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100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます  作者: あまうい白一
第一章

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第21話 実感と成果




 ホーンドモールとの戦闘が終わり、俺たちが農牧地の地主の家で食事をごちそうになった後、


「オーティスさん達は、オレ以上に戦闘で魔力を使ったんだ。疲れてるだろうからゆっくり休んでから帰って来てくれ。オレは先に帰って報告しておくよ」


 ドミニクは、食事によって魔力を回復して元気になったのか、俺たちにそう告げるなり先にギルドの方へ戻っていった。


 正直、別に疲労は大したことはないから一緒に行けばいいと言ったのだけれども。


『オーティスさん達を見ているばかりて、オレは何の仕事もしてないから。これ位はやらせてくれ。早く報告出来れば依頼料も少しは上乗せされるしさ! せめてその位の稼ぎは生ませてくれ』


 とまで言うものだから、先に行って貰ったのだ。

 

「まあ、俺たちはゆったり帰るかー」

「そうですね先生。まだ日も高いですから、急ぐ事も無いでしょうし」


 そして俺たちは牧場主の見送りを受けつつ、家屋から出た後、二人で散策しながら開拓都市に向かっていた。


「しかし、品種改良した野菜や果物に魔力回復の効果って結構高いんだな。いや、手紙にあった内容を疑っていたわけじゃないけどさ」

「そうですね。ドミニクさんも元気になっていましたし。私たちもかなり回復しましたし」


 リンネの言葉に俺も腹を撫でながら頷く。

 一食しっかり食べただけで、低級ポーションと同じくらいの回復が出来た。


 ……これが魔力を回復させる作物の効果、か。

 

 以前、大農業者【ファームマスター】になった弟子が、魔力を回復させる作物を改良、開発した、と嬉しそうに報告の手紙を書いてきていた。


 その作物の種子は国にいる幾人かの【ファーマー】に分けられて、それぞれのカンパニーで研究、培養、そして広められているとのことだった。


 ……先ほどの牧場主も、そのカンパニーの関係者だったしな。 


 こちらとしては、魔力を回復させる作物が存在することも、広まった経緯も知っていた。けれども、


 ……実感して見ないと分からない物はあるよなあ

 

 例えば、回復量などもそうだ。

 更には、料理を食べた後、かなりの爽快感がある事なども今回食べてみて初めて気付いた。

 

 ……手紙では知れなかった部分が見れて、かなり面白いよなあ。

   

 これは今後の旅も楽しみになりそうだ、と思いながら、俺は農牧地近くを歩いていた。すると、

「――あ、先生。杖の本、何か反応してますよ?」


 不意にリンネがそんなことを言ってきた。

 腰に差している杖を見れば、確かにぼんやりと白く光っている。

 

「この反応をするという事はまさか――」

「――ああ、多分。この辺りにも、力を置いて残してあったんだな」


 言いながら俺は、杖を手にして、周囲に向ける。


 そうすると、ある一方を指した瞬間、光が強まった。


 ……あの辺か。


 当たりを付けた俺が、光が強まった方向へと歩くこと数十歩。

 草原の中に転がる大きな石に近づくと、本の光が一気に増大した。刹那、


「【封印解除条件・認定・返還】」


 という文字が刻まれた紙が一枚、石から生まれ。そのまま本の中に吸い込まれていった。

 以前と同じように、杖の先の本のページがまた一枚、増えた。


「おお! また回収できましたね。こんな速いペースで預言者の力を取り戻されるなんて、凄いです、アイゼン先生!」

「いやまあ、偶然だけどな。異界に引きこもる前に、色々なところに力をばらまいたとはいえ、まさかこんなところにもあるとはな」


 あの時はどこの場所にどんな力を置くとか、考える余裕すらなかったから、どこにどんな力が置かれているとかは、あんまり記憶にないのだけども。


「こういう所にも実際に歩いて来てみると、色々な物が得られる物だなあ……」


 依頼を受けなかったら、ずっとここには寄らなかったかもしれないし。


「歩けば歩くほど……というか、旅をして巡る場所が多ければ多いほど相応に強化されていくことになりそうですね」

「そういう意味では、今回みたいな町を離れての依頼とかも、適度にやってみると力が得られやすくなるのかもしれないな」

「行動範囲が広げられますものね。……そういえば、今回はどんな力が得られたんです?」


 言われ、俺は増えたページに書かれている文字を見た。するとそこには、

 

『――スキル【預言範囲強化Ⅰ】』


 とあった。スキルの名称だけではイマイチ分かり辛いが、


『言葉を預かれる距離を拡大します』


 後ろの説明を読めば大体分かる。

 どういう力を封じられていたのか、分かるように設置した過去の自分に感謝だ。

 

「んーと、なるほど。預言が適応される範囲が広がった、みたいだな」 

「おー、更に預言者として強まったのですね。私、全盛期の先生を見たことありませんから、どんな風になるのかワクワクですよ!」

「はは。まあ、全部の力を取り戻しても、普通の見た目をした預言者になるだけだと思うけどな」

 昔も今も、あんまり見た目は変わっていないし。

 とはいえ、自分の力が増えるのだとしたら良いことだと思っておこう。

 

「――うん、仕事も成功して、美味い物も食えて、その上、力も戻った事だし、大成功だ。気分よく帰ろうか」

「了解です、先生!」

 

 旅をしただけで自分の能力が強化されるのだから、何とも有り難い物だ、と思いながら。

 俺はリンネと共に開拓の都市へと戻るのだった。

 

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