃では心臓部の核にまでは届いていない。その証拠に、

 

「……グ……オォォ……!!」


 今だオーガの戦意は消えておらず、再生した右手に、再び作り出した氷のメイスを握りしめて、こちらに殺意をぶつけて来ている。


 断ち切った左腕も、今では半ばまで再生が終わっている。

 

 手や足を少し切ったくらいでは、止まらないし終わらないだろう。

 多少の攻撃では相手を激昂させるだけで、得も無い。だから、 


「必要なのは、心臓にある核を打ち抜くに足る、貫通力を持った攻撃だな……」


 終わらせるために、やるべき事は見えた。

 後は事をこなすのみ。

 

 ……今の俺でも、それ位は出来るのだから。

 

 俺は、剣を腰だめに構えて、預言魔法を体に与える。


「【我が身体よ 更に強く 力を溜めよ】」


 瞬間、俺の手足から僅かに光が零れだす。

 預言魔法による身体強化が発生しているのだ。

 その言葉通り、力が溜まっていく。

 

「……!」

 

 ただ、それを気にする事も無く、ティターンオーガは突っ込んでくる。

 こちらの身体を叩き潰そうと、氷のメイスを振り上げて、

 

「オオオオオ……!!!」


 突進の勢いと共に、全力で振り下ろしてきた。

 空気とメイスが衝突し、白い煙さえ生まれる様な一撃だ。だが、

 

「【鋭き斬撃よ 止まることなく 突き進め】……!!」


 それが直撃するよりも早く、俺は身体強化と共に一歩を踏み込む。

 そこから、放つのは、預言者としてかつて使っていた技だ。

 言葉の魔力によって強化し身体と剣を用いて、突進と共に打ち出される一閃の斬撃。

 

 かつて邪神を倒した時にも使った、一つのスキルとして成立したその技は、


「――【絶対切断の宣告】(ドゥームズ・ジャッジメント)」


 超高速を持って、目の前にある大気すら断ち切り、輝くような軌跡を描いて、放たれた。

 

「ォ……!」 


 その斬撃は勢いのまま、巨躯鬼が振るうメイスと激突し、そして、


「――」


 なんら拮抗することもなく切り砕いた。

 更にその斬撃はそのまま、持ち手である巨躯鬼の胸元まで届き、砕くように吹き飛ばした。

 核ごと身を破壊された巨躯鬼は、

 

「……!」

 

 声にならない音を吐き出しながら、再生することもなく、崩れ落ちて行った。


前書きにも書きましたが、お陰様で書籍化&コミカライズが決定しました!

小説のレーベルは小学館ガガガブックス様。

発売日は6/19(水)になります。

大体2週間後です。是非、書店にてお手に取って頂けますと、非常に嬉しいです!


コミカライズは、マンガワン様、裏サンデー様、ニコニコ静画様にて連載される予定です!


書籍の詳細は下の画像から、公式サイトに飛べますので、そちらもご覧頂ければ幸いです。


皆さんの応援で、ここまで来ることが出来ました。どうもありがとうございます。

これからも『最強預言者』を応援して頂けますと嬉しいです!

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●新連載作品のお知らせ
 8月に始めたばかりなこちらの連載も、是非、お読み頂ければ頂けると嬉しいです!
《羊飼い》な少年が伝説の魔獣と共に、開拓をしたり、無双したりして成り上がる話です!
 昔滅びた魔王城で拾った犬は、実は伝説の魔獣でした~隠れ最強職《羊飼い》な貴族の三男坊、いずれ、百魔獣の王となる~
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