第十話 ギルド精霊の長靴
だいぶ遅くなってしまいました。
すいませんm(__)m
「……お、見えたぞ! あれがギルド 『精霊の長靴』だ」
森の中を進む事、約数分。目と鼻の先に小さな樹で出来た自然な建物が目に入った。建物は樹の根と葉で出来ていてそのギルドを現す旗は可愛らしい精霊が長靴を履いてスキップしている様子だ。
「おぉ。ギルドって感じだな」
「そうね! 早速、入って見ようよ」
興奮してる様子の草部は文乃を引っ張って中へ入って行ってしまった。
子供じゃあるまいし…恥ずかしい奴らだな。
「…っと、俺達はここまでだ。リリベル様には案内しろとしか言われてないからな」
「……すまない。だが私達はリリベル様が心配なのだ」
まぁ確かにリリベルは案内役としてよこした訳だし、もう十分だな。
「…分かった」
「気を付けて帰れよ! ありがとな」
簡単に別れを済ませるとエルボーとシャノンは来た道を引き返して行った。
「俺達も入ろうぜ、秋哉」
「そうだな」
草部達に続いて俺達も中に入る。ギルドのドアを開けるとふわっと樹の匂いが漂う。そして全体的に樹で出来た中は自然と一体化したような感覚になる。樹のカウンターは店のように営業してるようだ。カウンターの側には樹のテーブルとイスが何個か置かれている。
「…凄いな」
「おや、君達は誰だい?」
落ち着いたような、丁度良い低い声が聞こえて振り返る。そこには重そうな鎧を全身に纏っていた人物が立っていた。
「…そ、その」
「えーっと…俺達はリリベル王女の紹介で来たんですが」
「あー…。リリベル王女の……確かマスターもそう言ってたかな」
どうやら納得したようだ。
それにしても鷹広の奴、よく全身鎧人間に怯えないな。
「あっ、鷹広! ここ、人が少ないよ」
「こら!………す、すいません」
完全な失態だな。
鎧人間の表情は見えないが自分のギルドを馬鹿にされて黙っちゃいないだろう。
「あははは。彼女の言う通り、このギルドには私とマスターしか居ないよ……確かマスターは近くに薬草を取りに行ったと思うよ」
「薬草…か」
「じゃあ、私達でお迎えに行こうよ」
文乃がとんでもない事を言い出した。
そんな面倒くさい事はしたくない。
「おっ、良いな」
「私はパス。ギルドで待ってるよ」
「そっかー……じゃあ、美代ちゃんはお留守番で三浦君、アキ!出発しよう」
ハァ…。
俺には聞かないのかよ。
強制的に行く事になった俺達は文乃に引っ張られながらギルドを後にした。
「…あれ、そう言えば薬草が生えてる場所 知ってるのかな?」
「それは大丈夫ですよ。すぐ分かると思います……ただ、無事に帰って来られるかは彼ら次第ですが」
鎧の男の声は美代に届いてない。
キラキラした瞳でギルドを見渡す美代を見て鎧の男は微笑んだ。
「うーん……やっぱり引き返してあの人に場所を聞く?」
「…じゃあ聞くがお前は戻れるのか?」
「うぅ」
ギルドを飛び出した俺達は早速道に迷っていた。暗い森の中で道に迷うなんて何か出そうだ。
「まぁまぁ、落ち着けよ二人とも。とにかく動かないでこれからどうするかを考えよ―――――」
「きゃああっ!」
このアニメみたいな展開は何だ?
まぁ、どっちにしろ放っておけないが。
「鷹広、文乃!」
「おぅ」
「うん。行こう」
俺達は頷き合って叫び声が聞こえた方向へ急ぐ。
声がした方に無我夢中で走る。目の前が明るい。そこで俺は足を止めた。何故なら目の前に映る風景に驚いてだ。
「うわぁ~! 綺麗だね」
絵に描いたような光景だ。太陽の光に照らされる中に沢山の花が一面に咲いている。漫画などで見た事があるが実際に見ると感動してしまう。
「お、おい! あれ見ろよ。女の子が襲われてるぞ」
鷹広の声に一気に現実に戻された。
見ると花畑の中心に立つ少女とこの場に似つかわしくない二本足で立つワニが居る。見るからに少女はワニに襲われてる事になるな。
「早く助けなきゃ!どうするアキ、三浦君」
「…文乃とミュミュ、お前はあの少女を保護しろ。俺と鷹広はあのワニを少女から離す……行くぞ鷹広」
「おま、勝手に!」
困惑する鷹広を置いて俺は落ちてた石をワニに投げる。投げた石はワニの頭に当たった。
するとワニは俺に気付いたのか、ギロリとこっちを睨みゆっくりと近付いてきた。
「…ふん、来たか」
「おいおい。なんか作戦でもあんのかよ秋哉」
「作戦なんて無い。俺達はこいつを倒せば良いだけだ…戦えるな?」
「……誰に行ってんだ? もち。こんな奴一人で十分だ!」
自信満々にそう言うと鷹広は一歩前に出ると左手をワニに向ける。
「おい、文乃とミュミュ。よく分からんが今のうちに少女を連れて隠れてろ」
「分かった」
よし、これで少女は保護した。
後はこのワニをどう倒すかだな。
「…我が契約により姿を表せ! 出よ『黒雨』!!」
左手をワニに向けたまま呪文みたいな言葉を言うと左手に刻まれた痣が動き始めた。
訳も分からないまま見てると腕から黒い何かが出てきた。烏のようだが少し違う。鷹だ……黒い鷹が出てきた。
「へへっ、ビックリしたか?俺も今回が初めてだったから成功するか分かんなかったけどな」
『おい、小僧。ちゃんとワイの力を使えるんやろうな?』
出てきた烏…いや鷹は何故か大阪弁を喋る。
一体どんな構造をしてるんだろうか?
「お、おい本当に黒雨だろうな?なんか最初とキャラが違うぞ」
『何を言うんや。あれは前の契約者が望む姿、というか本当の姿や…今のワイの姿は小僧が望んだんやで』
「嘘だ!何が悲しくて大阪弁喋る男を望むんだァ!」
「…そんな事より早くアイツを倒してマスターを探しに行くぞ」
いつまでもこんな所で遊んでる場合じゃない。
こんな奴、すぐ倒してやる。
『グガガガガガガガガアアア!!!』
ワニらしからぬ威嚇を聞きながら俺達は一歩ずつ距離を詰めて行く。
name アキチカ ナルセ
HP 450/450
MP 240/250
Class Normal
Age 17
RACE 人間
ヒューマン
STR 170(攻撃力)
VIT 200(物理防御力)
INT 340(魔法の威力)
WIS 300(魔法防御力)
ユニークスキル 自然治癒
チート 言霊使い
称号 異世界人 チート使い




