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異世界ヒーローはチート使い  作者: みか
一章 異世界ヒーロー編
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第二十三話 自由時間






飛行艇の中は予想してた通りの豪華さだった。いや、それ以上かもしれない。入ると見えるのはいきなりレストランだ。赤い絨毯に金色のテーブルとイス。そして金色のシャンデリア。簡単な厨房がある。




「わー! 豪華だね。綺麗ーぃ」

「レストランでお食事をとって貰うデス。そして右へ行けばデッキに出られるデス…あと、左には階段があるのでそこから二階に行けるデスよ。ちなみに二階は操縦室と皆さんの客室があるデス」




丁寧に説明していきながら歩く。

一通り説明し終わると二階にあるらしい客室に案内された。二階も同じく赤い絨毯が敷いてある。客室は全部で六部屋もあった。客室の奥には操縦室があるらしい。




「それでは、夕食の準備が整ったらお呼びしやがるデスから来やがれデス」




相変わらずの言葉遣いで言い終わるとお辞儀をして階段を降りて行った。




「夕食かぁ。もうお昼過ぎたんだね」

「…そうだな」

「じゃ、部屋は全部同じだし適当に散ってくれ。俺は船員室で寝るから」




こうしてエルボーも行ってしまった。

残された俺達、四人とミュミュは自然にそれぞれ好きな部屋に入って行った。














「……おぉ」




部屋に入ると豪華さに感心してしまった。ベッドはフカフカでテレビもある。窓の外には露天風呂まであった。ここも赤い絨毯が敷いてある。




「………落ち着かないな…………文乃は何してるんだ?」




一人で居ても落ち着かない。ずっと昔の俺ならそんな事は無かっただろう。こんな所まであいつらの影響があるとはな。そんな事を思いながら俺は部屋を出た。文乃の部屋は確か、向かいの部屋だった気がする。




コン、コン




ドアをノックするとしばらくして慌てたような文乃の声が中から聞こえた。




「は、はーい! あれ、アキ?どうかしたの」




どうかしたのかと聞かれたら返答に困ってしまう。一人で居ても落ち着かないから。と言えば子供みたいと笑われそうで言えない。




「いや、暇だったからな」

「うふふ……じゃあさ、デッキに行かない? 気持ち良さそうだよ」




文乃の提案でデッキに行く事にした。












「わーーあ!! やっぱり空を飛んでるんだよね、私達」




デッキに出た瞬間、風が襲い掛かる。襲い掛かると言ってもそんなに強風じゃない。そよ風程度だ。景色は…白い雲しか見えない。




「……文乃………お前は俺の過去を本当に知らないのか?」

「………アキ」




文乃は呟く。

でもすぐに前に視線を向けた。




文乃とは俺が記憶を無くしてから出会った。俺の両親と文乃の両親は親友だったらしい。だから俺は文乃の家に引き取られたんだ。




「……私は…何も知らない。知らないから…アキの事を知りたい………〝イチカ〟って子、誰?」




イチカ………誰だ?

全く聞いた事がない。




「あ……いや、知らない。誰なんだ」

「アキが寝言で言ってるのを聞いたの………そっか、知らないんだね……ごめん」




文乃は何も悪くない、なのに何で謝るんだ?

微笑む文乃の髪を触る。風になびいて髪が揺れる。それから頬を優しく触る。すると文乃が気付いてビックリしたような目で俺を見た。




何だか良い雰囲気になってきた…。




「……文乃」

「…あ、アキ」




見つめ合う。

文乃の頬が赤く染まる。

そしてお互いの距離が縮まった。
















「ちょ、押さないでよ!」

「押してねーよ!」

「あうあう」










聞こえてないつもりなのか、大声で叫びあっている。

盗み聞きする奴にはこうだ。




「……『バケツの水、二人に落ちろ』」




チートである言霊でそう言ってみる。俺の言葉がエコーが掛かったように響くと隠れてるであろう二人の小さな悲鳴が聞こえた。




「……居るのは分かってるぞ、出て来い」




そう言っても来ないであろうと思い「来ないとまた水を掛けるぞ」と付け足すと渋々といった様子で出て来た。草部と鷹広、そしてミュミュまで居る。草部と鷹広はバケツの水を被った為、濡れていた。




「酷いじゃない! チート使うなんてさ。見付かったのは鷹広のせいなんだからっ」

「俺のせいかよ! 美代が大声出したから気付かれたんだろうが」

「美代ちゃん、三浦君。喧嘩はダメだよ! ね、アキ」

「あ、あぁ」

「お。お前ら何してんだ? もうすぐて夕食だぞ。そろそろ来い」




喧嘩になりそうな所でエルボーが来た。どうやらもう夕食の時間らしい。ここは引き上げるのか、草部と鷹広はブツブツ言いながら行ってしまった。




「……私達も行こう、アキ」

「………そうだな」




俺は何であの時…文乃の髪や頬を触ったんだ?

その後……あいつらが来なかったら…何をしてた。




そんな事を思いながら秋哉はデッキを去った。






「……〜〜〜〜!!」




一人、残されたデッキの中で赤くなる自分の顔を触れる。

熱がある時みたいに熱い…おかしくなっちゃった。

……もし、美代ちゃん達が来なかったと思うと!!




そんな事を思いながら文乃は一人、顔を真っ赤にさせていた。





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