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マヌカン  作者: ハイダウエイ
24/35

第24話

ここをクリックするとyoutubeのURLが出ます

挿絵(By みてみん)

「気がついた?・・・・大丈夫?」

「・・・・わたし・・・・・智弘?・・・どうかしたのかな?」

「銀座を歩いてて倒れたんだ。佳代子・・・・心臓・・・悪かったんだね?」

「そうだったんだ・・・・ごめんね、だまってて・・・」

「さっきお父さんに聞いたよ」

「お父さん来てるの?」

「ああ、今、先生と話してる。お父さんから電話貰ったんだ・・・・」

「そうだったの・・・」

二人が話していると、正春と担当の医師が病室に入ってきた。

「佳代子気がついたか?苦しくは無いか?」

「うん。大丈夫みたい・・・・」

「佳代子さん、今お父さんと話してたんだが・・・・この病気はまだはっきりとは原因が

わかって無いのは知ってるね?病気が進行しているかどうかは分かるんだが、今のところ

そのような検査結果は出ていない。ただね、今日みたいな突然の発作が無いとは言い

切れないんだ。話を聞いたんだが倒れた原因はストレスだったようだね?」

「すいませんでした・・・あんなに人が集まるなんて・・・・」

「佳代子。暫らく人前に出ないほうがいいんじゃないか?仕事ももう辞めた方がいい」

佳代子の父、正春が口を挟んだ。

「・・・・しばらく・・お休みを貰うわ。楽しいお仕事だけど・・・・」

「まあ、極度のストレスが無ければ問題は無いでしょう。今後はうちで定期的に

検査もするので、もし問題があるようなら言いますよ」

「先生・・・ありがとうございます。智弘・・・・ゴメンね、心配かけて・・・」

担当医の言葉に少し安心し、部屋の空気は少し和んでいた。

佳代子の病気は、心臓の細胞にあるチャンネルと呼ばれるトンネルの異常だそうで

遺伝子に問題があるということだった。治療法は少しずつだが進歩しているという。

今回は検査のため3日間ほど入院する事になった。

「お母さんが死んだ日の事、今でもよく覚えてる・・・・」佳代子の父が帰り

病室で智弘と二人だけだになった時、静かに佳代子が話し出した。

佳代子は中学の頃バスケット部に入っていたという。彼女の母は、その試合があった日

試合を見に来ていて突然発作を起こしたのだった。直ぐに病院に運ばれたが、到着を

待たず車内で亡くなっていた。救急車に付き添っていた佳代子はその突然の出来事が

理解できなかったという。普段の生活においてまったくそんな気配など無かったから

である。病院で死亡原因を調べ、心臓に異常があったことが解ったそうだ。

「その頃は、それが遺伝するものだとは解らなかったみたい・・・・・」

佳代子の病名が明らかになったのは、昨年銀行に勤めていた時、模擬強盗事件訓練が

行われそ、こで今回のように倒れてしまったのだ。そして検査の結果母親と同じように

心臓に問題があることが解ったのである。ただ、今は医療技術の進歩によって

以前のように死に至ることは非常に少なくなっているというが・・・・・


翌日、智弘は仕事場に戻るとにした。急な連絡だったため戸締りなどほとんどしないで

出て来てしまっていたのだ。佳代子に夕方また来ることを約束し病院を後にした。

事務所に戻ると吉井が来ていた。

「智弘君!佳代ちゃんが倒れたんだって?大丈夫なのか?」

「ご心配をお掛けしました。明日には退院出きるそうです」

「どっか悪かったの?佳代ちゃん」

「心臓が・・・少し悪いようで・・・でも、大丈夫だって医者も言ってましたから」

「まあ、お医者さんが言うんなら心配ないと思うけど。用心するに越したことは

ないから」

「吉井さん、ワイズは休みですか?」

「店は臨時休業したよー。佳代ちゃんが倒れたって聞いたら心配でさー」

「そうだったんですか。すいません心配かけて・・・」

「まあ、たまには休まないとな、俺も。あれからずっと17時間労働だから」

「吉井さんこそ身体に気をつけてくださいよー」

そうは言うものの、智弘自信も日に15時間近く働いている。

時代は高度成長真っ只中の日本であった。

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