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とある噂
「――ねぇ、こんな話聞いたことある? ある屋敷に、それはそれは美しい絵画があるんだって」
赤髪の少女が銀食器を磨く手を止め、話しかけてきた。
「それって、見たものの心を一瞬でつかんで離さない、千年に一度描かれるかどうかというような絵のこと?」
声をかけられた青色の瞳をした少女は、磨かれた銀食器を戸棚にしまった。
「そうそう、それからね、何人もの盗賊がその絵を盗みに入ったと聞いたけれど、彼らがどうなったのか真相は誰も知らないんだって」
興奮しているのか、頬を紅潮させた赤髪の少女は早口でそう告げた。
「ただ一つ分かっていること、それは……」
青色の瞳の少女は、赤髪の少女を見ながらにやりと笑みを浮かべた。
「その絵画は、人の魂を喰らう化け物だということ!!」




