「旧姓単記」は「選択的夫婦別姓」より「戸籍を破壊」する政策である件について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は「検討段階」ではありますが「旧姓単記」を可能とすると高市首相が指示したと各紙で報道したことについて個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
筆者:
まず現状を簡単にではありますが整理したいと思います。
どうして選択的夫婦別姓にしたい方がいるのか? と言いますと
旧姓を使用したい方からするとパスポートなどで現在の姓と前の姓の併記の状態は国際的には標準ではないために、ビザの審査などで無用な手間と時間を取られてしまうことがあるんです。
海外で仕事をする際に名字が変わると「キャリアの断絶」といった不利益を被ることもあるそうです。
一方で選択的夫婦別姓反対派は子供からすると「強制的親子別姓」になってしまうために家族関係が悪化したり、親子で名字が違うことでイジメになってしまうのではないか? と言ったリスクがあると指摘しています。
質問者:
反対派では戸籍制度が選択的夫婦別姓で崩壊するといった意見もあるのですが、それについてはどうなんですか?
筆者:
選択的夫婦別氏制度が導入された場合の戸籍について、平成8年1月の法務大臣の諮問機関である民事行政審議会の答申では、別氏夫婦、同氏夫婦いずれについても同一の戸籍に在籍するものとされています。
この案が採用されるのであれば戸籍制度は崩壊しないものと思われます。
◇「旧姓単記」は「選択的夫婦別姓」に完全に劣後
質問者:
でも、現状は「旧姓併記」の状況ですよね? これを継続や拡大することでは駄目なんでしょうか?
筆者:
国際民間航空機関(ICAO)の規定ではICパスポートのチップが「法的氏名(Legal Name)」である必要があるんです。
そのために、現状併記の状況でICチップを読み込むと一つしか認識されないのに2つ名前が書いてある……なんじゃこりゃ!
質問者:
なるほど……それは困りますね……。
筆者:
現状案として検討されそうな旧姓単記は、
1 戸籍上は家族が一つの姓に統合される。
2 免許証や住民票、パスポートといった「公的証明書」に「旧姓だけ」が載ることが選択できるようになる。
と言った形で現行制度と選択的夫婦別姓の「良いとこ取り」を目指しているものと思われます。
質問者:
筆者:
しかしこれは「宣伝文句」であり実情は悲惨極まりない状況しか生みません。
まず問題に挙げたパスポートの「法的氏名」の問題ですが。これは戸籍名(新姓)という事になります。
つまりこの「旧姓単記」案は「国内のみ旧姓使用」という事であり、問題の解決には全く繋がりません。
むしろ、パスポートは新姓、他の国内の免許証などの公的書類は旧姓となって大混乱になることは間違いありません。
質問者:
筆者:
更に「子供の姓」そのものもあやふやになります。
同時に子供も国内の公的資料では「夫婦別姓」状態ですから、「両親と名字が違う……」と言う混乱の可能性は残り続けます。
質問者:
「良いところ取り」かと思いきやまさかの「悪いところ取り」状態じゃないですか……。
筆者:
更にこれは通名や旧姓が「正本」として通るようになる事も意味するので、戸籍制度の形骸化をより促進します。
戸籍制度との姓の乖離の数が増えればは戸籍が事実上意味をなさなくなり、
選択的夫婦別姓の良いところを無くし、悪いところがそれ以上のもので出てしまうことになります。
戸籍制度と言うのはいわば「日本人としての証明」であると僕は思っているので、
戸籍が身分証明の役割が果たせなくなれば、身分を偽ることが容易になるのではないかという強い懸念を覚えます。
中国や韓国にも日本の戸籍に近い制度があるそうなのですが、これが身分の証明にならないのは夫婦別姓で戸籍が登録されていながら、実情では家族の姓が統一されていたりすることがあるからです。
(つまり日本の案とは逆の状況だが状況としては近い状況)
このように戸籍と実情の乖離が進めばより戸籍は意味をなさなくなる可能性が極めて高いのです。
質問者:
一見保守派に配慮して良そうな「旧姓単記」ですが実は「よりリベラル」かもしれないという事なんですね……。
筆者:
戸籍名と公的証明書の名前が違うという状況が普通になれば 外国の方の「通名」というのも実質的にやりやすくなります。
こうして日本人であるという公的証明書として戸籍が全く意味が無くなり、戸籍制度は事実上崩壊するのです。
このように、問題点はほとんど解決できず高市総理の「自己満足制度」としか言いようがないという事です。
◇残念ながら2つの要素から実現可能性は高い
質問者:
ですがまだ「検討段階」なので実現しない可能性もあるのではないでしょうか?
筆者:
そもそも未来のことは全てにおいて「100%」という事はあり得ないと思います。断言している方は大言壮語かペテン師か”やらせ”をやっている側の人間かのどれかだと思います。
その上で「単記制」の実現可能性について述べますと、実は極めて高いのではないかと思っています。
※併記性の拡大のみにとどまることが一番どこにも波風が立たないと思います。
まず高市総理が「受益者」である点です。旧姓単記が実現すれば、高市総理の夫の高市拓氏は、免許証などの公的書類でも「山本拓」という名前を単記で使えるようになります。
質問者:
確かに普通は男性の姓に統一するところを高市さんのところは違いますからね……。
筆者:
2つ目の理由としては反対に回る可能性がある保守派はここまでの流れが難解であるために「選択的夫婦別姓ではないから安心だ」と本質を理解できないまま支持してしまう可能性も高いのではないかと思っています。
反対の声が少なければ数の理論では衆議院で圧倒的なので容易に法案を通すことが可能になりますからね。
質問者:
確かに現状と選択的夫婦別姓と単記制の違いなんて、筆者さんみたいなマニアでもないと分かりませんものね……。
筆者:
高市総理は勿論ですが自民党はイメージ戦略に非常に長けていると思います。
自民党は国際的には1年以上の外国人滞在者は移民であるものの「移民ではない」と勝手に定義を変更したり、
子ども子育て拠出金についてはどう見ても増税なのに「保険料に上乗せなので増税ではない」と言ったり、
給付付き税額控除や食品減税に賛成しない政党を排除するのにも関わらず「国民会議」としたり、
こういった「印象操作」に負けず「実態はどうなのか?」に絞って国民は評価を下す必要があるでしょう。
現状の「本当の評価」は選択的夫婦別姓推進派も不満があり、保守派も戸籍制度が危うくなるために本来は納得してはいけないと言う現実を直視しする必要があると思います。
質問者:
選択的夫婦別姓賛成派と保守派が一致団結すれば覆る可能性があるかもしれませんからね……。
筆者:
最終ゴール地点は異なっても、一時的な同盟でも良いので協力して足並みをそろえないと単独3分の2の政権に太刀打ちできませんよ。
どちらかと言うと「高市総理にとって良いところ取り」と言っても過言では無い状況をよく理解する必要があると思います。
という事で今後もこのような法案や政治について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。




