光り
振り向いたまま去っていく
落剥は背に純白の羽根を広げ
曇りなき月へと
想いは傷みとなり鏡像を歪めた
そして声より起こる波が打ち寄せる
海はまだ暗い海はまだ暗い暗い暗い……
お前は時間の背中を見たのだと
それこそがおまえ自身なのだと
これが落陽の光だと
そのことが唯悲しいなどと
許されない嘆きが落ちている
それらはうずくまり灰色の塊となり
やかてその上に銀の幻想が渡る
それはレールの上を疾走する
閉じ込められた箱を連れて
それぞれの時が来る
それぞれに降りていく乗客たちに
落ちていく陽が最後の光を落とす
長いはずの影は深い渓谷で途切れている
仕方ないのだと
これが初めて生きているはずの諦め切れなさを
持て余している時代なのだと
そして陽が昇る
黒々とした山塊の向こうから
暗雲の中で独り昇ることを止めず
雲の頂きをやがて越え
沈黙の雲海広がる果てしない空へと
遥か太陽は月を見る
光は不思議な繰り返しとなり
夜と昼を照らす
遂にわたしは眠りの中で星を見つけた
眩しさと手触りの記憶が夢となり
憧れを装う納得済みの不条理の中で
微かに明滅する星の光が見える
仄かに陰り朧に広がり鋭く光り
不意に見えずまた光り隠れまた光り……