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春光  作者: につき
5/10

桜花

ある法則のような典型のような

そんな当たり前に見過ごされていることを

改めて語るときこそ膨大な言葉が生まれ

この逆風の時代に言葉は返って意味を強めていく

あらゆる思想は言葉で語られ

あらゆる数式は言葉で説明される

最も根源に近しい発語として

感情の奥にある明晰として

それはあるいは心を支配し

それはあるいは世界を司り

いつも独りきりの語り手であり聴き手であるもの

嘘を抱えるものは自ら足踏みを繰り返し

他に従順なものは角を矯め己を殺す


やがて絢爛豪華に花が咲き

その下では幾人もの酔っぱらいが虹を吐く

緑はまだ冷たく空は黄砂に霞み

ひと時人々は明日を忘れる

夢幻の回廊へ誘うように

水面は花びらの色に埋め尽くされ

嬌声は白壁へ反射して遠くまで響く

日常に失われていくものと保たれているもの

二律背反が引き裂いている天地の間で

春の風は夢見るように梢を揺らす


揺れる揺れて揺らされて

広がる広がり広げられて

満ちる満たす浸していく

木漏れ日の緑に濡れている

儚く白い黒髪の少女のような

雲の薄紅の旋律となって

この香りは わたしのいのちに染みる


言葉を持たぬいのちのことばが

花びらの渦となり束の間現れ消えた

あなたの見たかった景色として

この見上げる空は夢幻へ続くようだ

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