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第十話 案内状

 ジョージは先ほどポケットにしまった手紙を取り出して見せた。

「君の言う()()()ってこれのことかい?」

「こ、これだ。間違いない。俺の仲間の言っていた文言だ!! この家にごくたまにしか現れない、()()()()だ!!」

 それを聞いたアーサーが、すぐさま彼の胸ぐらをつかんだ。

「聞き捨てならねぇなぁ。その()()()()ってなんだよ。この家にお前以外のやつがいるのか?」

 アーサーは睨みつけた。彼はまたすぐ取り乱した。

「っ違います!! ここには俺と旦那たちしかいないです。本来なら、朝早くに仲間と一緒にここに来るはずだったんですけど、俺、寝坊しちゃって……。それに呆れたであろうあいつらは、俺を置いて先に行っちゃったんです。俺はその後を追おうとおもって、案内状を探していたんです」

 彼は話しながら落ち着きを取り戻していった。アーサーは不満げで、また何か言おうとしていたが、ジョージはそれを制した。

 ジョージは火かき棒を床に転がし、彼に問いかけた。

「この案内状に載っている別荘に、()()()()があるんだね?」

「ああ、そうだ。間違いない」

 ジョージは案内状をまじまじと見つめた。

(ここに行けば、()()()()に会える……)

 ジョージの心拍数が、少しずつ上昇していく。夢にまでみた噂の絵画。その絵画のモチーフが、ジョージに対して、『おいでぇ、おいでぇ』と白い手をくねらせて手招きしているようだった。


 ジョージが大人しくなったのを見て、アーサーは怪訝な顔をした。

「ジョージ……、大丈夫か?」

 ハッとしたジョージは、大丈夫だと答え、笑顔を作った。

「……旦那、俺もそこへ連れて行ってください」

 彼はさっきとは打って変わって、凛とした様子だった。

「だめだ、お前はその絵画が欲しいんだろう。俺らもだ。譲るわけにはいかない」

 アーサーはきっぱりと断った。

「旦那、そんなこと言わないでくださいよ」

 彼は食い下がった。

「ジョージ、コイツは放っておいて、この家を出よう」

「……そうだね」

 ジョージとアーサーは、彼をおいて談話室の窓から外へ出た。

「待ってくださいよ、旦那。噂が本当なら、俺の仲間が……、兄がピンチかもしれないんです。頼みます、絵はいらないです。俺を一緒に連れて行ってください」

 彼はしつこく付き纏ってきた。ジョージは困り果ててアーサーを見た。

 アーサーはしばらくの間、だめだと言い張っていたが、ついに根負けしたらしくため息をついて言った。

「ったく、しょうがねぇなぁ……。分かった、明日の朝、この家の前で落ち合おう」

「あ、ありがとうございます!!」

 それを聞いた彼は目を輝かせた。

「俺、オリバーっていいます。明日、よろしくお願いいたします!!」

 オリバーは嬉しさからか、細い目をさらに細めた。

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