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異世界ヒーローはチート使い  作者: みか
一章 異世界ヒーロー編
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第七話 買い物






「皆様、ミュミュさんの弟捜しをする為にギルドへ入って頂きます」




そう朝食時にリリベルが言った。俺もまだ寝ぼけてた為よく意味が分かってない。他もそうなのかポカンとしている。




「えっと、リリベルちゃん?」

「はい何でしょう」

「私達がギルドに入るってどういう意味かなー、なんて」




なるべく笑顔でリリベルに話しかける文乃だがどこか違う態度にリリベルは不審そうな顔をする。




「そのままの意味ですよ。皆様は勇者です。いずれは魔国マーラとの戦いになります…なので力を付けて頂けるようにギルドへ入って貰います」




いずれ来る魔国マーラとの戦い。その為に呼ばれた事は分かるがいざその時になれば戦えるのだろうか。




「大丈夫です。そのギルドは私の友人がマスターをやっていますし、結構強いギルドなんですよ」




しかしリリベルはギルドマスターとも友人なのか。意外に交友関係は良いな。




「でもなー」

「ですが今のままの格好ではいけません。なのでこれから皆様には街で買い物をして頂きます」

「はーい、行く行く!!」




買い物と出た瞬間、草部が食い付いた。女子は買い物が好きだから仕方ないが、男子と女子で別行動が良い。




「おまっ、美代! よく考えろよ」

「うふふ。それではお気を付けて、行ってらっしゃいませ」




こうして俺達は半ば強引に街に行く事になったのだった。














「うわぁぁ…前回はゆっくり見て回る時間がなかったけどやっぱり人多いね」

「こりゃ、迷子にならないように気を付けなきゃな」




城から馬車で城下町に移動した。俺と草部と鷹広は国王殺しの件で一度街に来ていた。その時と同じで人が多い。祭りでもあるんじゃないかというぐらいだ。




「これが城下町かぁ。凄いね、アキ」

「……あぁ」




こんな事で俺に笑顔を向けないで欲しい。別に文乃の笑顔が嫌いな訳じゃないが反応に困ってしまう。




「さてと。男子、荷物持ちね」

「ハッ?」




恐れてた事が現実になった。早く別行動を取らなくては。




「…悪いな草部。今日は鷹広と武器屋に行こうと思ってたんだ」

「そ、そう! だから悪いけど美代達と回るのは無理だ」




武器屋…武器屋は男の店。女子は滅多に行かない場所でもある。

さぁ、どうだ草部これで諦めたか?




「……ふーん……じゃあ私達も行くよ。つまんないけど……良いよね、文乃」

「うん…私は構わないよ」




……いや、構えよ。

せっかく女子が嫌そうな武器屋をチョイスしたのに。だが早く次の手を考えないと。




「や、やっぱり武器屋は止めて早食いやってる店に行こうぜ」




(……鷹広は何を言ってるんだ?)




何で異世界に来てまで早食いなんだ?俺も鷹広も早食いなんて得意じゃないだろ。馬鹿なのか。




「……ふーん。なら私達は他の物をゆっくり食べよっか」

「そうだね」




まずいぞ。着いてくる気だ。

何か良い考えはないだろうか。




「……ねぇ、美代ちゃん。やっぱり別行動にしない? 男子と女子じゃ行きたい場所も違うし、ね」




おぉ。

思わぬ助け船だ。




「うぅ……文乃がそこまで言うなら仕方ないなぁ。それじゃ、お昼頃にこの場所で集合にしよ」

「あぁ、了解した」

「それじゃあね」




文乃のお陰で無事、別行動になった。

何かプレゼントでも買っておくか。






「ふぅ……文乃ちゃんに感謝だな。

そんで、どこ行く」

「そうだな。ギルドに入るなら武器とか防具は絶対だ」

「だよな……じゃ、適当にぶらつくか」




鷹広の意見に賛成して俺達は街の中を歩く事にした。









よく見ると至る所に屋台がある。少し歩く度に食欲をそそる匂いが漂う。そして行き交う人物達は美しいドレスを着た女性とスーツの男性が殆どだ。

残りはボロボロの服を着た幼い子供が花を売っている。




「お花は要りませんか?

一つ100Gです」




子供はか細い腕をいっぱいに伸ばして行き交う人に声を掛ける。だが、誰一人として買う人は居ない。




「………」




鷹広は子供をジッと見ている。

見て何を思っているのか分からない。




「お花は要りませんか?

一つ100Gで―――きゃっ」




通行人とぶつかった子供は持っていた花を地面に撒き散らし、自分も転んでいた。

一方でぶつかった通行人は何事もなかったように再び足を進めた。




「………大丈夫か?」




一人で落ちた花を拾う子供に鷹広が話し掛けた。急な事で驚いてたが今度は笑顔になった。




「すいません。

拾って頂いてありがとうございます」




辛い筈の子供は精一杯微笑んでいた。

こういう人の為にヒーローは存在する。




「お前の持ってる花……買う」

「えっ?」




思ってもみなかった言葉に子供はビックリしている。




「でっ、でも」

「良いから。買うよ…えっと、一本100Gだから十本で1000Gか」




頭の中で計算しているのか一人言を言いながら鷹広はポケットの中からこの世界の金を取り出して子供に渡す。




「ほら、ちょうど1000Gあると思うけど……計算してみてくれ」

「あ……本当にありがとうございます!!」




全く。

草部とつるんでる時じゃ分からないが意外な所もあるもんだ。





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