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マヌカン  作者: ハイダウエイ
14/35

第14話

ここをクリックするとyoutubeのURLが出ます

挿絵(By みてみん)

「ねえ、昼からどうする?」唐突に佳代子が言った。

「えっ・・・何も考えて無いけど・・・・」

「渋谷に行かない? 智弘が作った服着て歩きたいのよ」

「いいけど・・・・人混みはあんまり好きじゃないなー」

実際買い物をすのるにわざわざ吉祥寺まで来るのは、渋谷の人混みが嫌いだからなのだ。

「服作る時の参考にもなるわよ?いいじゃない。 行こうよー」

智弘は佳代子の強引さが羨ましく思えた。自分ならそんな言い方は絶対に出来ない。

土曜日の渋谷は結構な人出だった。学校が半日ということもあり高校生が結構多い。

最近は企業でも土曜日を休みにしているところもあると聞く。そういったことも影響

しているのだろうか?73年にPARCOがオープンして以来若者達の情報発信拠点は

新宿からこの渋谷に変わっていた。

「スゴイ人ねー。日曜日でも無いのに。今日は暖かくてよかったわ。

折角のファッションもコート着てたんじゃツマラナイし・・・・」

佳代子が選んだ服は太目のボーダーラインが入った、ニットのワンピースだった。

春先でも着れるような爽やかさがあるデザインだ。

渋谷をファッションで決めて歩いている若者達も、佳代子のこのオリジナリティーには

注目している様子である。スタイル・ルックス抜群の佳代子を、男達は食い入るように

見ていた。側を歩いていもその視線が痛い程であるのだが、少女達の視線はそれ以上で

あった。どこで売っているのだろうなどと、聞こえる様な声で話している子達も居た

ほどだ。

「智弘。私すごく気分がいいわ。こんなに注目されるなんて思ってなかった。

自分がスターにでも成ったような感じがしてるの・・・」

「なんか・・・佳代子さんの側を歩いてると恥ずかしいよ・・・」

「何言ってるの?あなたがデザインしたのよ?もっと自信を持ちなさいよ」

そう言って智弘の腕に自分の腕を廻してきた。周りの視線を浴びながら智弘も少し

幸せな気分だった。

「あの・・・すいません!ちょっといいですか?」

突然二人の後ろから男が声をかけてきた。

「月刊スタイルナウの高木といいます・・・すいません、突然呼び止めて・・・」

「何でしょう?」佳代子が興味ありげに質問した。

月刊スタイルナウといえば数々のファッション誌を発行する雑誌社で、最近渋谷を

中心とした雑誌「タム・タム」を発行しているのでも有名であった。

「あの・・・どこかの専属の方ですか?」

「えっ?専属って?」

「いや、あのー・・・芸能プロダクションとか・・・雑誌社の・・・」

「違いますけどー・・・どうしてそんな事を?」

「よかった! いやー素晴らしいファッション、それにスタイルもバッチリ!

是非来月号の街角インタビューのコーナーに出ていただけないかと思いまして・・・・」

「えー・・・雑誌に出るんですかぁ?」

「はい、こちらの雑誌ですタム・タム・・・ご存じないでしょうか?」

「毎月買ってますけど・・・・・」

「そうなんですか!? じゃあ話が早い。知ってますよね?このコーナー。何とか出て

もらえませんかー?もう1週間も渋谷を歩いてるんだけど・・・みんな同じ格好で・・・」

確かに流行とはいえ芸能人を真似たファッションや。それこそこのタム・タムのモデルと

同じ格好の子が多かった。

「わかりました。でもちゃんと服の事も書いてくださいね」

「勿論ですよ! ところでその服はどこで買ったんです?外国?」

「彼が作ったんです。このバッグも・・・」

「えっ! 君が作ったの?こりゃたまげた・・・会社はどこ?」

「どこって・・・・アルバイトだけど・・」

「プロじゃないの?凄いなぁ・・・・雑誌に書いてもいいよね?」

「はあ・・・・・別に良いですけど・・・・」

このインタビューが後々大変な事態に発展していくのだが・・・

二人はまだ何もわかってなかった。

挿絵(By みてみん)

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