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ヒロインは敗北しました(連載版)  作者: 東稔 雨紗霧


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 「ルミナス、ルミナス」

 「……う、」

 「ルミナス、ルミナス」

 「……なに」


 呼びかけられる声に意識を浮上させたルミナスはまだ寝ていたいと渋る瞼を抉じ開けた。

 寝起きでボーとしながらシバシバする目を瞬かせていると再度、自身を呼ぶ声がする。


 「ルミナス!」

 「……じょん?」

 「良かった!目が覚めたんだね!」

 「ここは……?痛ッ」


 起き上がると後頭部に強い痛みを覚えて押さえる。

 周りを見渡すと見覚えの無い場所だった。

 薄暗い岩肌の部屋に眼前に見える鉄格子。


 (どう見ても地下牢です、ありがとうございます!ナニコレ、どう言う事?!)


 混乱するルミナスに「大丈夫?」と声が掛けられる。

 視線を上げると鉄格子の先に廊下を挟んで同じく牢があり、その中にジョンが居た。

 ジョンとルミナス、この二人に共通するのは祭りの生贄と言う点で、意識を失う前にルミナスをサーシャが尋ねて来たのを考えても良い予想は浮かばない。


 「僕は家で夕食を食べてから記憶が無いんだけど、ルミナスは?」

 「寝ようとしてたらサーシャさんが尋ねて来て、気が付いたらここよ」

 「似たような感じか……何でこんなところに」


 扉の開く音にジョンが口を噤む。

 誰かが入って来た様だ。

 廊下に響く足跡でこちらに近付いて来るのが分かり緊張の面持ちで二人が足音の主が姿を現すのを待つと予想通りサーシャが現れた。


 「「サーシャさん(おばさん)!」」

 「二人とも目が覚めたんだね。悪いねぇ、ちょっと祭りで心配事が出来たから手荒な真似しちゃったよ」

 「心配事って」

 「ジョージがね、二人が妙な動きをしてるって言うんだよ」

 「「えっ」」


 まさかのジョージの裏切りに二人は驚く。


 「こっちとしても祭りの邪魔をされたら困るからね、儀式の時間までこうさせて貰う事にしたよ。朝ごはん持って来たからこれ食べて大人しくしといておくれ」

 「え、待って下さいサーシャさん!何かの誤解です!」

 「おばさん!ここから出してよ!」


 一方的に言いたい事を告げて牢の前にお盆を置いたサーシャは二人の言葉を無視して去って行く。

 何とか出して貰えないかと叫び続けた二人だったが、ドアが閉まる音にガックリと肩を落とした。


 「まさかジョージさんが裏切るなんて……」

 「うちのおじさんがごめんね……」

 「これからどうする?」

 「何とかここから脱出しないとだよね。ルミナスが寝ている間に手探りでこっちを色々探したんだけど、錠を何とかしないと出れない事しか分からなかったよ」

 「私も調べてみる」


 ルミナスは閉じ込められている牢屋を調査する。

 自身が寝かされていたベッドはシーツと薄い毛布が置かれている以外何も無い簡素な物で、ベッドの下等に置かれている物は無い。

 岩をくり抜いて作られているのか壁や床に隙間の様な物は無く窓も無い為、牢の外の廊下にある松明から漏れた灯りで探索するしかない。


 (せめて蝋燭でもあれば……あっ!)


 ジョンに背を向け、胸元を探ると谷間に隠した革袋はしっかりとそこにあった。

 革袋にしまっていた蝋燭と手持ちの蝋燭立て、マッチを用意して灯りを点けると随分と明るくなった。

 灯りに写し出されてルミナスは自分が寝巻ではなく祭り用に用意していたワンピースに着替えさせられていた事に気付く。

 本当にこのまま儀式までここに閉じ込めるつもりなのだとゾッとしながら手元から顔を上げたルミナスは驚きで燭台を落としそうになった。


 「な、なにこれ……」


 牢屋の岩肌に白く細い線で『逃げろ』『助けて』『ここから出して』『殺されるぞ』『ごめんなさい』『嫌だ』『生贄にされる前に逃げろ』『死にたくない』等と警告と感じたであろう恐怖の言葉が至る所に書かれていた。


 「良かった、そっちには灯りがあったんだね。ルミナス?何か見つけた?」

 「ちょっと、待って」


 灯りを文字に近付けて良く見ると恐らく爪で掻いて文字を書いたのであろうか、所々赤い場所も見受けられる。

 恐怖で震えそうになる手を押さえ、何か脱出のヒントにならないかと壁に刻まれたかつての犠牲者達の物であろう文字達に目を通していくが逃げる事を推奨する事と助けを呼ぶ文字の他に、遺書であろう物しか見当たらない。

 書かれている文字も暗闇の中で書いたからか歪で読む事も難しい物が多い。

 手掛かりとなる物は無く、肩を落とすがジョージの牢の方には何か手掛かりがあるかもと思い至り、彼に蝋燭を渡そうと方向を変えたルミナスは暗くて手元以外が良く見えなかったせいでベッドの足に躓き、転びそうになった。


 「うわあ!」

 「大丈夫?!」

 「な、なんとか……」


 ベッドの上に蝋燭を落として危うく火事になる所だったと、心臓をバクバクと言わせながら一応周りを見渡したルミナスは足を引っかけた拍子に動いたベッドの影に文字を見つけた。

 蝋燭を床に置いてベッドを引っ張り、壁との間に隙間を作る。

 ベッドの下の松明の明かりも届かない真っ暗な場所の壁には他の場所に刻まれていた文字とは違ってしっかりとして読みやすい文字が書かれていた。


 『これを見ている人が居ると言う事は恐らくこの村の悍ましい因習がまだ続いているのだろう。

 俺はこの村の祭りの調査に来た学者だ。

 後に来た者の為に俺が知り、立てた推測をここに記す。

 簡潔に結論だけ書くがこの村にいるのは神ではなく、犠牲になった旅人達の呪詛の塊だ。

 村人へ恨みを持つ彼らの力を押さえる為に二十年に一度生贄を捧げるのを繰り返していると推測される。

 何故村人へ恨みを持つ者が同じ余所者である旅人を贄とするのかは分からないがここに鍵があると思われる。

 君の武運を祈る』


 文はここで終わっている。

 岩肌の窪みに隠す様に先の尖った小さな金属の棒があり、これで書かれたのであろう事が窺えた。

 学者と書いてある事からルミナスが見つけた手帳の持ち主なのだろう。

 ここにメッセージがあると言う事は彼も脱出に失敗したのか。

 残念に思いながらも、後の人間の為に少しでも情報を残そうとしてくれた彼の意思に敬意を払い、ルミナスは彼の冥福を祈る。

 ベッドを元通りに戻して発見した手掛かりを伝えようと振り返るとサーシャが持って来た朝食を頬張っているジョンと目が合った。


 「何食べてるの?!」

 「え、朝ごはん……?」


 呑気な彼の様子に額に手を当てて溜息を吐く。


 「何が入れられているのか分からないのに良く食べようと思えたわね。そもそも貴方昨日の夜ご飯食べてから記憶が無いんでしょう?じゃあ、余計に何か混ぜられていないかって警戒するべきじゃないの?」

 「!確かに……」


 ルミナスはジョンの反応にこれが唯一の味方って本当に大丈夫なのかと半目になりながらここに書いてあった事と、手記を含めて自身が得た手掛かりをジョンへと伝える。


 「その手記に書いてあった人を食べた理由の後付けってそもそも、何で人を食べたんだろう?」

 「それは書かれてなかったから何とも……ただ、祟りに関しては手記にあった生きながらにして脳が溶けたって奴とサーシャさんに聞いた獣に食い殺されたって具体的な話が伝わっているのであれば本当にあると思うの」

 「それに関しても祟りを避ける為にお守りを埋めるって話だけど、何で肉片と服の切れ端が祟りを避けてくれるんだい?サーシャおばさんの話だと神様の加護の力が込められているって言ってたけど、学者さんの推測ではその神様は居なくて代わりに祟りを振りまく奴がいるんだろう?なら加護を授ける存在は居ないのにどうやって祟りを退けているんだろう?」

 「うーん……」


 腕を組み、ジョンの疑問について考える。


 (肉片と切れ端が祟りを避ける、恨みを持つ存在が恨む相手を見過ごす?祟りをおこす程強く恨むのに見過ごす訳無いわよね。私ならそんな奴が居たら絶対にどんな手を使ってでも本懐を遂げるわ。それなのにその相手を見逃すとしたら……相手が既に死んでる位しか無いわね。肉片を配るのは死んでると思わせる為?でも、外から来た人間を殺すのは祟る側としては矛盾してない?寧ろ、自分と同じ側の人間なら手を出さない気がするのよねぇ)


 後少しで繋がりそうな気がするも、その少しに届かない。

 考え込むルミナスにジョンが声を掛けた。


 「大丈夫かい?俺もちょっと考えたんだけど、手記に書かれていたが頭の中が溶けるって本当に祟りだったのかな」

 「え?」

 「母さんが持っていた本に書いてあったのを思い出したんだけど、同族を食べると罹る病があるらしいんだ。本には頭の中が溶けるじゃなくて頭の中が可笑しくなるって書いてあったけど食べる物と病状が頭って内容が同じならこの病気だって考えられるんじゃないか?この村にはちゃんとした医者はいないし、信心深いから村の人達は祟りと病気の見分けは付かない。ルミナスの話の通り、人を食べてその結果病気になったのを祟りだと思っても可笑しくない」

 「ジョンのお母さん医者だったの?」

 「いや、父さんが医者だったらしい。俺は全然覚えてないけどね」

 「そうなんだ」


 情報の共有を終えたルミナスは次に何をするかを考える。

 一先ず自分が入れられてたこの牢の中は調べ終わった。

 ならば次は別の牢を調べるべきだろう。

 もしかしたらこの文字を残した民俗学者の手記の様に何か手掛かりが残っているかも知れない。


 (でも問題はこの錠前をどうやって開けるかよね)


 ガシャガシャと強請ってみたが頑丈そうな錠前はしっかりと掛けられており、力で無理矢理外せそうな物ではない。

 どうしようか考えたルミナスは、ふとある事を思い付いた。

 耳を澄ませ、この牢に近付く足音が無い事を確認し、牢にかかっているいる錠前に手を触れてそれを革袋に仕舞う事を意識する。

 すると指先にあった錠前に感触が消え、牢の扉が開いた。


 「よしっ」


 魔法の革袋を色々と試したルミナスは、革袋を身に着けてさえ入れば触れた物を仕舞えるし瞬時に出す事も出来るのを発見していた。

 扉にかけられている錠前を外すのを試した事が無かったので上手くいくか不安だったが、成功して良かったと胸を撫でおろす。

 牢から出るルミナスにジョンは目を丸くする。


 「ルミナス、君……牢破り出来るの?」

 「出来る訳ないでしょ?運が良かったのかこっちには鍵がかかっていなかったみたい。この燭台を渡すからそっちの牢の中に手掛かりが無いか探ってくれない?私は貴方の牢の鍵とこの場所から脱出出来るか探すから」

 「分かった。誰か来る足音がしたら伝えるよ」

 「よろしくね」


 ジョンに燭台を手渡したルミナスは壁にかかっていた松明を外して手に持ち、廊下を歩く。

 ルミナス達の居た牢から見える位置に扉があり、下の隙間から微かに灯りが漏れている。

 耳を傍立てながら扉へと近付く。

 扉の周辺の壁に鍵がかかっていないか探したが残念ながらそう甘くは無かった。

 それっぽい鍵を代わりに革袋から取り出してジョージのいる牢へと戻る。


 「鍵を見つけたから開けるわ、よ」


 そこには寝こけるジョンの姿があった。

 やはり先程サーシャが持って来た料理には何かが混ぜられていた様だ。

 言わんこっちゃないとルミナスは溜息を吐き、さっきと同じ要領でジョンの牢を開けて入る。

 一応、揺り動かしてみたがジョンが起きる様子は無い。


 (仕方が無いわね)


 ルミナスは革袋から瓶に入った解毒剤を取り出した。

 この解毒剤は毒殺エンドを回避したボーナスで手に入れた物だ。

 仰向けに転がし、鼻を塞いで少しずつ解毒剤を流し込んで一瓶飲ませたルミナスはジョンが起きるまで周囲の探索をする事にした。

 ジョンに貸した燭台を回収し、代わりに廊下に掛かっていた松明を手に周りを照らす。

 ジョンの居た牢には彼の言った通りに手掛かりとなりそうな事は見つけられなかった。

 ルミナスの居た牢と同じく悲嘆にくれた言葉で埋め尽くされた壁はこれから先に待ち受けるであろう恐怖を連想させ背筋が寒くなる。

 ジョンの牢から出たルミナスは片手に松明、片手に革袋から取り出したパンを齧りながら周囲を歩き周る。

 どうやらここは地下洞窟か何かを牢屋に改造した場所の様だ。

 奥へと続く道に風が抜け、松明の炎が揺れる。

 この空間には牢屋が四つあり、ルミナス達が入れられていたのはドアに近い手前側だった。


 (動かしていないのに火が揺らぐって事はこの奥は外の何処かに続いてそうね)


 奥は気になるがジョンも目を覚まして居ない現状、この先に何があるのか分からないので一先ず他の空いている牢を調べてみる。

 空いている二か所は普段は使われていないのか荷物置きになっている様だ。

 鍵は掛けられていないので中に入って置かれている荷物を見るといくつか見覚えのある物があり、お祭りで使われる物を普段ここに仕舞い込んでいるのだろうとルミナスは推測した。

 片方は大掛かりな道具、もう片方には小ぶりな道具が乱雑に部屋の隅に置かれている。

 小ぶりな方に記憶にある槍と剣を発見したルミナスはそれぞれを一本ずつ革袋の中に仕舞う。

 他に何か無いかと探したが、ここの岩肌にもルミナスが居た牢の様に文字は書かれてたが、有益な内容は書かれていなかった。

 どうやらルミナスがいた牢が当たりだっただけのようだ。

 ジョンの体を揺さぶると微かに反応があったのを確認したルミナスは一先ず松明を元の場所へと戻し、サーシャが置いて行った自分の分の料理を革袋から取り出した皿に移して仕舞った。

 ジョンの目が覚める前にサーシャが戻って来た時の為に一応錠を元に戻してから自分の牢に戻る。


 (ジョンの目が覚めた後にどうするかなのよねぇ……あのドアの先がどうなっているのかも分からないし、いっその事この牢の先に行ってみる?でもこの先が行き止まりだった時の事を考えると……うーん、そもそもここは何処かしら?それが分かればまだやりようが)


 ドアの開く音がした。

 咄嗟にその場に寝転がって寝たふりをする。


 「よしよし、二人とも良く寝てるね」


 サーシャの声に薄っすらと目を開けると彼女が食器を回収する所だった。

 このまま去ってくれればジョンを起こして檻からの脱出を図れる。

 それを期待したが、サーシャは他にも来ていた人間に食器を手渡すと村の男の一人と共にルミナスの倒れている牢の中に入って来た。

 そのままサーシャが慣れた手つきでルミナスの腕を後ろ手に縄で縛り、男がルミナスを肩に担いで牢から運び出す。


 「じゃあ、行くかい」

 「そうじゃな」


 声から村長だと分かったルミナスが薄目を開けて周囲の様子を見ると、向かいの牢からジョンも同じように手を背の後ろで縛られた状態で牢から運び出されている。


 (ヤバいヤバいヤバい!!これ完全にこのまま儀式に連れていかれちゃう流れじゃない!?何とか逃げないと!)


 目を閉じて担がれている事で腹部を圧迫される不快感を堪えながら必死で寝たふりをして逃げる為の算段を立てる。

 手を縛られている縄に関しては革袋に仕舞う要領で簡単に解く事は出来るだろうが、それはそれとして目下の大きな課題は未だに目を覚ましていないジョンを連れて大人数を相手にどうやって逃げるか、だ。

革袋にジョンを仕舞う事も考えたが、ルミナスはまだ今まで生き物を革袋に入れた事が無いので、ジョンを入れて彼が無事で済むのかは未知数だ。

 この世の理を無視した物の出し入れが出来る謎の革袋にぶっつけ本番で人を入れる度胸は流石にルミナスは持ち合わせていなかった。

 度胸と無謀は違うのだ。


 (こちとら人殺しになる気はサラサラないのよ)


 生粋の貴族令嬢を国外に追放しようとした事を完全に棚に上げてルミナスはそう心中で呟く。

 どうやらサーシャ達はルミナスが足を進めるのを躊躇った牢の奥へと二人を運んでいる様だ。

 緊張で乱れる鼓動に気付かれないか、どくどくと五月蠅い心臓が口からまろび出そうになりながら運ばれた先でルミナスの体は固い岩の上に置かれた。

 肩に触れた体温でジョンも直ぐ横に降ろされたのを察したルミナスは周りの様子を窺う為に薄っすら目を開けようとした所でドンっと大きな太鼓の音が鳴った。

 驚きで肩を震わせなかったのが奇跡な程、唐突な音にルミナスの心臓は跳ね上がる。


 「************!*********!」

 「*********!************!」


 ドンドンと腹の奥に響く力強い太鼓の音と共に聞いた事のない未知の言語を唱える声が聞こえる。

 話しているのではなく、唱えていると感じたのは抑揚の無い同じ音で発音しているせいだろう。

 ルミナスには何を言っているのかは分からないが、声の持ち主が村長と長老のモノである事だけは分かった。

 ルミナスとジョンの周りを囲う様に足を踏み鳴らす音が聞こえる。

 薄っすらと目を開く。


 村長と長老が何かを唱える度に太鼓が叩かれ、ルミナスも手入れを手伝った仮面と衣装を身に付けた村人達がその音に合わせて足の踏み鳴らすと共に槍の柄を地面に打ち付け、両手に剣を持った村人が剣と剣を打ち鳴らしてルミナス達の周りをグルグルと回る。

 あの仮面には覗き穴が無いので村人は周りを見る事は出来ない。

 ルミナスはしっかりと目を開いて視線で周りの様子を探る。

 時刻はもう夜の様で空はすっかり暗くなっているが、いくつも焚かれた篝火のお陰で周囲は明るい。

 彼女の隣には予想通りにジョンが寝転がっており、周囲の音のせいか不快そうに眉を寄せている様子からそろそろ目を覚ましそうだ。

 二人は大きな平たい岩の上に寝転がっており、岩の所々に残っている赤黒い染みは十中八九血の跡だろう。

 足を踏み鳴らし、槍と剣を打ち付けながら祭り用の白い衣装を身に纏った十人程の村人がグルグルと二人のいる岩を囲んで回っている。

 ドン!とひと際大きく太鼓が打ち鳴らされ、村人が手にしている武器を振り上げる。


 (……あ)


 ドン!と再び音が鳴ると同時に一斉に槍が、剣が二人に向かって振り下ろされた。


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