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異世界ヒーローはチート使い  作者: みか
一章 異世界ヒーロー編
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第四十話 アジト






ーーーーー二日後ーーーーー



「よ〜し、頑張るぞ~!」

「やる気満々だね文乃」

「秋哉、文乃ちゃん守ってやれよ」

「うるさい。そんな事分かってる」



いよいよ出発の時を迎えた。

キューティー・ラロスを捕らえる班の俺達はリュックを背負う。リュックは勿論、チートを使って出した物だ。



「頑張れよ〜」

「皆さん、怪我なさらないで下さいね」

「…お気を付けて」

「秋哉! 文乃に傷付けたら許さないぞ〜!」



捜索班に見送られながら俺達は歩き始める。キューティー・ラロスのアジトはもう見つかってるらしい。だが未だに捕まえる事が出来ないのはそのアジトが罠だらけだから。

これから行く所が罠だらけって分かってるのも気が引ける。一番の疑問は…



「…? 師匠、僕の顔に何か付いてますか?」

「…いや何も」



この班に何故ラビが居るんだ…。出来れば文乃も捜索班の方が良かったが、まぁ仕方無いとして。非戦闘員のラビがこっちの班なんだ。



「ラフットさん、今どこ目指してるんですか?」

「あぁ、今歩いてる所は立ち入り禁止の森。で、森を進むとゴクザンって山が見えるから山登りだな」

「や、山登り…」

「山の中にある洞窟がキューティー・ラロスのアジトだと言われている」



まさか異世界に来て山登りとはな。見て分かると思うが俺はあまり体力がない。だから山登りは苦痛だ。



「…そういやここ、立ち入り禁止の森だったのか…」



アマテラスと精霊王とリラは元気だろうか。相変わらず楽しそうにやってそうだ。そして、アイカとカエンも気になるが……今はいい。



「お、ここから登りだな」

「山登りですね師匠!」



森を進む事、約三十分。山登りでどれぐらい掛かるんだろうか……考えるだけでも滅入る。



「そうそう、各自これを着けるように」

「わ〜! 綺麗なブレスレット」

「…高そうだな」

「………」



ラフットさんから貰ったのはブレスレットだ。だが普通のとは少し違う。真ん中に水色の小さな宝石が取り付けられている。



「これは?」

「万が一、洞窟内でバラバラになった時の為の言わば通信機みたいなやつだ」

「通信機……かっ、かっこいい!」



通信機か。

それはこれから必要だな。



「師匠ーー、師匠ーー。聞こえますか〜?」

「この至近距離で聞こえない方がおかしいぞ」

「まぁ、この距離じゃ意味はないな」

「うぅ…」



う…。

このままじゃ俺がラビをいじめたみたいじゃないか!



「……あー、こちら秋哉。聞こえるぞ」

「師匠! 」



あぁ、止めろ。

そのキラキラした瞳で俺を見るな!



「じゃ、登るぞ」














「ハァハァ…」



最初は楽しく喋りながら登っていたが段々と口数は減っていき、今では無言だ。

この山、標高が高い。今や遠くに見えるネフィヤ城が小さく見える。



「ラフットさん、あとどれぐらい登るんですか」

「ん? そうだな……あと少しだから頑張ろう。兄ちゃんまだ若いんだからな」



なんか誤魔化されたか?

でももう気力を使いたくない……黙っとくか。



山登りする事、多分一時間。疲れ果てた俺にようやくゴールが見えた。先を歩いていたラフットさんが地図と照らし合わせている。



「…ラフット、さん。ゴールですか?」

「あぁ、この洞窟だ」



やっとか、やっとなのか!

リュックの中からこれもまたチートを使って出した水筒を取り出して飲む。冷たい水が喉を通り、生き返る。今の俺は幸せだ。



文乃やラフットさんも同じようにリュックから水筒を取り出して飲んでいた。そんな中、ラビだけは座り込むだけで水を飲もうとしない。



「……ラビ、水飲まないのか」

「あ…。ぼ、僕ドジだからお城に忘れてきちゃったんです」



忘れたのか…。

この山登り、俺ですらこんなに疲れたんだ。小さいラビは何倍も疲れただろう。かと言ってチート使うのも気が引ける。何せこれからキューティー・ラロスを捕まえに行くんだ。



「………ラビ、俺が飲んだので良ければだが。飲むか?」

「え…し、師匠!! ありがとうございます!」



俺から水筒を受け取るとラビは勢いよく飲みだした。中味が無くなるんじゃないかと心配だ。



「…ふふっ」

「……その笑いはなんだ文乃」

「え〜。いや、仲いいなぁって」



仲いいか?

文乃の目にはそう映ってるのか。



「あの、師匠。ありがとうございました!」

「あぁ」



ラビから水筒を受け取るとやはり中味がだいぶ減っていた。でもあまり悪い気はしない。



「よし、水分補給も終わったし行くぞ。アジトの中は罠だらけだから気を付けろよ」

「は、はい」

「頑張ろうね、アキ」

「あ…あぁ」



罠だらけというより洞窟の中が暗くないかの方が気になってしまう。















ーーーーー魔国ーーーーー


「…ようやく来たか。この時をどんなに待ちわびたか……我々も行くとしよう」



部屋の一室、自らの魔力で映し出した映像を見て微笑む者が。



「苺花。お前も準備をしろ」

「…はい」



メイド服の少女はそれだけ言うと部屋から出て行った。



「……クククッ。さぁ、楽しい劇の始まりだ」



映像に映った秋哉を左手で握り潰す。が、たかが映像。そんな事は出来ない。それでもこれから起こる事を想像すると笑が止まらない。






一方。

ネフィヤに残った人達は。



「あーあ。私もあっちが良かったなぁ」

「美代、あっちは危険だぞ」

「……シュシュ、大丈夫かな」



捜索班の俺達はシュシュの行方を探す班だが、正直無意味な気がする。シュシュの事だ、既にキューティー・ラロスのアジトへ向かってると思う。



「んー。そんな危険な場所に文乃とラビが行って大丈夫かな」

「まぁ、秋哉とラフットさんが居るから大丈夫だろ」



…秋哉。

頑張れよ……




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