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異世界ヒーローはチート使い  作者: みか
一章 異世界ヒーロー編
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第九話 出発






「…………という訳だ。鷹広は倒れたまま目を覚ましてない」

「そんなっ! 鷹広…」




俺達は急遽、城に戻っていた。理由は倒れた鷹広の事だ。もうかれこれ三時間も目を覚まさない。




「……リリベルは何か知ってるか?」

「そうですね……その刀、アキチカ様には禍々しさを感じたんですね?」

「あぁ」




確かにあの時感じた。あの時、俺がちゃんと止めていればこんな事にはならなかったかもしれない。

重々しい空気だ。




「もしかすると…タカヒロ様が手にした刀は妖刀かもしれません」

「よ、妖刀ってアニメとかでよくあるあの?」




文乃。リリベルにそんな事言って分かるか…と言いたかったがやめた。




「アニメ?とは分かりませんが、妖刀だとすればタカヒロ様は試練を受けているのだと思います」

「試練……」




そう言えば、鷹広のステータスに妖刀ってあったんだったか。




「それと、皆様にお知らせがあります。武器など買えた事ですし明日にはギルドへ向かって貰いますね」




またもや突然の言葉に驚愕。

リリベルのお知らせはいつも唐突だ…もう慣れたが。




「でっ、でも鷹広はどうするの!」

「……もしタカヒロ様が目を覚まさなければ、お留守番して頂きます」

「そんなっ!」




この決断は簡単に出したものじゃないだろうな……リリベルの顔を見れば分かる。




「……すいません。明日の為に今日はすぐお休みになって下さい………それでは私はこれで」




消え入りそうな声でお辞儀をすると行ってしまった。リリベルが居なくなった後でもやっぱり空気が重い。




「秋哉。ここは私に任せて……秋哉は戻って良いよ」

「…文乃…………分かった」




ここに俺が居てもする事がない。こういう時は女子同士が良いだろう。









自分の部屋に戻った俺は真っ先にベットに倒れこむ。今日は色々と疲れた……鷹広は大丈夫なのだろうか。




そんな事を考えながら疲れていたせいですんなりと眠りに入った。















「…き………きて………お……て…………おき…て………き……アキ!」

「………文乃」




ぼやける瞳で文乃を見据える。窓からは日差しが射しこみ鳥の鳴き声で朝だと分かった。




「おはよう、アキ」




毎日文乃に起こしてもらう俺はダメ人間なのかといつも思ってしまう。他人から見れば羨ましいと思われるだろうな。実際に中学生の頃、男子に拝まれてた。




「……はよ……そういや、鷹広はどうなった?」

「あ…うん………まだ目を覚まさないよ」




文乃の笑顔が曇った。こういう文乃を見ると胸がズキッと痛む。

でもまぁ、鷹広がああなったのは俺の責任だ。




「やってみるか」

「えっ? 何をするの」

「見れば分かる……鷹広の部屋に行くぞ」













ガチャッ




「ね、ねぇアキ! 何をするつもり?」

「今から俺のチートを試してみる。俺の予想通りなら効果はあれだ」

「チート?」




鷹広は死んだように眠っている。

お前がずっとこの調子じゃ草部の元気がない。早く起きろ。




「…鷹広……『起きろッ!』」




エコーが掛かったように俺の声が響いた。少し疲労感がある。




「アキ…今の……あっ!」

「うっ…あれ。いつのまに城に?」




どうやら上手くいったらしい。

少し気になる事がある……ステータスを見てみよう。




『ステータス』




HP 450/450


MP 240/250


Class Normal


Age 17


RACE 人間ヒューマン


STR 170(攻撃力)


VIT 200(物理防御力)


INT 340(魔法の威力)


WIS 300(魔法防御力)



ユニークスキル 自然治癒


チート 言霊使い


称号 異世界人 チート使い





どうやらこんな感じにチートを使うとMPが10減るらしい。新事実だ。




「凄いねアキ! さっきのは何だったの?」

「あれはチートだ。それより鷹広、体の調子はどうだ」




チートを使ったとはいえ、寝ている人間を無理矢理起こした事になる。誰でも体のダルさとかを感じる筈だ。




「ん? あぁ、ちょっとまだ眠いな。でも大丈夫だ」

「良かったよ三浦君……早く美代ちゃんに元気な姿を見せてあげて」

「美代…?」

「草部はお前が眠っている時から凄い心配してたぞ」

「よく分かんないけど行ってくる」




よし、これで鷹広の問題は解決だな。後はリリベルが言ってたギルドか。




「ふふっ」

「……どうした?」




急に笑い出した文乃にそう聞く。




「うん…何だかアキ、ヒーローみたいだったから。

これからも困ってる人を助けてあげて」




ヒーローみたい……。誰にも言われた事のない言葉だけど嬉しい。




それと同時に今、目の前で笑っている人を守りたいと強く思った。













「まぁ、タカヒロ様 元気そうで安心致しました。これで全員揃って出発できますね」

「本当だね。一時は誰かさんのせいで暗い雰囲気になったんだからね」

「わ、悪かった」




鷹広が戻ってきた草部はいつもの元気を取り戻していた。だが、草部の目が少し赤い……泣いたんだろうな。




「アヤノ様…アキチカ様……ミヨ様…タカヒロ様……姫様。ありがとうございます!」

「ミュミュ、喜ぶのは弟が見付かってからでしょ」

「はいっ」

「それでは早速ですがギルドへ向かって貰います。残念ですが私は行けません…ですが私の側近ならお貸しします」




側近を?




「ちょっ、リリベル様っ! 私達はリリベル様をお守りするのが役目なのですよ」

「そうそう。こんな事、グエン様がお許しにならないと思いますよ」




横から出て来たのはリリベルの側近と思われる男女だ。女の方は大人しそうだが美人だ。背は高く大人っぽい顔付きの為か年上に見える。髪型は茶髪をお団子にして上の方でリボンでとめていた。

男の方は見るからに鷹広と同じタイプだ。茶髪の髪が上に逆立っていた。目付きは悪い、口も悪そうだ。そして二人の共通点は耳が尖ってる事だ。




「私はこの城の中に居れば安全です。二人は皆様にギルドの場所を教えて差し上げて下さい」

「うぅ……ハァ………仕方ない。リリベル様の言う通りにしますよ」

「エルボーっ!」

「仕方ないだろシャノン。リリベル様の言葉は絶対だ……忘れたのか?」




また重い空気になってしまった。それにしてもこの街は色んな種族が居るな。




「決まりましたか。それではエルボー、シャノン…皆様をお願いしますね」











そういう訳で今俺達は城の裏口から出て森の中を進んでいる。幸いにもギルドと城はあまり離れてないらしい。




「おっと、そういや自己紹介がまだだったな。俺はリリベル様の側近のエルボー・リフレ…あっちの無口なのがシャノン・リフレだ」

「…………」




エルボーとシャノンはまだ喧嘩してるのか。

そのせいでまだ空気が重い。




「よろしくお願いします! 私は姫路文乃です」

「私は草部美代だよ」

「俺は三浦鷹広…で、こいつが」

「成瀬秋哉」

「ふんふん。アヤノにミヨにタカヒロにアキチカか!よろしくな」




自己紹介を済ませた俺達は深い森の中に入って行った。






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