序章
『魔法』それは幻想世界、空想世界、創造世界にしか存在しない強大な力のことだ。魔法はなんでもできる、科学では説明できないことも魔法という。
現代において魔法は説明できないものだが、もし大昔に存在していたらどうなっていたら現代はどうなっていただろうか。人類は化石燃料の発見で大きな科学進化を遂げた。では、もしその発見が魔力なら・・・。
この世界は魔導世界と呼ばれている。魔力を動力源として走る車、電車、発電所等々、高度に発達した魔法世界。確かに魔力は人類の産業、科学の発展を促してきた。しかし、全人類のすべてが魔力を持ち生まれてくるわけではない。人類の中でもほんのわずかな人間だけが生まれる際に魔力を秘めて生まれてくるのだ。
親の遺伝で生まれてくる者もいれば、そうでないものもいる。魔力を秘めて生まれてくるものの条件は親の遺伝以外に解明されていない。
魔力を持たない人間は魔力を使った道具でこの世界を生きている。一般人が魔法を使うには必ず魔力を魔法に変換させるツールを使わなくてはならない。もちろん、一般人が魔力を持ち合わせているわけではないので魔力が充填されている道具を使い魔法を行使するわけだ。『魔道具』と呼ばれているそれらは、形に拘りがない。何の変哲のない杖でも問題はないわけだが、魔力、魔力を魔法に変換させる魔導回路、そしてエレメントを付与させ魔法の威力を高め、魔法を発動させる魔法術式、この三つを加えていなければならない。
だが、体内に魔力を秘めている者はそんなまどろっこしい方法で魔法を発動させる必要はない。言葉を媒介させ手をかざすだけで魔法が発動する。言葉は魔法術式の代わりに、魔導回路は内に秘め、手からあるいは空間から魔法を放つ。彼らこそが魔法使いといえよう。
無限に近い魔力を秘め、町一つ破壊できるほどの魔法を放つことができる魔法使い。一般人から見れば恐怖の存在だ。ゆえに、魔力を持って生まれた人間はその能力が発覚した時点で殺されたり、迫害されることが多い。もちろん、国がそんなことを放っておくこともなく、保護し安全かつ正しく魔法が使われるようにするための教育施設を作り上げた。各国に一つずつ、これは国際魔導連盟に基づいた国の義務である。
~『魔力と歩む人の歴史』序章より抜粋~