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銀河コンビニぎゃらくしぃ  作者: てらだ
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エウロパ・リゾート!②

 エウロパの周回軌道上には船を係留するステーションが無数に設置されていた。このステーションに停まっている船の半分近くはおよそ実用性のない、しかしきらびやかな外装をした個人所有の大型船舶と、護衛の民間警備会社の武装船で占められていた。

 雄大は管制官の指示に従ってぎゃらくしぃ号を大型船舶用のステーションに寄せる。無骨なロボットアームが三本伸びてきて船体をロックしようとする。

「おっと」

 雄大はせっかちなロボットアームの先回りをするように細かく滑らかに船体を寄せて係留アンカーを射出して自らステーションへの接舷を完了した。

 ぎゃらくしぃ号の隣には先行して現地入りした魚住艦長のアラミス支店号が係留されている。

『こちらエウロパ管制室。ぎゃらくしぃ号の来航を歓迎します――ナイスアプローチでした』

 ぎゃらくしぃ号のブリッジ、メインビューワーに赤味の強いオレンジ色という派手目な制服を着た女性の管制官が映し出された。ノンスリーブのため管制官の華奢な肩、柔らかな二の腕が目を引いた。現在の市長の意向で官公庁でも金星のようなくだけたファッションをとりいれているらしい、かっちりとした銀河公社の制服と違ってどこかサーキットのコンパニオンガールを連想させる。

「ありがとう管制室──ぉ?」

 返答する雄大の視線は美人管制官の脇の辺りに引き寄せられていた。

(ブラなのか? 見せてるのか? それとも見えちゃってるのか?)

 チラリと覗く白い布がアンダーウェアに見えて仕方がない。幸いユイからは雄大の視線の向かう先はわからない、雄大は食い入るように覗き込んだ。

『船長、いえ皇女殿下によろしく、皆、殿下の大ファンです』

 ビューワーの向こうでは女性管制官の後ろの同僚達が「ウェルカム・バック・プリンセスユイ」「アイラブユーフォーエバー」と書かれたボードを掲げて騒いでいた。

「ごきげんよう皆様、エウロパは幼い頃に一度母に連れられて以来久しぶりの訪問になります──そう、50年ぶりぐらいかしら──今回もお世話になります」

 半世紀ぶりの来訪をまるでつい先日のことのように語る皇女。40年の冷たい冷凍刑もこの朗らかな笑顔を奪うことはできなかったようだ。

 船長席のユイが頭を下げる、と管制官の男達は「本物だ!」「木星王家の復活だ!」「クレメンス!」と野太い歓声を上げた。ラフタは音声出力をカットしてコンピューターによる字幕表示に切り替えた。

「すごい人気だね」

 過熱気味のエウロパ管制室の様子に呆れたように溜め息を吐くラフタ、操舵士席の雄大の方を向いて苦笑いを浮かべた。

「だな、ちょっと異常かも──」

(エウロパってこんな騒々しい感じだったっけ?)

 雄大は何度か学会絡みでエウロパを訪れた事があるのだが、その時とはずいぶん印象が異なる。この土地の人は保養地の人々らしくのんびり温和な性質だと思い込んでいた。くわえて露出多目の美人管制官まで用意されているあたり何かしら雄大の知っているエウロパとは違って見えた。

『どうぞセント・クレメンス・デーをお楽しみください──交信終了』

「ありがとう管制室、交信終了」

 軽く敬礼するとビューワーの電源もオフになる。

 雄大はシートベルトを外して立ち上がった。

「うん、あれは見せても良いランジェリーだな」

 エウロパ美女の下着について雄大の中で結論が出た。ユイは何の事かわからずにきょとんとして雄大を眺める。

「見せる?」

「いえ何でもない──さあさっそく降りようかユイさん、下でマーガレットが首を長くして待ってるよ」

 半日ほど前、マーガレットと六郎はシャトルに乗り込み支店の魚住と合流、三人で一足お先に地表に降りて不審者がいないか、爆発物が仕掛けられてないかなどをチェックして回っている。少女伯爵曰わく『不逞の輩が潜伏しているかも知れない』とのことだが雄大の知る限り、エウロパの治安は元々すこぶる良い。地球閥の本拠地であるロンドンでは暗殺や拉致を警戒しなければならなかったが、今から滞在を予定しているエウロパ・メガフロートシティーは木星圏の中でもとりわけファルシナ王家に好意的な土地である。

 さすがに今回ばかりは少女の取り越し苦労かもしれない。

「あ、少しだけ待ってください忘れ物が無いかもう一度確認しますので」

「どうぞどうぞユイお嬢様ごゆるりとお支度なさって。もう一人のマーガレットお嬢様にはもう少しお待ちいただきましょう」

 雄大はにこやかに笑って婚約者の身支度を眺めた。

「そういえばメグちゃんってば『今回こそは、わたくし自ら警備主任を務めます!』なんて──骨休めしにいくのに自分から忙しくしちゃって」

 貧乏性、いや苦労性とでもいうのだろうか……マーガレットは普段何もせず優雅に構えているように見えて、常に何かしら気ぜわしく動き回っている。

「いつもピリピリ気が立ってるからな──警備ならブリジットさんに任せておけばいいのに」

「そうなんですよ──上の者が忙しく働き過ぎると部下は心安まる時がありませんからね」

 ユイと雄大は手荷物の確認をしながら話を続けた。

「六郎さんやブリジットさん、果ては魚住さんまで、いつもアイツの顔色うかがってるからなぁ」

 ほんとうにそうですね、とユイは苦笑いする。

「──木星帝国はようやく主権ある国家として再生しつつあります。メグちゃんには闘うばかりではなく木星貴族として外交や内政のお手伝いをお願いしたいのですが──」

 ユイは少し哀しげに眉尻を下げた。

 マーガレットの内に溢れる先代の伯爵への敬愛とユイへの忠誠心は必要以上に強く、どこか妄執めいている。妄執がもたらす気性の激しさ、気位の高さは彼女を強く美しい戦士にしたが、人付き合いにおいてはそれが思いっきりマイナスに作用してしまっている。


「まあ今の調子だと外交の席──特に地球には連れていけないよな」


 マーガレットがもし先日の戦没者慰霊式典に同行していたのなら、ユイに無礼をはたらいた連邦政府議長マグバレッジJr.は公衆の面前で殴り倒されていただろう。

 抗議の声より先に手がでる今のマーガレットの気性では外交など務まらない。

「メグちゃんは『行動派』ですから」

 苦笑いするユイ。

 火星のお騒がせ娘・通天閣沙織への対応からしてもマーガレットは厳しく沙織の不正を追求して彼女を畏縮させるだけだった。要人警護を生業とするならそれでも良いが、民衆を導く政治家ならば沙織の小狡い商いも笑ってゆるすぐらいの心の余裕即ち、器の大きさが欲しい。

「ですから──雄大さんからもメグちゃんに少しはのんびりするよう言ってあげて欲しいのです、貴族らしい余裕と度量を備えるには、先ずは『遊ぶこと』から始めないと」

「何もしないこと? 働かないほうがいいってこと?」

 奇妙な物言いに雄大は首を傾げた。

「何もしないのは王族の仕事、道楽にかまけるのは貴族の仕事、と私のお母様がよく言ってありました」

 ユイはえっへん、と誇らしげな表情をする。

「わかるような、わからないような?」雄大は目を細めて思案する、王家というのはやはりどこか普通と違うようだ。

「でもマーガレットは自分でせっせと派手派手な衣装こしらえたり髪型にこだわったりしてるじゃないか。あれは『おしゃれ道楽』ってヤツだと思うけど?」

 火星風の機能的なフライトスーツをベースに、レザーベルトや鉄鋲などパンクな金星風味のアイテムを融合させたような奇抜なファッションで目に楽しい鮮やかな色使いが特徴的だ。

「いえあれはどちらかというと純粋な楽しみというより、木星貴族としての権威を維持するのに必要不可欠な教養らしいんですよ」

(教養? あのひとりファッションショーみたいなのが?)

「そ、そうなんだ」

「ええ、そういうわけですから良かったら雄大さんが遊びに誘ってあげてはいかがかと──」

「俺?」

「私と一緒に行動してると護衛だの何だの、メグちゃんは本当の意味でのんびり出来ませんからね。それに私が『遊ぶのも仕事』なんて言うと『またユイ様はそんな事を言って!』なんて怒りだして逆効果になりそう」

 ユイは両の眼尻を人差し指で持ち上げてマーガレットの釣り上がり気味の瞳を再現すると少女伯爵の声色を真似た。長年一緒に居るだけあって特徴をよく捉えている。

「似てる!」

「この応用で魚住のまねもできますよ」

 ユイはひとしきり笑い終わるとケースを閉じた。ようやく荷造りが終わったらしい。

「ね、雄大さん。メグちゃんの息抜き頼まれていただけますか?」

「マーガレットのこと、やっぱり気になる?」

「ええ」ユイは頷いた。

「まあやってみるよ」

 雄大が頭を掻きながら答えるとユイは安堵して微笑むと立てかけておいた大きなスーツケースを持ちあげる。やけに軽いと訝しく思っていると、するするっとスーツケースはひとりでに持ち上がった。

 駆け寄った雄大が手を貸してくれていたのだ。

「あら」

「俺が持って行くよ」

「ありがとうございます──でも雄大さんは操舵でお疲れでしょう? 自分で持って行けますからお気遣いなく。ほんの短い間ですから」

 肩を出した白いワンピース姿のユイは申し訳無さそうに荷物に手を伸ばすが雄大はその手を掴んで荷物を渡さない。

「そう言わずに任せてよ──ユイさんにこんな大きな鞄を持たせてるのがエウロパの人達に見つかったら俺が怒られちゃう。何もしないのが王族の仕事なんでしょう?」

「ふふ、じゃあここは雄大さんのお顔を立てましょう。お荷物お願いしますね」

「うん、もちろんだよ──彼氏として彼女を気遣うのは当たり前だからね」

「はあ、彼女ですか」

 ユイは少し顔色を変える。

「そう、俺の可愛いカノジョ、だよ?」

「も、もう」

 ユイは照れて雄大から視線を逸らす。一方の雄大の視線は微かに見えるユイの胸の谷間に吸い寄せられていた。遠慮なく顔を近付け、スーツケースで塞がった左とは反対の右腕でユイの肩に手を回す。

(エウロパと言えばセレブに人気のハネムーン先……当然今夜は……テンション上がってきたな!)

 従業員への慰安旅行のつもりでいるユイと違って、雄大の気分はまさに新婚旅行の予行演習のよう、鼻息荒く身体を密着させてくる。

「ひゃっ!」

 肩を抱かれたユイが小さく声を上げて身を強ばらせる。

「あの、雄大さん……ラフタさんがいますので……」

「あっ」

 浮かれた雄大はついついふたりっきりのつもりでユイに過剰なアプローチをしてしまった。ブリッジにはまだラフタが残っていて猫と一緒にこちらをじーっと見つめている。

(ラフタいるのすっかり忘れてた……)

 彼はまるで空気のように気配が無い、たまに存在を忘れてしまうほど周囲の無機物と一体化している。何を言うでもなく膝の上の猫を撫でながら少し虚ろな視線を雄大達に向けている。

「あ、そ、その~、ハハハ──」

 なんとなく気まずくなった雄大はユイから離れて頭を掻いた。

「どうぞ続けて」

「どうぞと言われても人前ではちょっと恥ずかしいよなぁ──ねえユイさん」

「人前でなくとも私は恥ずかしいのですけど……」

「ふたりは婚約者同士だから恥ずかしがる事は無いさ。まぁマーガレットには目の毒だろうけどね」

 ラフタは座ったままニコッと笑う。

 この青年は非常に物静かで、時に空気か観葉植物のように存在感の希薄な青年である。寡黙で芯の強い火星東部(イースト)気質の人間は感情の抑制に長けているらしい。火星西部(ウェスト)気質で鬱陶しい通天閣沙織とは真逆の存在と言えるだろう。


「──あの雄大さん、エウロパではこういうの、少し控えてくださいね?」

「えっ、どういう意味?」

「エウロパの人達は木星王家の支持者が多くて、私達は嫌でも注目されてしまいます──私達ふたりはまだ婚約の公式発表をしていません。そんなふたりが恋人以上のスキンシップをしているように見られるのはあまり好ましくないと思いませんか?」

「じゃあ発表しよう『婚約者です』って。どうせ結婚するんだしさ」

 いえ、そう簡単な話ではありません、とユイは首を横に振った。 

「ええと──木星王家の王室典範を見ながら魚住とも相談したのですけども──王族の婚姻というのは外から見ると、当事者同士の思惑を飛び越えた国家的行事です。『木星王家の格』がどの程度の物なのかを示すバロメーターにもなるのですよ? 月で正式に婚約を取り交わし、そのことを書面にして英国女王陛下や教皇聖下、連邦政府議長などお付き合いのある方々にお送りせねばなりません──その、人前でも仲良くするのはこういう段階をしっかり踏んでからでも、遅くはない、かな、と……」

 なるほど、と雄大は得心した。ろくな領土も持たず国民もいない現在の木星王家にとって皇女ユイの婚姻は国威を示すのにうってつけの『国家的行事』だろう。

 それが公式発する前にニュース屋にすっぱ抜かれて『熱愛発覚!』的な扱いをされてしまうと国家的行事が途端に安っぽいスキャンダルにまで落ちてしまう。

(確かにアイドルの熱愛発覚報道ってイメージダウンはなはだしいからなぁ、バレないようにしばらくは我慢するか──と言いたいところだが……要するに結婚するまでふたりの関係は『このままおあずけ』という事か?)

 それは困る、と雄大は小さく呟いた。

「それじゃいつもみたいにチュッ、とかは無し?」

 婚約者の言葉に動揺する皇女。

「ちゅ? そ、そんなにいつもちゅっ、とかしていないでしょう? 雄大さんとキスしたのは──ご、五回だけです、たぶん」

 ユイはうつむいて唇を押さえる。

「え~、ユイさん──キスした回数覚えてるの? やーらしい。皇女様なのにはしたないなぁ」

「え、え?」

 余裕なく赤面するユイの反応が可愛いので、雄大は調子に乗って意地の悪い声を出す。

 からかわれたユイは耳まで赤くして拗ねた。

「普通は覚えてるんじゃないんですか? 忘れるぐらい軽い気持ちで口づけなんてできません」

 ユイの声が少し震えていた。雄大はユイの真剣な表情にドキリとさせられる。雄大は少々浮かれ過ぎていたことを反省した。王家がどうの、という点を差し引いてもユイは男女間の性交渉を特別に神聖視する傾向が強い。スキンシップを無理強いしたり男女間の行為についての話題になると機嫌を損ねてしまう。

(うーん……ユイさんて俺の傍に寄ってくる割には……こっちから触ろうとすると逃げるんだよな。俺の触り方がまずいのか?)

 雄大は目前の可愛らしい女性となかなか深い関係になれないもどかしさを感じていた。

「ごめんごめん……からかって悪かったよ。取り敢えずこれからは過度なおさわりは控えるから」

「それがもう一つ信用できないんですよね雄大さんは。そういう意味でもエウロパでは私よりメグちゃんと一緒に行動してほしいのです」

 ユイは口を真一文字に結んで抗議するように雄大を見上げてきた。

「えっ、もしかしてマーガレットの息抜きはついでで──まさか本当の狙いは俺のおさわりをかわすため?」

「はい……まあついでなのはスキャンダル回避のほうですけどね」

「ゲエッ、俺ってそんなに信用されてないの!?」

「いえ信用してます。雄大さんは……女の人の裸の画像を撮るのが大好きで、目の前の欲望に忠実な性格をしていらっしゃいます――とても信用できます」

 真顔で語るユイに打ちのめされる雄大。

「それ、信用してるって言わないです普通……」

 かつて山荘に二人でお泊りした時、雄大の趣味のひとつである美人受付嬢やアイドルの違法改造ホロデータをユイに発見されて大変な目にあったのだが、ユイのほうはいまだに許していないようである。

 雄大が物凄く残念そうにしているとクスクスとかみ殺したような笑い声が通信士席の方から聞こえてくる。

「なんだよラフタそんなに笑うなよ……ほら、お前も座ってないで行こうぜ。メイン動力落とし終わったんだろ?」

「うん、じゃあいってらっしゃい。楽しんできて」

 ラフタは椅子に座ったままヒラヒラと手を振った。

「──何やってんだ? お前も降りる準備しないとホラ」

 雄大はラフタの手を取るがラフタは動こうとしない。

「僕は遠慮するよ、留守番さ」

「はあ? おいおい、それは無いだろ──ラフタも来るんだよ」

「僕はサブローと一緒に居残りするから、なあサブロー?」

 通信士席のコンパネの上で丸くなっている猫のサブローはラフタにくすぐられて喉をゴロゴロと鳴らす。

「──サブローも連れて来ればいいじゃないか。たまには広い場所に放してやらないと──こいつの内なる野生を引き出してやろうぜ」

「必要無いってば。サブローが行きたくないって言ってる、だから僕も行かない」

 んなー、と猫のサブローは気怠い声で鳴いた。確かに野生は感じない。

「ウソつけ、いくら火星人が猫好きでも猫語まではわかんないはずだぞ。そんなの聞いたことない」

「雄大、火星のこと知らなさ過ぎ。火星生まれの人間は猫の」

 ラフタが喋り終わらない内に、雄大は機敏な動作でサブローを抱え上げると猛ダッシュしてブリッジを出て行った。

「──っ!?」

「へへ、人質だ! 返して欲しかったらラフタもエウロパに降りるんだな!」

 スーツケースと猫を持って走り去る雄大。

「酷い!」

 ラフタは珍しく声を荒げて立ち上がった。

「まあ、ラフタさんが──怒ってる?」

 比較的長い付き合いのユイも、青年がこんな風に感情を露わにするのをあまり見た事がないようだ。


 ──ぎゃらくしぃ号には経歴不明の金星人・甲賀六郎を筆頭に、暴れ者だったブリジット、家出少女の鏑木林檎、とぼけたロボット・牛島──そして士官学校中退のエリート候補生・雄大といった理由(ワケ)ありのメンバーばかり集まっている。

 そんなメンバーの中でもとりわけ素性がよくわからないのが彼、ラフタである。彼は寡黙であり人付き合いを避けているのでプライベートには謎が多い、雄大とはよく喋るほうだがラフタは自分自身の経歴や家族については話そうとしない。

 ラフタは逃げる雄大とユイの後を追い掛けるように、シャトルの待つランチベイに走り出した。

(ラフタが血相を変えて走る姿なんて想像も出来なかったけど、こうして見ると割と何処にでもいそうな男だよなぁ)

「よし、ラフタ付いてきてるな」

「ゆ、雄大さんラフタさんすごく怒ってますよ? こんな意地悪やめましょうよ。お留守番してもらえばいいじゃないですか」

 息を切らしながらユイが諫めてくるが雄大は大きな声でダメダメと答えた。

「ラフタだけ仲間外れなんて嫌なんだよ。ラフタが良くても俺が嫌なんだ」

「……え?」

 ユイには雄大の考えがよくわからない。

「これって言わばぎゃらくしぃグループ初の記念すべき第一回慰安旅行なんだからさ、ぎゃらくしぃ号のみんなで楽しまないと。そうでしょ社長?」

 雄大は少年のように屈託のない笑顔を見せた。ユイはハァハァと息苦しそうに雄大に必死でついていく。

「でも大丈夫でしょうか、人混みを嫌ってるラフタさんをいきなり観光地に連れ出すのは強引すぎませんか?」

「これぐらい強引なほうがいいんだよ、俺とラドクリフも昔そうだったからわかるんだ」

 女のユイにはよくわからないが少年同士の間で通用する理屈があるようだ。

「はぁ、雄大さんもメグちゃんに負けず劣らずの行動派なんですね」

「いやそれほどでもないかなぁ」

「褒めているわけではないんですけど」



 そうして無人となったブリッジでは航海補助用の電子人格がメイン動力、補助動力と次々に落としていき最後に自身も眠りについた。ぎゃらくしぃ号は久々に完全な休眠状態(スリープ)になった。

 エウロパ滞在はこのハイドラ級一番艦にとっても骨休めの良い休暇となりそうだ。


 

 ◇


 エウロパ・メガフロートシティの港に『大気圏内外両用宇宙船(マルチシップ)』が着水した。船内からどやどやと降りてきたのはぎゃらくしぃ号の乗組員達だ。

 港の前で腰に手を当てながらドローンから送られてくる映像に気を配っているのはマーガレット・ワイズ伯爵。左耳に付けたゴーグル付きのインターコムを瞬きで操作しながら暗殺者がいないか、攻撃用の無人機(ドローン)がいないかをチェックしている。

「ブリジット? そちらに問題はなくって?」

 オレンジ色のタンクトップとデニムのズボン、いつもトレーニングで使っている白のジャージという自室のようにラフないでたちのブリジット。心地好い潮風でほや~っとゆるんだ顔が師匠の声で引き締まり、背筋を伸ばしてハキハキと返答する。

『はい閣下、問題ありません!』

「ユイ様はどんなご様子?」

『えと──お元気そうですよ?』

 ギャー、ワーという歓声とも悲鳴ともつかない声が船内から聞こえてくる。

「何なの? 騒がしいけど」

『あー、それがですね閣下。ラフタが『猫を連れてぎゃらくしぃ号に戻る』って言って暴れてて……』

「あんたがなんとかしなさい」

『え~? なんとか、って──具体的な指示をしてくださいよぉ』

「黙らせて」

『アイ、マム』

 マーガレットは通信を終えると、ふぅと溜め息を吐いた。隣にいた魚住が訝しげに様子をうかがう。

「何かあったんですか?」

「さあ? ラフタが暴れてるって──もう、騒々しいったら無いわ。休暇中とはいえ最低限の品位は守ってもらわないと地球の連中に笑われちゃうじゃない」

「それにしてもラフタが騒いでるなんて珍しいですね──大丈夫かしら」

 アラミスの首都郊外でジャンク品をいじってパーツ屋の真似事をやっているラフタを、メカニックを探していた魚住が拾ってきてからの付き合いであるがとにかく感情を表に出さない青年なのでこんな大きな声が出せるとは知らなかった。

「何がそんなに嫌なのかしら……」

「さあ……? 火星の人間って独特よね」

 そうこうしていると、漁師に狩られた獲物のようにブリジットの肩に担がれたフライトスーツ姿の男性が見えてくる。

「えっもしかしてあれラフタ?」

 フライトスーツのネックガードにモリの穂先が引っ掛けてある。ブリジットが歩くたびにブラーンブラーンと両手両足が揺れている──頭に一羽、海鳥が止まってケケケと甲高い声で鳴き始めた。

「うわぁ……なんだか死体みたいに見えますね」魚住が顔をしかめる。

 銛の先に吊された男──伝統農法に使うカカシ人形だと思って眺めていた人達もそれが気絶した人間である事がわかるとざわめき始めたが彼等はすぐに『クレメンス翁のモリで串刺しにされた悪魔』のパフォーマンスだと勘違いしたらしく口々に『クール!』と呟いてPPで撮影を始めてしまった──ラフタに外傷は無くとも心に傷は負いそうだ。

「──ブリジット何やってるの恥ずかしい! 悪目立ちしてるじゃないの」

『え~? 閣下が黙らせろって言うからこの棒で叩いて──』

「もう! 何なのその棒?」

『そこら中に立てかけてありますよ、聖クレメンスのお祭り用とかで』

 マーガレットは首を傾げて魚住を見るが彼女のほうも首を捻っていた。

「うぅん、これがエウロパのお祭り? なんだかおじいさまから聞いてた話と違うわね……」

 どう頭をひねろうとも、木星帝国のクレメンス翁と捕鯨用の銛に関連性が見いだせない。セントクレメンスデーというのは木星帝国とは関係無くエウロパ特有の奇祭として独自進化しているようだ。

「ま、まあリンジーとラフタが注目されてて上手い具合にユイ様が目立ってないのは良い事かも知れませんね、警備がやりやすくて。あははは……」

「木星帝国の品位はガタ落ちだけどね」

 マーガレットは面白くなさそうに口をへの字に曲げた。

「いいこと魚住? わたくし達がしっかりしないと木星帝国の復興は遠のくばかり。休暇中だからこそ気を引き締めなければなりません」

「あ、はい閣下。ごもっともです」

 混雑して人の出入りの激しい港は危険に満ち溢れている。暗殺者か最も接近し易い場所だ。マーガレットは周囲に殺気のようなものを放ちながらユイ達の方へと歩いていった。



 ぎゃらくしぃ号とアラミス支店号のクルー全員、百名を超える団体が一斉に移動するのはなかなか大変だ。班分けして宿泊先のホテルに向かうわけだが迷子になるような事があってはならない、万全を期して公共交通機関ではなく大型車をレンタルする事になった。

「なんだこれフロッガーじゃないか」

 連邦陸軍(ガード)が用いるホバークラフト式の兵員輸送装甲車(APC)である

「おいおいリゾート地で軍用って」

 装甲リムジンに空きが無かったためエウロパの市長が個人的に所有している車を手配していたのだが、マーガレットはそれを断っている。

「この輸送車のデザインは好きよ、機能的で。実はわたくしちょっと乗って見たかったのよねフフ」

 マーガレットはフロッガーの助手席側、もとい砲撃手席に乗り込むと楽しそうにコンパネをいじり始める。元海兵隊のユーリから操作の説明を受けて対ドローン用のロングボウミサイルランチャーを起動させている。

「市長の好意だろ、何で断ったんだよ、失礼に当たるんじゃないのか」

「ハァ……あのね宮城、市長が用意してた車ってコレよ? こんなのにユイ様は乗せられないわ」

 呆れ顔のマーガレットが自前のPPで映し出したのは真っ赤なスポーツカーだった。

 美しく艶めかしい流線型のボディは華奢なのにどこか獰猛さを隠し持っていた、なんとも男の闘争心を掻き立ててくれる。

 最後のガソリン車として作られた22世紀初頭の記念モデルに違いない。いわば動く骨董品で資料的な価値は計り知れないほどだろう。

「げえええ!? 今からでも遅くない、こんな野暮ったくて物騒なの突っ返してこのヴィンテージカーを借りにいこう!」

「は? ふざけているのかしら?」

 マーガレットは不満げに雄大を見据えてくる。

 それはまあ、地球圏の人間の美的感覚と開拓惑星系の人間の美的感覚には当然大きな隔たりがあるだろうが──

「アンタそんな平べったくて狭苦しいヴィークルに乗りたかったの? 小さなゴム車輪が4つだけで装甲もペラペラ、今時ホバーモードにも切り替え出来ないし、段差も乗り越えられないでしょ……子供の玩具でももう少し気が利いてるわ」

「ははは雄大くん、フロッガーはいいぞ、最大で25名も運べる上に一回の充電につき2個小隊の戦闘行動を連続300時間支援できる優れものだ。ホバータンクが無くてもこいつがあれば歩兵はかなり戦える」

 アロハシャツを着てすっかりくつろいだ雰囲気のハダム大尉が緊張感のない声で笑った。それにしてもなぜ戦う前提なのか……

「ああ、いやだいやだ、これだから軍人は……」

 マーガレットに限らず、ハダムのような33世紀の開拓惑星系移民の感覚では専用道路しか走れない古い規格のタイヤ車はちゃちな玩具に見えるらしい。一方、月や地球の都市部では事故防止のためわざと不便なタイヤ車を使用することが多く、雄大も車と言えばタイヤ付きのものを連想する。

「これはフェラーリって言ってですねえ──」

「フェラーリ?」

 大尉とマーガレットは首を捻ってフェラーリとはいったい何なのか考えているようだ。ユーリもPPでフェラーリを検索しているがあまりよくわかっていない様子だ。現物もない状態で啓蒙活動するのは厳しい、雄大はあきらめて兵員輸送車の運転席に乗り込んだ。

 


 雄大は慰安旅行御一行の先陣をきってフロッガーをすいすいと進ませる。六台の兵員輸送車は雄大、ハダム、エルロイ、ユーリ、牛島、六郎がそれぞれ運転する。

 観光客御一行というより、さながら一個大隊の行軍だ。

 エウロパの車道は広く非常に開放的だ、木々の隙間から見える広大な海に歓声を上げるぎゃらくしぃ号のクルー達。とりわけアラミス出身者達のはしゃぎっぷりは激しい。

「みんなテンション高いな~」

「あの子達の生まれ故郷アラミスも一応海洋リゾート地だから。雰囲気が似ている海辺の風景が嬉しいのだと思うわ」

「マーガレットもアラミス暮らしだったんだよな?」

「そうよ、まあ木星王家にとっては実質流刑地だったわけで、そんなにいい思い出もなかったけど」

 マーガレットの長い金髪が風にたなびく。

「小さい頃はあんな辺境、嫌で嫌で仕方が無かったけど、今となっては懐かしいわね」

「そっか」

 マーガレットは目を細めて車窓から遠くの海を眺める。少女の物憂げな横顔、故郷の回想にふけっているのだろうか。

 ナビゲーションシステムの画面を後部カメラの映像に切り替えるとブリジットが銃座の上に登って何か海に向かって叫んでいるのが見えた。

「……うわ」

「若干一名、浮かれ過ぎて野生に還っている馬鹿がいるけど、あれはアラミス生まれの中でも特別中の特別な存在だから気にしないで」

 マーガレットは不肖の弟子の恥ずかしい姿を見られないようにカメラの映像を切って現地のニュース番組に周波数を合わせた。市内ではクレメンスデーの催事以外にも、なにか大掛かりなレース競技が開催されているらしくその模様が放送されていた。

「なあ、アラミスの海もこんな感じ?」

「いいえ、こんな色の薄い人工のプールじゃなくて、もっと極彩色で美しい本物の海よ。その海にアラミスの若い恒星から注ぐ陽光が反射してね――人の手垢が付き過ぎて濁った地球の海じゃ相手にならないほど綺麗だわ」

 少女は上機嫌で語る。アラミスは連邦の管理が行き届いておらず無法者たちの潜伏先としてのイメージが強いが、マーガレットにとってアラミスとは祖父とともに幼い頃を過ごした特別な場所だ、聞かれればやはり誇りたくなる。

「へえ、ビーチに出てみたかったな。俺さ、宇宙港近くのホテルに泊まっただけですぐぎゃらくしぃ号に乗っちゃったから。いつかアラミス観光してみたいよ」

「そうね、クルーの子達も里帰りさせなきゃいけないし、そのうち仕事で行く機会もあるわよ」

 マーガレットの表情がずいぶんとほぐれてきたのを雄大は感じていた。やはり宇宙船の外は気分が良いのだろう。


 フロッガーは迷いなく道を進む。

 雄大は走りなれた道であるかのようにスムーズに運転していた。

「ねえ、ナビゲーション無しでも行く先にちゃんと向かってるみたいだけど、あんたってエウロパに詳しかったりするの?」

「まあね、実をいうと俺、ここには何度か来てるんだ」

「へえ……庶民の分際でこんな観光地に何度も? 結構な御身分でいらっしゃること」

「このメガフロートシティでは色んな学会が開かれる事が多いんだよ、それに出席した事があるってだけ。士官学校のカリキュラムの一環だからスケジュール厳しくてね観光とかする暇なんて無いさ」

「士官学校のカリキュラムで学会に出席するなんて宇宙軍って変なところ」

「それは航宙ライセンスAAA(トリプル)を取得するために必要な事で、普通の幹部候補生はそんな事しないよ、専門家とコンピューター任せさ……ただ30代で将校になって幕僚会議の参謀になるのを目指してるのなら天体工学だけでなく各種学位の取得は必須なんだよね──ネイサン少将が若くして幕僚会議入り出来たのはそういう条件を満たしていたからで」

 ふうん、とマーガレットは適当に相槌をうつ。連邦宇宙軍の裏話をされたところであまり興味をひかれない。

「ああ、そう言えば──わたくしもキャリアアップしたいなら変な学位を取るように、って言われたわ」

「そういやマーガレット、お前の航宙ライセンスBBダブルビーどまりだっけ」

「悪いかしら? 船を動かすには十分よ」

「まあな、実用性のない学位も多いし──聖樹船学会とかに参加した時なんか、こーんな珍妙なヘアスタイルした年寄りの学者先生とかが居て人類の起源について語り始めるわけさ。ホント──実生活でなんの役に立つのか疑問なんだよな、アレ」

 渋い顔をする雄大をみてマーガレットはにやりと笑う。

「地球の連中が決めたくだらない先例ルールに従う必要なんてないわ。木星帝国復活の暁にはもっと実用的な独自の航宙ライセンスをユイ様に発行してもらうんだから」

 少女伯爵に地球の話題をふっても反応は薄いのだが、連邦政府の権威を扱き下ろすようなものにだけは食いつきがよい、雄大は苦笑いするほかなかった。

「でもマーガレットがキャリアアップを望んでるなら俺が取得のコツを伝授してやるよ。おまえの集中力があればすぐ取得出来るさ」

「そ、そう? ありがとう……考えておくわね」

 マーガレットは自分には関係無い話だと思って軽く聞き流していたが、ふっ、と雄大と自分が肩を並べて勉学に励む姿を頭に思い浮かべた。



(こいつと、わたくしで──集中して、ふたりっきりで──)

 マーガレットの妄想はどんどん膨らんでいく。

(そのうち、べ、勉強以外の事も相談に乗ってもらったりして──)

 胸の内がむずむずしてくる。

 妄想の中の雄大は積極的でマーガレットに触れてくる。

(だ、駄目よ──いくらユイ様がお許しになられても、貴族であるわたくしが主君の婚約者を、ね、ねねね、寝取るなんてやっぱり問題があるわ。万が一コイツがわたくしの方に夢中になっちゃったらどうするの? 家臣として素直に喜んでいいの、それ?)

 妄想は段々とエスカレートしていく、純白のシーツにくるまったふたりの指と指が絡み合い、雄大の唇が少女の首筋を愛撫する。

(……も、もう、何なのこれ、身体が熱い? わたくしどうかしちゃったのかしら)

 身体の火照りと妄想が止まらなくなってきたマーガレットは紅潮した頬を隠すように手で顔を覆う。



「お、おいどうしたマーガレット? なんか変だぞ。熱でもあるんじゃないか? なんか息も苦しそうだし……まさか港で変な病気もらったんじゃ」

「わたくしは平常です、いいから黙って運転に集中しなさい」

「いや、なんかおかしいって。過呼吸気味だぞ」

 雄大は不自然なほど赤くなったマーガレットを心配して身体を寄せ、額に手を当てるため前髪を持ち上げる。

「きゃ!」

 少女は首を捻るのと同時に肘を上げて青年の手のひらを払った。

「いてっ? 暴れるなよ。危ないだろ」

「も、もう何なのよっ、急にさ、さささわっ、触られたらびっくりするじゃない! バカ! 変態!」

 少女は雄大の脇腹を掌底でうった、照れ隠しにしては強烈な一撃である。

 もはや条件反射的に暴力的な行動に出てしまう自分が恨めしい。恋い焦がれる男性を傷付けまいと最近は力の加減にこだわってきた彼女ではあるが今回は動揺して思わず鋭い打撃になっていた。

「あっ」

「──んぐふぉっ?」

 腹の奥に食い込むような一撃は呼吸を乱して犠牲者の行動を制限する。

 フロッガーは車体を右に、左に大きく揺らしながら直線道路をいっぱいに使って蛇行する。

 身体を曲げ苦悶の表情を浮かべながら何とか運転を続ける雄大、マーガレットは慌ててコンパネを操作して自動運転のスイッチを入れた。

「もうバカっ! 触るなら触る、って前もって言いなさいな! 驚かせないで!」

 声が出せない雄大は涙目でコクコクと肯くことしかできない。

「わ、わかればよろしい……」

 マーガレットはそう言いながら雄大の脇腹をさすり背中を叩いてスムーズな呼吸を促した。

「ねえ大丈夫? ごめんなさい……その、わたくしびっくりしてしまって。運転代わる?」

「大丈夫、大丈夫、もう少ししたらおさまりそう……」

 軽く咳き込みながら呼吸を落ち着かせる雄大。

 マーガレットはヘッドレストに頭を預けて冷や汗をぬぐった、運転手が気絶して皇女の乗った車が交通事故……という不祥事だけは回避できたようだ。

 ふと視界に入ったバックミラーの向こう側ではユイと魚住が青褪めた顔でこちらをうかがっている。驚いたマーガレットが振り返るとふたりともバツが悪そうに顔を背けた、どうやら後部兵員待機スペースから観察されていたらしい。


(リゾート地に休暇に来て一番うわついた気持ちになっているのはもしかしたらわたくし自身なのかも……)


 マーガレットは羞恥のあまり助手席で身を丸めて小さくなってしまった。

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