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第2話 魔法

「超高出力の魔力反応を検知しました‼︎」

「場所は?」

「場所は…フレイムハートが消失した地点の近くです」

「そう…美月ちゃん無事だと良いんだけど」


第2話 魔法


(なんだこの感じ…身体が熱い、まるで全く別の何かに変わっちまうような…)


言いようのない違和感と共に、輝は自らの身に起きた事を思い返していた。


(思えばいきなり空が割れて、そっから女の子が降ってきて、そんでもって割れ目から化け物が登場とは…意味不明すぎて頭がおかしくなりそうだぜ…だが戦うって言っちまったからな)

「覚悟…決めるっきゃねぇよな……にしても変身長くね?まだかかるの?ってか俺の身体今どうなってんの?」


これからの戦いに対し覚悟を決めた輝であったが、変身と言ってから割と時間が経っておりひたすらに違和感があるばかりで、全く変身完了しそうにないこの状況に思わず突っ込んでしまった。


[安心して下さい。もう間も無く変身は完了しますよ]

「それは良いんだけどさ、あの化け物襲ってこねぇの?」

[貴方の魔力に怯んでいるんだと思いますよ?まさかこれ程とは……とにかく襲われる心配はありませんよ]


そのようなやりとりをしている内に光が徐々に輝に収束していった。


「光が…収まっていく…」

[さぁ目を開けて下さい。これこそが貴方の…火野輝の新たなる姿、魔法少女バーニングハートです!]

「ん…やっと終わったか………なんかさぁ…さっきより目線が低いんだけどさぁ…これ気の所為だよねぇ?てか声もなんか高くなってるんだけど…気の所為だよねぇ?てかもう股の辺りの違和感が物凄いんだけど全部全部気の所為だよねぇてか俺、男のままだよねぇ⁉︎」

「残念ですが…どこからどう見ても可愛らしい女の子にしか見えません……て言うかどうなってんのコレ⁉︎」


輝は変わっていた。すごく変わっていたもう説明が面倒くさいくらい変わってしまった。

分かりやすく言うと180cm程の長身の男が140cm程の少女の身体になり可愛らしい衣装に身を包んでいた。


「いやさ…戦うって言ったのは俺だよ?でもさこんなちっこくなっちまってどうやってあんな化け物と戦うってーんだよ⁉︎無理だよ!勝てねーよ‼︎だってさっきよりなんかでかいもんあの化け物‼︎‼︎」


そう言って化け物…魔獣を指差した輝は完全に取り乱していた。


[安心して下さい。さっきより大きく見えるのは貴方の身体が小さくなっただけです。なんの問題もありません]

「だから小さくなったのが問題なんだろうが‼︎」


そんかやりとりをしていると、先程まで怯んでいた魔獣がとうとう襲いかかってきた。


「き、きたぁぁぁぁ‼︎」

[落ち着いて下さい。貴方ならあの程度の魔獣、物の数ではありませんよ]

「こ、こんちくしょー‼︎」


飛び掛かってきた魔獣に対し、輝は咄嗟に拳を握り殴りかかった。ヤケクソである。


「オラァ死に腐れこのバケモンがぁぁぁ‼︎」


と、汚い言葉を吐きながら渾身の右ストレートを魔獣に打ち込んだ。


《ギャアアアアア‼︎‼︎⁉︎》


と言う悲鳴と共に、輝の拳を受けた魔獣は凄まじい勢いで吹っ飛ばされていった。


「⁉︎効いてんのか?俺の攻撃が…」

[先程から言っているでしょう?貴方ならあ

の程度の魔獣、物の数ではないと]


若干呆れたような、だが確かな自信と共にフレイは言い放った。


[貴方の身体は確かに小さくなりました。しかし、その身に宿す魔力は…はっきり言って計り知れません。そしてその計り知れない魔力は、貴方自身の力そのものです。魔法少女は魔力が高ければ高い程、強力な力を発揮できます。しかし…]

「あーもう説明が長い‼︎もっと簡単にまとめろ‼︎」

[要するに貴方はとても強いと言う事です]


と、とても分かりやすく説明された輝はふと、さっき吹っ飛ばした魔獣を見てみた。

殴られた跡から緑色の血のような液体を流しながらもがいている魔獣を見た輝はさっきの様な恐怖はすっかり消え去り可哀想にすら思えてきた、そして自覚した。自分と魔獣の圧倒的なまでの戦力差を。


「なぁ…あの化け物は絶対倒さなきゃいけねぇんだよな?」

[そうですね…魔獣に明確な感情は無いとされています。ただ魔力の高い人間を襲うという性質があるので、放っておくには危険すぎる存在なのです。ですから…]

「倒すしか無いって事だな…わかった。後、お前はもっと説明を短くする様にしてくれ、面倒くさくて聞いてらんねぇよ」

[ふふっ分かりました。以降気を付けます。ですがこれだけは言わせて下さい。今、魔獣に向けた優しさを決して忘れずに心に留めておいて下さい。魔法少女は敵を倒すだけの存在ではなく正義の戦士ですから、優しさは何よりも大切なものなのです。ですから…]

「わーったよ。ったく早速長いっての…さーてと、待たせたな…そろそろ終わりにしようか…」


そう魔獣に静かに語りかけ再び拳を握る輝であったが、最初に握った時とは全然違った心情であった。


(感情が無いか…まぁ見た目からして化け物だし本来は同情する事なんざ無いんだけどな…でもあんなにもがき苦しまれちゃそうはいかねぇんだよな…だから)

「せめて一撃で終わらせてやるよ」


そう言って拳に力を込める。何となくではあったが魔力が溜まっていくのがわかった。


「なぁ、なんか技名とか言った方が良いんかな?」

[その点はお任せしますよ。ただ言った方がイメージがしやすいので、高い威力になり易いですから言った方が良い、と個人的には思います]

「そうか…だったら言ってみるかな」


そう言いながら拳に充分な魔力が溜まった事を感じた輝は、一瞬の内に技名を思案して叫びながら魔獣に拳を打ち込んだ。


「バァーニング…インパクトォォォ‼︎‼︎」


至極シンプルな技名を叫び放った拳は魔獣の身体を貫いた。そして貫いた箇所から真っ赤な炎が噴き出てきて魔獣の全身を包み込んだ。


《グギャァァァァァ………》


断末魔と共に魔獣は跡形もなく燃え尽きてしまった。こうして魔法少女バーニングハートの初めての戦いはたったの二発で終わったのだった。


「す…凄い…」


凄まじい強さを見せつけられた先程まで、魔法少女であった天野美月は呆然と立ち尽くしていた。


「ふぅ…一件落着ってとこ、か…な」


ぱたり と、軽い音を立てて輝は急に倒れてしまった。


(あれ?なんか無性に眠くなってきやがった…なんだ…こ…れ………)

[初めての変身で疲れたのでしょう。後の事は、美月とM.G.S.Cの職員の皆様に任せて今はお休み下さい]

「M.G.S.Cって…な…に……」


M.G.S.Cと言うよくわからない単語への疑問と共に輝の意識は薄れていった……

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