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第六話 絵画の在処

 こうしてジョージとアーサーは、噂の絵画を探すことになった。

 まずは聞き込みから始めようということになり、その日は解散して、翌日以降に各々調査を開始した。

 ジョージは数少ない友人や、知り合いの画家に話を聞いて回った。

 友人からはこれといった情報は得られず、むしろ、大学を中退しているのにそんなことをして何になるんだ、と非難されてしまった。

 知り合いの画家も、そんな噂話を気にしている暇があったら、一枚でも多くのスケッチを描いた方が君のためになる、とアドバイスされてしまった。


(……これは、初手から詰んだな)


 ジョージは一人うなだれた。


〇●〇


 それから数日後、ジョージとアーサーは行きつけのパブで状況報告した。

 アーサーを先頭に扉を開けると、ぼんやりとした明かりが店内を照らしていた。日がもう落ちていたため、店内は混み始めている。

 エールの強い香りがアーサーの鼻腔をくすぐった。

 ギシギシとなる床を踏みつけながら、ジョージはパブの建てつけの悪さに内心ヒヤヒヤしていた。

 アーサーはカウンターに行き、オレンジジュースとエールをそれぞれ注文した。その後ろでジョージは財布を取り出した。

 二人は会計を済ませると、空いている席を見つけて腰を掛けた。

 ジョージはコップに口をつけ、咳払いをしたあとこう言った。

「アーサー、何か収穫はあったかい?」

「まぁな、そっちはどうだ?」

 アーサーの返事を聞いて、ジョージは緑色の目をキラキラと輝かせた。

「なんだって!? 俺の収穫はゼロだっていうのに……」

「そんな気はしたぜ」

「……俺ってそんなに情報集め下手かな?」

 アーサーはエールを一口含むとこう言った。

「まぁ、上手ではないんじゃないか」

 それを聞いたジョージは、がっくりと肩を落とした。

「気にすんな、ジョージ。お前には絵の才能があるだろう?」

「……ありがとう、アーサー」

  アーサーは、自身の収穫について話し始めた。

 それは、彼の仕事仲間から酒の席で聞いた話だった。

 高級住宅地にある廃墟で盗賊が何人も失踪している、という噂が貧民街で広がっているんだそうだ。

 絵画の噂とどこか似ているな、と考えたアーサーはその仕事仲間からその廃墟の場所を教えてもらったのだそうだ。その際にひと悶着あったらしいが、それはまた別の話。

「もしかして」

 ジョージは何か確信を得たような目で、アーサーの青色の瞳を見つめた。

「あぁ、おそらくそこに噂の絵画があるんじゃないかと思う」

 そういうと、アーサーはエールを飲み干し、ジョッキをドンッとテーブルに置いた。

「ジョージ」

「何だい?」

「もしその廃墟に忍び込むんだとしたら、かなり危険が伴うぞ」

 それでもやるのか? というように、アーサーはジョージを見た。

「何かあったら、アーサーが何とかしてくれるんだろう?」

 ジョージはフフッと息を漏らした。

「……とんでもない奴を主人にしちゃったらしいな、俺は」

 アーサーはエールを追加で頼もうとした。

 ジョージはそれを制止すると、飲みかけのオレンジジュースを勢いよく飲み干した。しかし勢い余って口の端から少しこぼれてしまった。ジョージは右手でそれを拭った。

「俺もエール一つ頼む」

「お前……飲めるのか?」

 アーサーは眉をひそめてそう言った。

「大丈夫さ」

「ならいいんだが」

「さぁ、忍び込む日取りを決めよう」

 ジョージは椅子に座りなおすと、アーサーの方を向き直った。

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